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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
55/100

第55話:早園麻紀ライブ

彼は、私の後ろに立つと、


『髪型を、麻紀ちゃんスタイルに変えてもいい?』と、聞いてきました。


私は、それまで楽しかったので、あまり考えずに「いいよ。」と、言いました。


彼は、慣れない手つきで、ポニーテールのような形にして、ニンマリ満足気。


私は、ちょっと違和感もありましたが、こんなのも有りかな?と思いました。


そして、いよいよ会場に着くと、長い列が伸びていました。


私は、歩いていると、何か見られているような感じを受けました。


このヘアスタイルとジーンズのせいでした。


そう、彼は私に、早園麻紀のコスプレをさせていたのです。


彼いわく、顔も似てるとのことなので、当然回りに居る麻紀ファンは、見る訳です。


中には、近くに寄って来る人もいて、ちょっと迷惑。


「シッシッ・・・向こう行けっ!」


でも、彼は、ニコニコうれしそう。 


早園麻紀と一緒に居る気分になって、優越感に浸ってるようでした。


これが、コスプレ心理というものなのか?


「男って、バカ???」


会場に入ると、今度は、グッツの販売の列に並んで、彼は、なにやら色々と買い込みました。


「あ〜私の好きなレインボーのグッツは無いかな〜?」


『有るわけねぇ!』 音速の突っ込み! そんなに真剣になるな〜!


座席に着くと・・・「お〜さすが、3列目、チョー近い!」


池田君は、パンフレットを広げて、うれしそうに見ている。


おいおい、私を放って置くのかい? 


放置プレイがお好み??


私はというと、相変わらず、周囲の人に、チラチラ見られていて、


ちょっと落ち着かないな〜と、思っていたら・・・。


隣に大学生ぽい3人組みが座った。


すると、「やっぱり、そのヘアスタイルいいですよね!」と、突然言われて、びっくり。


「はっ? はい。」と、きょとんとした返事。


こんなことをしていると、照明が落ち、演奏が始まりました。


そして、場内大合唱で、麻紀ちゃん登場!


「ちょ〜かわ〜いっ!!」


清涼感いっぱい漂うボーカル。


ダンサーをまじえてのアップテンポな曲。


アカペラ調で聴かせる、スローバラード曲。


そして、お馴染みのヒット曲。


なんとなく不器用そうな踊りと、はにかんだトーク。


何度も「ありがとう。」を繰り返し、嘘のなさそうな誠実さが伝わる態度。


正直あまり関心の無かった私でしたが、ファンを大切してるのを実感して、


すっかりファンになりました。



約2時間のライブも、あっと言う間に終わり、


「終わっちゃったねー。」と動き出そうとする私を、


池田君は、『まだいいよ、すくまで座ってよう!』と、私を止めました。


そして、いよいよ人も少なくなり、歩きだして、ロビーに出ると、


また、ソファーに座りました。


『トイレとかは、大丈夫?』の言葉に、「それじゃー」とトイレヘ。


戻って来ても、池田君はいっこうに動く気配なし、


「まだ行かないの?」の問いに、『まだ、終わってないよ。』の返事。


わけのわからないまま待っていると、係員の人の声が・・・


池田君が、「さぁ、行くよ。」と立ち上がりました。


他にも、同じように20人くらいが歩き出して、部屋に案内されました。


そこには、な・な・なんと! 早園麻紀ちゃん が・・・!


「本日は、どうもありがとうございました〜。」


と、ひとりひとりと、握手をしました。


そして、私にも、髪型を見ながら・・・『アッ! どうもありがとう〜。』


私は、ただ、ただ驚いて、「ライブ、とても良かったです。」の返答。


池田君は、ちゃっかりプレゼントを渡して、おしゃべり。


最後にこんなサプライズが、有ったとは本当にびっくりしました。


麻紀ちゃんはファンを大事にしているんだなーと実感しました。


池田君が夢中なのも、納得したライブでした!



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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