第20話:男の解決法
『あーほんとだよ。俺って、初対面だと女にも男にも好かれないのかねー?』
(それって、私に対して言ってるのかよー。ムッ!)
「昼から、どーすんのさ?」
無関心のようだった山川君が、急に口を開いた。
『とりあえず、行かなきゃいけないなー。朝と変らないだろけど・・・。』
「管理の中村さんには、話したのか?」
『さっき電話したら、明日の朝来るからって、言われたよ。」
「明日の朝なんて、のんびりしてるなー、今来てくれなきゃ、午後から困んじゃんかなー。」
岩田さんが、もっともな事を言った。
(キンーコーン、カンコン♪) 昼休みが終わった。
みんなも心配しながら、職場に戻って行きました。
私も、心配だったけど、何か出来るわけでもないし、私は私で、山口派か?、北村派か? 困っていました。
仕事は、朝の続きで、西田さんとペチャクチャとおしゃべりをしながら時間が過ぎていきました。
どー見ても、私たちは、仲良く見えている?
ふと気になって、北村さんの方を見ると、ドキッ!
目が合ったー! 北村さんがこちらを見ていた。
距離もけっこうあり、間に色々な物があって、まともには見えないが、見ようとすれば、何とか見えるような感じだけれど、
今は、はっきりと、目が合った。
何か、悪いことをしているような気分になってしまいました。
「あ〜もう、こんなの嫌だよー。」
こんな雰囲気の中、勤務時間も終わり、着替えて更衣室を出ました。
『よー、お疲れ!』
「池田君! ・・・ 大丈夫だった?」
『俺のこと、心配してくれてたんだ? 青山も分からない奴だよなー。』
「分からなくなんてないよ。ふつう心配するよ。」
『それは、どーも! でも、俺は、平気だよ。
あんまりにも、頭にくる事があってさ。
首根っこ捕まえて壁に押し付けてやったんだ。
ほかの2人の居る前で、リーダー格の奴をさ。
反撃しようとしてたけど、素人には無理で、動けなくて、困ったあげくに、言った言葉が、《もう、許してやるよ。》だって。
殴っても仕方ないから、
《ありがとうございます。頑張りますので、何でも言ってください。》
と言って、向こうの立場を考えてから離してやった。
そしたら、手の平返したように、やたら話しかけてくるようになって、仕事も普通に出来るようになっちゃったよ。』
「えーっ! うそーっ! うそーだ〜。 池田君って、強いの?」
『まー空手は、小2からやってて、4段だし、合気道に少林寺拳法もやってたし、今は、週2で、ボクシングジムに通ってるよ。』
「何それ? 心配して損しちゃったよ。でも、力ずくで解決なんて感心しないなー。仕返しとかされんじゃないの?」
『大丈夫だよ。今まで、何度かこんなパターンあったし。話してみたら、お互い理解できたみたいだし。』
「ふ〜ん・・良くわかんないけど。 良かったね。男の人は、そんな解決もあるんだね。」
『ところで、青山は、中根と付き合ってるのか?
さっき、中根が、お前のこと待ってたように、突っ立てたからさ。』
「付き合ってなんかないよ。何回か一緒に帰っただけだよ。」
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)