第44話:中根隆志君と風俗
結局、私たちは、ごろごろと日曜日を過ごしていました。
お昼過ぎになり、お腹が空いた私たちは、近くのファミレスに行くことにしました。
服を着て、外に出ると中根君が乗ってきたビックスクーターがありました。
「そーだ! 免許取ったお祝いしてあげる。 何か欲しいものある?」
『あるよ!』
「何?」
『遥が欲しい。』
「えっ? もうあげたじゃない?」
『そうじゃなくて、真面目に、そう思ってる。結婚したいし、子供も欲しいんだ。』
「そう・・・・・ねぇ、隆志のバイクで行こうよ。」
『そうって、なんだよ。俺、真剣なのに。』
「分かってる。でも、そんなの今返事できないよ。」
私は、隆志のバイクのハンドルを握った。
隆志は、いつものように後ろに座った。
そして、後ろから私を抱きしめて、胸を揉んできました。
「きゃー、外でそんなことする人嫌いよ。」
『今まで、毎日、毎日、ずっと我慢してたんだよ』。
「やっぱりね。 さー行くよ。」
私たちは、ファミレスで食事をして、私のリクエストで大桟橋に行くことにしました。
マリンタワー、氷川丸、山下公園に並ぶ昔からの横浜の名所です。
大きな客船が着く大桟橋の屋上は不思議な形をしていて、
港の眺めも良く、好きな人と来たいと思っていた、私のお気に入りの場所です。
2人で横浜の港を眺めていましたが、彼は、急にこちらを見るなり、キスをしてきました。
まだ、明るいし、観光客が回りにいる中での、突然の彼の行動。
普通なら私は、彼を突っぱねて、
「みんなが見ているから、止めてよ!」と、言うところですが、じっとしていました。
それは、彼の唇が震えていたからです。
考えてみれば、彼とキスをしたのは初めてでした。
正直、ヘタです。
『ごめん! 俺、緊張しちゃって。・・・初めてなんだ。』
「初めてって? キスが?」
『そう・・・・今まで、女の子と付き合ったこと無いんだよ。』
「だけど、Hは、普通にしてたじゃん。」
『ん〜、遥のこと好きになって、もしも、遥とHする時があって、
下手だと嫌われると思って、風俗に行って練習してたんだ。
だけど、風俗の女の子と遥とは全然違ってて、とてもきれいで、
これが、夢にまでみていた遥だと思うと、うれしくて無我夢中だった。
でも、キスの練習は出来なかったんだ。
好きでもない女の子の顔が迫って来ても、キスする気が起きなくなって・・・。
ところが、今、遥の顔が目の前にあって、急にどうしてもキスしたくなっちゃって、
遥の唇に俺の唇が触れていると思うと、もうドキドキしちゃって・・・ごめん。』
「何言ってるの? 何でも話せばいいってもんでもないでしょ。
もーう、呆れた。
でも、ほんとに、風俗とか行ったの?
あたしをイメージして、風俗でしてたなんて・・・ もー最低!!」
『ごめん。ほんとにごめん。でも、遥のことが好きでしたことなんだよ。』
「でもねー。何でそういう事するかなー。
嫌だなーそういうのって・・・。
う〜ん・・・どうしよう。。。。。
いくら、私のことが好きでしたことと言われてもねぇ〜。
こんなこと、言わなきゃ良かったのに・・・。
私に嫌われるとか、思わなかったわけ?」
『ん〜、分かんないけど、そんなこと全然考えなかった。』
「そーかー。 ま〜、良く言えば、私に隠し事をしない正直者いうことかな〜。
分かった。今更どうなるもんでもないし、
今後、私以外の人とHしないと約束したら、許してあげる。」
『約束するよ。絶対、遥以外とは、しないよ!』
「そう・・・なら、いいけど。
だけど、病気なんて貰ってないよね? 今度、検査してきてよ。」
『病気は、大丈夫だよ。僕も心配になって、調べたら大丈夫だったから。』
「そうそう・・・夜も朝もゴムしないでしてたでしょ!
妊娠したら、どうする気?」
『どうするって、産むに決まってるじゃん。
大好きな遥と俺の子だよ。2人の愛の結晶だよ!
遥と俺が、合わさって1人の人間になるんだよ。
こんな神秘的で、うれしいことないよ。』
「ふ〜ん。それじゃ、妊娠したら、あたしたちはどうなるの?」
『結婚するに決まってるじゃん!
遥が受け入れてくれた時に、もうそれは決まったことなんだ。
なーそうだろ? 違うの? 遥は結婚したくないの?』
「えっ? 結婚? 私、自分が出来ると思ってなかったから。」
『どうして? 』
「どうしてって、こんな胸になちゃったから・・・。」
『俺は、そんなの気にしないし、遥と結婚出来ないなら、死んだ方がまし。
ねー、俺と結婚してくれるよね。俺、頑張るからさ。』
「それって、もしかして、プロポーズなの?」
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)