第39話:Secret of my heart
嫌われると分かっていても、話さなければいけない秘密。
ほんの少しだけの可能性に賭けて、思い切った私。
こんな事になっても、私は、1歩前に進んだの?
「えっ? 泊まるの?」
『1人暮らしなんだから、いいだろう?』
「本当に、私のこと好き? 好きならkissして?」
『何、涙浮かべてんだよ。もしかして、お前、はじめて?』
「違うわよ。そんなんじゃないよ。」
『まっ、いいや。』
そう言って、彼はキスをしてくれた。
私は、これが、〔最後のkiss〕になる気がしていました。
彼は、車から降り、私の手を引いて、フロントに向かいました。
『2つしか空いてないや。どっちがいい?』
「お風呂の中が見えないのにして。」
『えっ? そっかー、でも、行ってみないと分かんないよ。』
「じゃーこっち。」
私は、普通ぽい方に指を差しました。
部屋に入ると、私は、すぐにお風呂に目をやり、色々スイッチを動かして、
見えないことが分かり、ホッとしました。
奥のドアを開けると大きな丸いベットがあり、思わず大の字に寝てみました。
天井は鏡張り、周りも鏡張りで、想像すると恥ずかしくなってしまいます。
スイッチをさわり始めると、ベットがゆっくりと回転をはじめ、
照明が落ち、プラネタリウムに変わりました。
すると、流れ星が落ちて、思わず心の中で、お願いをしてしまいました。
【どうか、彼が、あしたの朝も、私にkissをしてくれますようにと・・・。】
なんか、妙に落ち着いて、このまま寝てしまいたい気分になりましたが、
彼がそうさせてくれるはずはありません。
『何してんだよ! 早く風呂に入ってきなよ。』
「ごめん。それじゃ、お先に・・・。」
私は、服を脱ぎ、大きな鏡に写った自分の裸を見て、右胸の無いことを恨みました。
そして、シャワーを浴び、普通なら、このまま出て行くのでしょうが、
気まずい気分の私の目に、入浴剤が飛び込んできました。
「なんか、これバスタブに入れて、入ってみたい。
よし、少しくらい遅くなったって、からだから、いい香りがすれば、男は喜ぶに違いない。」
なんて、勝手な言い訳を作って、のんびり入浴タイム。
でも、本当は、怖くて仕方なかっただけ・・・。
湯船に浸かりながら、この先のことを色々考えていました。
このまま、裸で出て行き、一瞬で答えを出す。
なんてことも考えたけど、そんな勇気はやっぱり出そうに無い。
いい加減、出なきゃ。そう思い、重い腰をあげました。
結局、パンツだけをはき、バスローブに身を包み出て行きました。
『遅いから、寝てんのかと思っちゃったよ。』
と、皮肉を言われて、苦笑いで返し、
彼が、シャワーを浴びて出てくるのを、ベッドで待つことにしました。
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)