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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第12話:丸山さんからの誘い

朝、目が覚めると、昨日の仕事の気疲れと、


ほとんどその場に立ちっぱなしで、手が動きぱなっしの慣れない体の動きで、


すごーくだるい。あっ〜。


それでも時間は、過ぎて行く〜。


急がねば!



混んだ電車に身をまかせ、ゆらりゆらりの苦痛な時間。


よたよた歩いて、やっとロッカールームに到着!


「あっ!誰かいる。」


同じ列の5個くらい隣・・・ギョ・・山口さん!


「おはようございます。」 


『おはよう。』


「いい天気ですね。」


『どこから来てるの?』


「横浜です。」


『そう。1時間くらい?』


「駅から坂を少し歩くので、1時間20分くらいです。山口さんは?」


『私は、近くの小川町で、原付バイクで10分。』 


「原付いいな〜。私、バイク好きなんですよ。」


『あんたも、バイクで来ればいいじゃない?」


「えっ、いいんですか?」


『協力企業の人は、許可書要らないし、バイクの人多いいよ。』


「ほんとですか? それじゃ、うちの会社の管理者に聞いてみよう。」


『あんた、胸がどうかしてんのかい?』 


「えっ?」


『なんか、隠して着替えてるからさ。気にしてたら御免よ。


でもさ、これ見てごらん。』


山口さんは、私の方を向いて、おなかを指差した。


そこには、10センチ以上の大きな傷跡があった。


『胃がんで胃を全部取ったんだよ。どうだい、結構ひどいだろ?』


「あ〜何と言ったらいいか。」


『ハハハァ(笑)正直だね。


でもね、こんな風に、相手が気に掛ける前に、


自分から言ちゃうと、気が楽だよ。相手がどう思おうとね。』


「う〜ん。そうですか〜。」


あ〜、朝から、濃い話をしてしまった。


でも、私のは、男子に簡単に言えるところではないよ。


増してや、自分から言うなんて、ありえないつーの!



朝会が終わり、係長に呼ばれて、変な機械の前にやって来た。


『今日は、これをやってもらうから。やり方は・・・・・・・。』


「はい分かりました。」


これが、昨日、中根君がやってたやつね。


どれどれ・・・と、30分くらい何とかやっていたんですが、なんかうまくいかなく


なって、色々考え始めていました。


そんな時、正面から、中根君が歩いて来ました。


『どうした? うまくいかないの?』


「大丈夫なの?こんなところ来て?」


『あー、品物換えて、ライン切り替えてるから、箱取りに来たんだ。』


彼は、私の手の動きを見て、上手く出来ないのが分かったらしく、私の横に付いて教え


てくれました。


『ん〜これをやる時は、ここに合わせるんだよ。』


「ワ〜ッ。すごいね。分かるんだ!」


『きのう、やってたからね。


でもさー、今日は、仕事よりも山口のおばちゃんの方が大変だよ。


青山さんは、良く1日耐えられたな?』


「そーね。怒りすぎよね。でも、悪い人じゃないみたいよ。」


『そーかー? 遅いと、また言われるから、俺、もう行くわ、じゃー!』


「うん、ありがとう。」


彼のお陰で段々と要領も分かり、リズムに乗れるようになってきました。



〔キンコン・カーンコーン♪〕


昼休みになり、私は中根君を誘い食堂に行きました。


昨日の事もあり、池田君が待ってるんだろうなーと思うと、


少し気が重くなってきました。


ところが、食堂に着くと、みんなの中に池田君が居ませんでした。


「あれ、池田君は?」


『休みだよ。 風邪ひいたとさ。』


「そーなんだ・・・。」


(本当に風邪?まさか、きのうのことが原因じゃないよね・・・。)


池田君がいないと、みんなの会話がなんとなく弾まない。



午後の仕事も、午前と同じで、1日中機械と向かい合っていました。


昨日の山口さんに比べれば、疲労度は半分といったところ。


終了のチャイムが鳴り、更衣室で着替えてから外に出ました。


池田君が待っているわけも無く、一人で歩き出していると、


大好きなレインボーの着メロが鳴り出した。


「丸山さんからだ! もしもし・・・。」


『土曜日に、カラオケ行かない?』


「みんなで行くの?」


『いや、バンドのメンバー2人と俺と青山さん。』


「私の知らない人達なんだね。悪いけど、気乗りしないなー。」


『じゃー。池田、誘っていいよ。』


「ちょっと、けんかしちゃったから・・・」


『そうなんだ〜。それじゃー・・・中根誘うから、いいだろ?


昼12時に、この前のとこね。絶対来てよ!』


(ガチャ)


「あっ! ちょっと、待ってよ! 行くって言ってないよー。」


わっ! どーしよう・・・。


でも何で、誘われたの? 困ったよ〜。


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