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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第26話:KISS

着替えを済ませ、更衣室から出てくると、例によって、中根君が待っていました。


『よっ! お疲れ! きのうは遅くまで、悪かったな。


今日こそは、教習所に行こうと思ってさ。乗せてくれるだろ?』


「あ〜・・・ごめん。 丸山さんとカラオケに行くの。あしたじゃ、ダメ?」


『丸山とカラオケ? 悪い事言わないから、止めとけよ。


この前、牛丼屋でも、言ったじゃん。


奴は、恋愛とかしないで、次から次へ、ただ遊ぶだけだから・・・。


青山さんは、そういうの平気なタイプの女じゃないだろ?』


「何で、丸山さんをそんなに悪く言うの?

 

私のことだって、分かってるみたいに言わないでよ。」


『だ・か・らー、俺は、前に奴のバンドで、ベースやってたんだよ。


ライブの度に、気に入ったファンの女の子を、打ち上げに誘って、


その中の1人とホテルに消えて行くのを、何度も見ててさ。


ある日、[お前がやってることは、何か違うんじゃないのか?

 

そんな事する為に、バンド組んだんじゃないだろ?]


みたいな事言って、言い合いになって、結局、俺は、バンド抜けたんだけど・・・。


青山さんが思ってるような奴じゃないって・・・。』


「ご忠告ありがとう。でも、約束だから。バイバイ。」


私は、バイクに乗り、約束のカラオケ店に向かった。


途中、中根君が言ったことが、気にならなかった訳でもないけど、


今は、丸山さんの歌が聴ける事に、胸がときめいていました。


カラオケ店に着くと、バンドメンバー4人と話している、丸山さんが居ました。


『よー。俺たちも今着いたとこ。この5人でフルメンバー。


挨拶はあとにして、とりあえず、部屋行こう。』


部屋に入ると、飲み物やおつまみを頼み、お互いの挨拶を済ませました。


いつも、警戒して端に座る私でしたが、丸山さんが手を引き、


L形の座席の真ん中へ、2人で座りました。


バンドの1人が、今日はエレキでなく、生ギターを出しチューニングをしたかと思うと、


丸山さんが立ち上がり、座席の反対側へ・・・。


ギターの音が、響き渡り、そして・・・丸山さんが、歌った!


バラードで、切なく歌う姿が、また何とも言いがたく、オリジナル曲を目の前で、


ギター演奏で聴くのが、こんなにも感動するものだとは思いませんでした。


歌い終わると、丸山さんは、隣に戻ってきて、私の耳元で言いました。


『どう? 今の曲? 僕が最初に作った曲なんだけど、気に入ってくれた?』


わたしは、気分が舞い上がり、ドラックでもやっているかのようでした。


「うん。感動したわ! とても気に入ったよ。」


『そうかい。それは良かった。


僕は、好きな曲に感動してくれる君が、とても気に入ったよ・・・。


僕と付き合ってくれないか?』


彼は、そう言うと、くちびるを合わせて来ました。


私は、からだが動かなくなって、ただ目を閉じていました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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