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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第33話:許せない賭け

仕事は安定して、これといった事もなく、繰り返しの日々が続いていました。


丸山さんとの事も、順調にいっていると、私は思っていました。


これは、あとから分かったことですが、ドラマなどでやっている事をまねして、


バンドのメンバーが、ある賭けをしていました。


それは、私が、何回目のデートで、丸山さんとHをするかでした・・・。


そして、彼は、自信ありげに、メンバーに言っていたようです。


「5回目にやってやる。」と・・・・・。




そんななかでの、2回目のデート。


約束の場所で、私は彼を待っていました。


彼の黒色の車、キャラバンを私の目は探していました。


すると、私の目の前に、銀色のベンツが止まりました。


「何よ、この車! 邪魔だなー。」と思っていると、「スーッ」と窓が開き、


『お待たせ〜。乗れよ!』と、丸山さんが、顔を出して、びっくり!!


とりあえず、私は乗り込み、車は走り出しました。


「どうしたの? この車?」


『あ〜、この前、あのワゴン、気に入らなかったみたいだから。親から借りてきた。』


「そんなー、気に入らなかったなんて・・・。」


『そっかー? そんな顔してたけどなー。じゃー次からは、キャラバンにするよ。』


『今日は、八景島シーパラダイスに、行こうぜ。俺、水族館とかイルカ、好きなんだよ。』


「私も、好き! ジェットコースターとかも乗りたいな。」


『ジェットコースター? 俺、苦手なんだよ。乗るの?』


「乗ろう、乗ろう!」


水族館を一通り見たあと、イルカたちのショーを見て、ハンバーガーを食べました。


彼は、お魚のことが詳しいようで、色々説明してくれました。


実は、私も色々知っていたのですが、そこは可愛く知らない振りをしていました。


「すごーい! そんなこと知ってるんだ!」


「すごーい! よく分かるね。」


気が付いてみると、「すごーい!」の連発でした。


彼も、気分良さそうな顔をしていました。


ジェットコースターは、無理やり彼を乗せたのですが、本当に嫌いだったようで、


終始無言になり、手摺りをしっかり握っていました。


降りた後も、顔色が青くなっていて、笑ってしまったら、マジに怒っていました。


そのあとは、ゲームコーナーで、ワイワイと夢中になり、あっという間に時間が過ぎました。


食事をして車に戻り、帰るのかと思っていました。


すると、走り始めた車は、ルートからはずれて、近くのヘリポート周辺の公園に止まりました。


『少し、歩こう?』と、言われて、手を引っ張られました。


海風が涼しく肌に当たり、磯の香りと波の音がする、静かなところでした。


少し歩くとベンチがあり、一緒に腰掛けると彼は、私の肩を手で抱き寄せ、


私の頭を、胸元にもっていきました。


『なー、空と海の境目って、分かるかい?』


「ん〜暗くて良く分かんないな〜。」


『そうだろ。どうしてだかわかる? それは、海は、空の色に合わせてるんだ。』


『昼間、青空だと、海も青く輝いて、曇りだと、海の色もどんよりしている、


雨だと、海も一緒に泣いてるんだ。』


「そーなんだ・・・。」


『俺さー、今の気持ちって、海と同じなんだ。


遥が空で、元気がいいと、俺も元気出るし、


遥が、へこんでると、俺も暗くなるんだ。』


「・・・・・。」


『なー、あの海と空のように、今の俺たちって、境目が無いと思わないか?


つまりさー、お互いの気持ちに壁が無くなった様に思えないか?


俺は、今日、一緒に居てそう思ったんだ。


遥のこと、ほんとに好きなんだって・・・。』


そして、彼は、キスをしてきました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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