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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第38話:ホテル

デートしているのに、やたらと携帯電話をいじっている人ってどう思いますか? 


私は、気になる方なので、自分でも、触らないようにしています。


お昼に携帯を見たら、兄から3回。中根君から7回の着歴。


それでも、私は無視しました。それどころでは、なかったから。



『いつまでそうしてるつもり?』


「ごめん、なんか、ほっとしちゃって・・・。」


『Hしたいなら、俺、頑張ちゃうよ!』


「ばーか。そんなんじゃないよ!」


『この浮き袋、いいだろー? 2人一緒に入れるんだよ。』


「わーっ! 大きいね。 でも、2人入ったら、くっ付き過ぎだよ。」


彼は、顔を真っ赤にして、浮き袋を膨らましました。


『ゲーッ。キツー! 苦しいよ。 さーっ、出来た。行こう。』


私たちは、海に向かいました。


「なんか、冷たいよ。 ほれ!」


『何だよー、やったなー。』


水を掛け合って、はしゃぎました。


何だか、ドラマみたい。来年も、こんなこと出来たらいいな〜。


『ほら、浮き袋に入れよ!』


「やだ!やだ! 絶対ヤダ! 後ろから変なことする気でしょ?」


『そんなこと、しないよ!って、しないわけないか・・・


それじゃ、お前が、後ろでいいよ。』


私は、彼の後ろに入った。


からだが、完全に密着している。


男の人とこんなに触れ合ったのは何年ぶりかしら?


心臓の鼓動が自分でも分かるほど、ドキドキしている。


『足の届かないところまで、行こうぜ!』


「うん、いいよ!」


浮き袋は波に押し戻されては、行ったり来たりで、のんびりと進んだ。


そして、足が着かなくなったけれど、彼は、それからもう少し進み、


周りを見ると近くに人が居なくなっていました。


すると、狭い浮き袋の中で、彼は、急にからだを回して、こちらを向きKISSをしてきました。


そんな予感もしていたので、うれしくもあり、少し長いKISSになりました。


彼は、狭い浮き袋の中に手を入れて、私のからだを触ろうとしましたが、


私が抵抗すると、すんなり止めました。


砂浜に戻ると、休憩をして、ビーチボールで、ビーチバレーごっこ。


そして、戻って、かき氷を食べて、おしゃべり。


泳いだり、砂遊びをしたり、焼きそばやおでんを食べたり、


ビーチマットで波に揺られたりしているうちに、帰る時間が、近づいてきました。


私は、楽しくも1日が短く感じて、少し寂しい気持ちになりました。


『さー、そろそろ行くか。』


「うん。そうだね。」


荷物を片付けて、彼と歩いていると、どうも車の方に向かっているようでした。


「あれ? 海の家に行かないの?」


『あー。』


「えっ? でも、このままじゃ・・・・・着替えないと・・・。」


『あそこのシャワー、ボロイから、あのホテルへ行こう。』


私は、一瞬足が止まりました。


彼は、何も言わず、私の顔を見ていました。


私は、自分にはっぱをかけました。


【覚悟してたんでしょ。今更、何をびびってんのよ、遥。】


私は、車に向かって、歩き出しました。


私は、車に乗ると、黙り込んでしまいました。


彼も、何か考えているようでしたが、ホテルの駐車場入り口に来ると、


電話を始めました。どうやら、予約を入れてあったようです。


『うっそー、何だよそれ!』


どうやら、ホテルの手ちがいで、他の人と間違えたらしく、空いていないらしい。


彼は不機嫌そうに、すぐそばにあるホテルに、車を移動しましたが、満室表示。


そして、そばにある他のホテルへ・・・満室表示。


その次も、その次も、満室表示。


私は、満室で今日は無しだなーという安心感と、彼の焦ってる顔見てると


、何だかおかしくなって、クスクス笑ってしまいました。


彼も、諦めたようで、


『ごめん。シャワーダメだわー。めしでも食おう。


でも、中根のやつ、どうしたんだろう? 10回以上も電話してきてるよ。』


「私にも、掛けてきてるよ。」


『ちょっと、掛けてみるよ。』


『もしもし、中根? 何か用かよ?』


「今、青山さんと一緒か?」


『あ〜そーだよ。それがどうかした?』


「すぐ、帰って来いよ! 青山さんに手を出したら、絶対許さないからな!」


『お前に、言われる筋合いはねえよ!』


 (プチッ。)


「中根君何だって?」


『お前に、手を出したら許さないだと。何言ってるんだか?』


「そーなんだ。そんなこと、言ったんだ。」


『あー。 めし食おう! めし!

 

でも、着替えないとだな・・・車の中で着替える?』


「スカートを上にはいて行って、トイレで着替えるからいいよ。」


『そっか。 それじゃ、何食べる?』


そんなこんなで、レストランに入り、着替えを済まして、食事をして、


また、車を走らせました。


私は、満腹感と、久しぶりにからだを動かした疲労感と、


お弁当作りと緊張のための寝不足によって、いつの間にか寝込んでしまいました。


『よっ! 起きろ! 着いたぞ!』


「えっ? あたし、寝てたんだ?」


『あ〜、可愛い寝顔だったよ。さぁー、行こう。』


「行こうって、どこに? それに、ここどこ?」


『ホテル』


「えっ?」


『今日は、泊まっていこう?』



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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