第13話:変なカラオケ
ここは、カラオケ店の前、土曜日の午前11時40分。
「あ〜〜来てしまった。かっこいい男の誘いに、弱い馬鹿な私。」
でも、あと1歩が出ない私は、ここまで来ていながら、悩んでいる。
「ん〜〜どうしたものか? 涼子を誘うか?
あ〜も〜、今頃何を考えているの、私は!」
『何してるの? こんなところで? さ〜行こうぜ!!』
・・・し、しまった。後ろから、中根君が来るとは、なんと、不覚な!
背中を押されて、店内へ。
ギョーー 丸山さんと、バンドの派手なメンバー2人を、発見!!
『よっ!青山。 休みなのに悪かったね!』
「いいえー。どーせ暇ですから・・・。」
『そーなんだ! 彼氏とかいないんだ。』
何よ!その対応は! 社交辞令だつーの!!
『え〜、こっちが、浅野。あっちが、沼田。』
予約をいれていた様子で、すぐに部屋に入れることに。
私は、一応警戒して、ドアの近いところに着席〜。
いつも無口の丸山さんが、何か違う。
『中根、なんか適当に注文してくれよ。』
すると、中根君は、慣れたような返事で応えた。
『はいよ!』
中根君は、みんなに聞くことも無く、次々と注文を始めた。
不思議だなーと思っていた私に、突然、丸山さんが声を掛けた。
『さーて、青山さん、いってみよーか!』
「えっ? 私? この前、中根君居なかったから、中根君の聴きたいな!」
『中根はいいから、青山さん、この前の早園麻紀、歌って。』
「でも・・・。」
オケが始まってしまい、歌わずにはいられなくなり・・・。
「♯♯・・浜辺通に、車止め・・・♪♪」
何やら、3人で、ヒソヒソ話。
『青山さん? もっと、ロックしてるの、歌えない?』
「ん〜、何だろう? そーだな? 色瀬マミの ブラックストーン くらいかな〜?」
また、オケが始まってしまい、歌ってしまった。
浅野君が、マジ顔で言いました。
『ついていってないなーちょっと、難しいかな?』
「いったい何? おかしいよ、この状態。」
『他に何かないかな〜? 本見てみて!』
なぜか、言われるままに、探してる私。(私も、おかしい?)
「あっ! これは? 〈ラベッカのフレンディー〉」
『おーいいねー、いってみようか?』
またまた、オケが、鳴り出して、歌ってしまう私。(変だよ!絶対変だよ!)
『ん〜 いいかもしんない。』
沼田君が、持っていたエレキギターをケースから出した。
『青山さんは、楽譜読めんの?』
「ん〜ん〜、読めない。」
『まー、いいや。もう1回、いってみよう。』と、丸山さんは言うと、
携帯電話で話し始めた、『譜面、すぐ持って来れる? んん、場所は・・・。』
またまた、またオケが始まり、歌い始めると、沼田君が、ギターを弾きだした!
アンプがないので、シャカシャカ音だけど、うまい!
ドアが開き、食べ物が来たので、一旦休憩?
みんなが食べてるときに、譜面のコピーを持って、塚田君、登場もすぐユーターン。
「こんにちは。」
「さよなら。」 (絶対おかしいってば・・・。)
『じゃー、始めるか。 青山さん、歌って!』
私が、歌い始めると、「くちーびるを 合わせた日は〜♪♪」
譜面を見ながら、『違うよ。そこは、こう・・・もう一度』と、
アドバイス。
こんな繰り返しで、かれこれ20回くらい歌わされたぁ〜。
『何とかなるね。』 と、浅野君が言うと、やっと私の番が終わった。
私は、何がなんだか分からずじまいで、疲れたぁ〜
「ねー、いったい、何なのこれ? 君たちは全然歌ってないじゃん!」
丸山さんが、やっとその気になってくれたようで、
『レインボーが、好きなんだっけ? それじゃーこれいくか。』
と、腰を上げてくれた。
それから、丸山さんがレインボーの曲を続けて3曲歌い、大感激してしまった私。
そのあと、中根君が、サザンバードを歌ったらしいが、全然耳に入っていない私。
あ〜まずい! 私の心がときめきだしてる〜♪
もう、前半の変な状態なんか、どうでもいい!
彼の歌をもっと、聴きた〜い!
ライブ 絶対行くぞー☆
(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)