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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第17話:初めての2人乗り

『害虫? なんだよそれ? ひでーなー。』


「中村さん、それで、池田君はどうなるの?」


『係長が、責任を持って、いじめている3人に嫌がらせをやめるように言うそうだ。』


「それで、大丈夫なのかな?」


『明日から、池田を復帰させるから、みんなよろしく。』


みんなスッキリしないようでしたが、


昼休みも終わり、仕事場に戻って行きました。



私は、午後の仕事も午前と変らず、山口さんと一緒かと思っていたら、


山口さんは、違うことをするので、なんと、なんと、1人ですることに・・・。


「どーうしよう? まだ1人で、するとは思っていなかった・・・。

どうか、分からない品物は来ないでおくれー。」


そして、品物の変更が終わり、ラインが動き出した。


「えーと、これは、たしか・・こうだ!」


次々と品物が流れて来たけど、何とか1時間を乗り切りました。


ラインが止まり、品物の変更が行われて、次の伝票が回ってきました。


「あー、これね、大丈夫。準備、準備と・・・。」


ラインが動き出し、品物が流れて来て、私は箱に入れ始めたが、なんか、旨く入らない! 入れ直したけど、入らない!


「えーどうして? やばい、やばい!」


品物が、どんどん溜まって、このままでは、ラインを止めてしまうー。


「キャーどーうしよう? こうじゃないし・・あー、もう〜。」


私が、焦っていると、背後から私の左手(ライン上流)に、一人の男が・・・。


『何やってるの? ライン止めると、怒られるぞー。』


中根君だった。


素早い手さばきで、次々と品物が片付いていきました。


「ありがとう。助かったわ。この前も、いいところに来てくれて、ほんと、グットタイミングだよ。」


『たまたま、品物を移動させている時だったからね。』

 

「でも、遠回りじゃないの?」


『ヘマして、助け呼んでるんじゃないかと思ってさ。』


「恐れ入りました。その調子でこれからもよろしくー。」


『だけど、まだこんなのも、分からないんじゃ。まずいよ。』


「そうかな? 」


『メモとか、取ってないの?』


「んー、手袋とかしてるから・・・。」


『休憩時間に思い出して書くとか?』


「記憶が、混ざっちゃって・・・。」


『帰りに、一緒にめし食わない? 俺のメモ、コピってやるよ。』


「ありがとう、助かる。 あっ、でも私バイクだったんだ。」


『バイクって? 原チャリ?』


「違う、250のスポーツタイプ。」


『後ろ乗れんの?」


「乗れないことはないけど・・・。」


『メットは、どうにかするから。じゃーあとで・・・。』


行ってしまった。


私、考えてみれば、後ろに乗せて走ったこと無いんだ〜。


やっぱし、万が一怪我させるとまずいから・・・。



仕事も何とか終わり、着替えを済まして外に出ると、中根君が工事現場でかぶるようなヘルメットを持って待っていました。


「それって、まずいんじゃない?」


『気にしない、気にしない、さぁ、行こう。』


何か変な雰囲気のまま、バイク置き場までやって来ました。


「これよ。」


『へぇ〜、こんなの乗ってるんだ。人は見かけによらないね。』


「ねぇ、やっぱり、やめよう?そのメットも駄目だよ。」


『いいって、いいって。何とか座れるようになってるじゃん。』


仕方なく私はバイクを置き場から出して、エンジンを掛けた。


[バァーン、バァーン。]


2スト特有のエンジン音が響いた。


彼が、後ろにまたがって来ました。


私も、やっと足が届く程度なので、傾くととてもつらい。


そして、彼が私の脇に手を入れて、しがみつくような格好をしてきました。


本来、このタイプのバイクは、2人乗りする様にはなっていなくて、

  

彼が座っているところは、私のところよりも一段高くなっています。


それで、私の脇から入って来た両手は、私の胸の位置に来ました。


「キャー、何やってんのよー。」


私は、支えていた足から力が抜けて、バイクは倒れました。


「ガチャーン♪☆」


「いったい、どこ触ってるのよ!」


『ごめん、ごめん。わざとじゃないよ。普通こうするじゃん?』


「椅子の高さが違うんだから、自分で真っ直ぐ座ってよ。」


『どこ掴まれば、いいんだよ?』


「もーしょうがないなー、それじゃー、腰のベルトに・・・。」


バイクを起こしながら、見てみると・・・。


「あー、傷ついちゃったー。」


『ごめん、どーすればいい? 弁償?』


「すり傷だし、修理って傷じゃないし、もういいよ。」


そして、私はバイクにまたがり、エンジンを掛けた。


彼が、またがり、今度は彼の手が、両腰から前へ来て、


腰骨より少し前の辺りのベルトを掴んだ。


結局、彼は前傾になり、彼の胸は私の背中にくっ付いて、


彼の顔は、私の肩の上にあった。


「密着し過ぎー! それに、おもーい!」


男性経験のあまり無い私は、なんか気になってしょうがない。


『出発進行!』 なんか、彼は元気だけれど・・・。


私は、彼の両手の親指がジーンズの中に入ってるのが、すごーく気になっていたけど、そのまま走り出しました。



(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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