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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
31/100

第31話:4年ぶりのデート

人は誰でも、秘密がばれたらどうしようとか、悩むことがあると思います。


はじめのうちは、「あとでばれても、ダメならダメでいいや。」


とか思って、付き合っていても、そのうちに、


「ばれたらどうしよう。はじめに言って置けば良かった。」


とか、結果が怖くなって、自分から別れようとしたり、


どうしたらいいのか、決断出来なかったり、悩んだり・・・。


胸に秘密のある私は、こんな気持ちで彼との交際の日々を、過ごすことになります。



目の前にあった車は、まっ黒の1BOXワゴン・キャラバンでした。


窓も、まっ黒で、訳の分からないシールがベタベタと貼ってあり、


一見して「怪しい車」です。


彼が、助手席のドアを開けてくれました。


結構床の高い車で、乗り込むときに、「よいしょ。」って感じです。


「どっこいしょ」じゃないですよ! まだ若いですからね。


ただ、いつもは、スカートをはかないのですが、女らしく見せようと、


今日は、スカートでした。


ちょっと、失敗だったかな〜。


座って、後ろを見て、びっくり! 何も無いのです。


2列目の椅子はたたまれて、平らな広いスペースに、毛布がひいてあるだけ。


「これって、よく仕事で使われてるタイプの車だよね?」


『そうだよ。4ナンバー貨物車。


いつでも、寝れる様にしてあるんだ。試してみる?』


「何言ってるの? バッカみたい。」


『うそだよ。楽器や機材運ぶために、こんな車なんだよ。』


「そーなんだ〜。でも、さっき言った様にも、使ってるんじゃないの?」


『ハハハッー、そう、たまにね。』


「・・・・・。」


『行きたいとこ、ある?』


「別に無いけど・・・。」


『それじゃ、宮が瀬ダム、行こう。なかなかいいところだよ。』


こんな感じで出発して、2時間くらいで、到着。


「噂には聞いていたけど、なるほど、大きなダムだ〜。こんなのは、黒部ダム以来。」


資料館があり、ダムの上も歩けて、ダムの下の公園にも、ケーブルカーで行けちゃう。


そして、少し離れて、自然公園や宿泊施設、レストラン、売店もあるし、


ちょっとした遊園地もある。


ここは、のんびりするには、すごくいいところ。


私たちは、普通の恋人同士のように、ふざけ合いながら、楽しい1日を過ごしました。


時間の過ぎるのも忘れて遊んだ1日も、夕方になり、


『何時までに、帰ればいいんだ?』


この言葉に、一瞬、考えてしまった私。


そう、私はいつも、フリータイム。


でも、考えた結果、「8時くらい。」と、答えた。


ちと、早すぎたか?


『それじゃ、もう帰らないと、あそこで、夕飯食って、帰ろう。』


そして、その言葉通りに、出発の横浜駅に戻って来ました。


まー、初デートは、こんなものか。


と、安堵感と物足りなさのはざまに、心はありました。


まー自分で、8時なんて言っちゃったのが悪かった訳で、ドライブは楽しかったし、


逆に深入りし過ぎても、心の準備はしていなかったので、仕方ありません。


「今日は、ほんとに楽しかった。ありがとう。」


『喜んでくれたみたいで、良かった。来週の土曜日にも、どっか行かない?』


「うん、別に予定無いから、いいよ。」


『そっか! 良かった。 それじゃ、また。』


こんな感じで終わった久しぶりのデート。


手術後、約4年が経過していました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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