第16話:外注さんは害虫さん?
今日の私は、ルンルン気分♪♪
そう、バイクで通勤できるからでーす☆
私のバイクは、ヤマハTZR 250 SPR です。
2サイクルエンジンの「レーサーレプリカ」と呼ばれるタイプ。
気持ちいいほどに、すごーく速いバイクです。
手術のあと閉じこもり気味になった私に、「おもての空気でも、吸って来い!」とばかりに、兄貴がくれた、お下がりバイクです。
免許は、車と一緒に18歳の時取りました。
たまに、貸してもらい、乗っていましたが、自分の物になった喜びもあり、箱根や伊豆に行くようになりました。
ツーリングの相棒は高校の時からの友人、涼子です。
彼女も、車やバイクが好きで、同じ様なタイプのバイクで、ホンダCBR250RRに乗っています。
たまに、レースまがいのことをして遊んでいます。
まー、こんな感じでーす。
セルスターターが無いので、キックでエンジンに火を入れます。
(2サイクルエンジンは、案外これが女の子には、難しいのでーす。うっかりすると、点火プラグが濡れて、オーマイゴット!交換です。)
いざ出発〜☆
多少渋滞もあったけど、満員電車に比べたら、なんのこれしき!
電車通勤の約半分の40分で、到着。
早く着きすぎたので、着替えたら、食堂に行ってお茶する事にしました。
1人で、お茶していると・・・。
『おはよう! 早いね!』
誰かと思ったら、新井係長でした。
「おはようございます。」
『青山さんも、慣れて来たようだね。社員からも評判はいいよ。』
「そうですか。 ありがとうございます。」
『そうそう、謝っておかなっければいけなかった。』
「何ですか?」
『面接の時、会社を辞めた理由を聞きすぎちゃって、不快な思いさせてしまったことなんだけど。
セクハラについて、研修なんかで取り上げられてて、どんな事がセクハラになるのか、知りたい気持ちがあって、つい聞いてしまったんだけど。悪かったね。
まっ、仕事で分からない事有ったら、何でも聞きに来て。』
透けパンの時といい、悪い人じゃないことは分かりました。
仕事が始まり、今日は、山口さんに付くことになりました。
山口さんは、相変わらず元気で、注意ばっかりされましたが、ちょっと、怒られるコツが分かってきました。
それは、怒られても、しょぼんりと落ち込まずに、元気良く謝る事でした。
そうしているうちに、笑顔が生まれるようになり、山口さんも身の上話をしてくれるようになりました。
昼休みになり、食堂に行くと、やっぱり池田君の姿はありませんでした。
すると、地域管理者の中村さんが来て、説明をしてくれました。
それは・・・。
この会社は、去年人員整理を行い、かなりの人がリストラされたとのこと。
そして、池田君の配置されたところが、リストラされた人が多く、残された人の心に壁を作ったということ。
つまりは、仲間がリストラされて、代わりに人件費の節約になる私たち派遣の人間が入り込んだ事が、彼らには、仲間を追い出したように見えて、嫌がらせの対象になったそうです。
彼らは、池田君や私達をこう呼ぶそうです。
「害虫さん」 (表向きは外注さんと云う事です。)
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)