『6(全6話)』
「……あれ?」
気が付くと、ぼくは自分の部屋の床で寝転がっていた。あたりまえだけど、とても寒い。しかも、窓が開いたままだった。
「え? ぼく、いつの間に……」
窓が開いているから部屋の気温は低くて寒いけど、風はなかった。開いたままの窓からは、冷たい風の代わりに、温かい太陽の光が差し込んでくる。
「朝」
呟いて、のろのろと立ち上がる。
朝だ。
いつも通りの。
「夢……」
だったのかな? じゃあ、いったいどこからが夢だったんだろう?
わからない。
「サンタさんなんて、よく考えればいるわけないじゃん」
もやもやした気持ちを吹き飛ばしたくて、ぼくはわざと声に出して言ってみた。言ってみるとちょっと気分がすっきりしたので、ぼくは窓を閉めて、着替えることにした。
「あれ?」
ベッドに隠れて、見慣れない箱がひとつ、置いてあった。ぼくが両手で抱え込んでちょうどいいくらいの大きさの、四角い箱だった。赤と緑のシマシマが描かれた紙で包まれている。
「これって……」
期待を胸に、包み紙を無理やり破って箱を開ける。
「あ……」
中に入っていたものを、外に取り出してみて、ぼくは驚いた。
それは、ピカピカのサッカーボール。
ぼくがカッちゃんにあげようと思って、結局あげることができなかったクリスマスプレゼントだったんだ。
「サンタさん、ありがとう」
ぼくの、一番欲しかったクリスマスプレゼント。
満月みたいに真ん丸なサッカーボールを両手で抱えて、ぼくはもう一度「ありがとう」と声に出して呟いた。
今なら、カッちゃんに「ごめんなさい」を言える、そんな気がした。
『お月さまとクリスマスプレゼント』いかがだったでしょうか。
『ぼく』はサンタさんとの出会いでいったい何を手に入れたのでしょう。『ぼく』がカッちゃんに「ごめんなさい」を言えなかった理由に振り返って、イノチのキモチの言いたかったことが伝わっていればと思います。
それではまた、次の作品でお会いしましょう。