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胸の傷と心の傷  作者: 乙女一世
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第10話:私のこと好きなの?

私は、山口さんの横に立って見ていました。


製品が流れてくるのを、次々に箱に詰めていく仕事。


製品の種類によって、箱への並べ方や、箱の種類も違う。


全てのパターンを覚えるのには、1ヶ月くらいかなー?


『大体分かったでしょ? 横で一緒にやってみて!』


「はい。」


3分位して。


『あんた、遅いよ! 


ここまで溜まると、センサーが反応して、ラインが止まるんだよ。


そしたら、上から怒られるんだから、


もっと、早くやらないと一人じゃ出来ないよ。』


「はい、すみません。」 (おー怖わ・・・。)



5分の休憩になって、外に出たら、ベンチで中根君がタバコを吸っていました。


「そっちの調子はどう?」 私は声を掛けてみました。


『今日のパンツは何色?』


「ムカツクー。」


『ごめん、冗談だよ。仕事は大した事ないけど、油の臭いがなー。


昨日のカラオケどうだった?』


「みんなうまいの! びっくりだよ。特に、丸山さんは、凄いよ!」


『あ〜。あいつは、バンドでボーカルやってるしね。』


「え〜っ、知ってるんだ?」


『前に居た印刷屋を一緒に辞めて、ここ受けたんだ。』


「そーなんだ。」


『今度、朝日ランド遊園地でライブやるから、行けば?』


「行く行く。ねー、みんなで行かない?」


『あっ、時間だ。』


「えっ? もう。」



仕事は、さっきの繰り返し。


製品の大きさが色々で、結構重い物も有り、手が疲れる。


両手で掴んで、どんどん入れないと間に合わない。


パターンを考えている暇なんてない。


機械に操られている私。


そうこうしている間に45分の昼休み。


ほっと、出来る時間。


勤務時間がグループによって分かれていて、


まだ、昼休みにならないグループもいる。


つまりは、ラインを止めないわけだ。



中根君と食堂に行くと、入り口のところに、見たことのある面々が・・・。


『よー、仕事はどうよ?』 池田君だ〜。


「うん、まあまあ。」


『セルフのやり方が分かんなくてさ、きのう青山、食ったって言ってたから、


教えてもらおうと思って、みんな待ってたんだ。』


「うそつけ、そんなにむずかしことじゃないし、見れば分かるじゃん。」


『まっ、そう言わずに、みんなで食おうぜ。』


みんなで、食べながら自分たちの仕事の話をしているなか、私が割って入りました。


「あっ、そーだ、丸山さん。来週の日曜日、朝日ランド遊園地でライブするんだって?」


『あ〜やるよ。』


「ねぇ、みんなで行こうよ!」


『お〜、行ってみっか。』とは、池田君。


『OK−』


『遊園地か・・最近行ってねーなー。』


『別に用事ないし。』


「よし。決まりね。」


『そーだ。まる、あした誕生日じゃん。』と、中根君。


「えーっ! うそー プレゼント用意しなきゃ。」


『その気も無いくせに・・・。』


「そんなことないよーだ。」


『それじゃ、携帯電話に付いてる、イルカのストラップくれない?』


「あ〜これ? ま〜、いいっか。 あげるよ。 はい。」


『サンキュー。』


『いいな。いいな。丸ちゃんいいなー。俺、今日誕生日なんだ。』と、池田君。


「ウソばっかり。」


昼休みも終わり、みんな各自の職場に戻って行きました。



『そろそろ、慣れてきた?』 と山口さん。


「はい、少し。」


『それじゃー、こっちでやって。 私が居ないと思って、全部やってみて。』


「えっ!まだ無理ですよ! 詰め方のパターン、分からないです。」


『教えるから、やってみて。』


「はい。」(あ〜緊張する〜)


それから、2時間、何度も注意され、どきどきしながら、


何とかやって、10分の休憩になった。



さっきのベンチに行くと、中根君がタバコを吸っていました。


今度は、彼から声を掛けてきました。


『よっ! お疲れ顔だね!』


「あ〜、疲れた〜」


『明日は、そっちと交代みたいだよ。』


「ほんと? むずかしいの?」


『いや、簡単だよ。』


「あっ!、時間だ。」



それから、5時まで、


『ほら、それ違う!』


『なんで、そんな持ち方するの!』


『遅い! もっと早く!』


『さっきやったでしょ!』


怒られて、ばっかり。


かなり、へこんでしまった。


『はい、時間だから、係長に挨拶して帰っていいわよ。』

 

「お疲れ様でした。有難うございました。」


『頑張ったわね。明日も来るのよ。』


「はい。」



着替えを終えて、更衣室から出てくると・・・。


「いた〜。池田君!!」


『お疲れ! 一緒に帰ろうぜ!」


「はっ? まっ、いいか。」


駅まで、20分。


池田君の好きな歌手・早園麻紀の話やら、趣味や前の仕事の話などをして歩いた。


駅に着くと、池田君は、私の顔を見て、


『ねぇ、一人暮らしなんだろ? 飯食って行かない?』


「今日は疲れたから、遠慮しておく。」


すると、池田君は、私の手を引いて、いきなり歩き出した。


「エッ!! なに? ちょっとー・・・。」


(もー君は、本能のまま行動してるの? 少しは考えろってば!)




(つづく)(登場する人物・団体・場所の名前、名称は架空のものです。)

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