表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
34/75

34.廃棄処分の人魚は【新品】になりましたが、主様が尊すぎるので、歌で理性を溶かして私だけのモノに作り変えてもいいですか?【Side:真魚美】


【Side:真魚美】


 私の名前は真魚美まなみ人魚セイレーンの末裔です。

 元々、私は海の底で、仲間達と一緒に暮らしていました。


 ……今は昔、ある日のこと。

 海から顔を出した岩場に座り、私が歌を歌っていると……一人の、船乗りの男性が漂流していることに気づきました。

 船が難破したのでしょう。


 幼かった私は、彼が可哀想で、つい助けてしまいました。

 瀕死の彼を元気づけるため、セイレーンの歌で彼を励ましたのです。


 目を覚ました彼は、私の手を握り言いました。

「君の歌声は世界一だ。君の魂に惚れたんだ……!」

 そう、熱烈なプロポーズをしてきたのです。


 当時はまだ、恋を知らない乙女でしたから、戸惑いました。

 でもあまりに毎日のように、熱烈に求婚してくるものだから……私は彼からの求愛を受け入れることにしました。


 彼の仲間が、彼を助けに来るまでの間、私たちは恋人として過ごしました。

 幸せな日々……だったような気がします。


 しかし、そんな幸せは長く続きませんでした。


 ある日目覚めると、私は醜い半魚人の姿に変えられていたのです。

 本当に突然のことで、困惑しました。


 セイレーンの族長に相談したところ、海に住む悪い魔女の呪いではないかとのことでした。

 急いで魔女のもとを訪ねると、彼女はあっけらかんと、私に呪いをかけたことを明かしました。


 どうやら、私の恋人に片思いしていた同族のセイレーンが、嫉妬に狂って依頼したとのことでした。

 ……元に戻して欲しいと頼んでも、無理だと突っぱねられました。


 いくら頼んでも、呪いを解いてくれませんでした……。

 私はどうにもならず、愛する彼に助けを求めました。


 けれど、彼は私を見るなりこう言ったのです。


「うわぁ……! なんだこの化け物は! 汚らわしい! 近寄るな!」


 彼は私を蹴り飛ばしました。何度も……何度も……。

 そこで私は気づいたのです。

 彼は私の歌声でも魂でもなく、ただ「美しいセイレーンの外見」だけを愛していたのだと。


 私は、泣きました。

 呪いで醜い姿にされ、信じていた人に裏切られ、心も体もボロボロになっていました。


 そして嘆き、悲しみ……泣き続けた結果、喉は潰れ、自慢の歌声すら失いました。


 私の持つ全てを失った私は、「ゴミ」として、奴隷商人に売り払われました……。


 そこからのことは、あまり……思い出したくはありません。

 醜い魚人だと、誰もが私を罵り、殴りつけてきました。


 みんな、私を見た目だけで判断する。

 声も見た目も失ったゴミには……価値がない。

 こんな臭い魚人なんて、誰も……愛さない。


 そう、思っていたのに。


『……ゴミじゃあない。人に、ゴミとか、二度と言うな!』


 あの時。

 あの方――リオンちゃんだけは、違いました。

 最も醜く、薄汚れていた私を見て、本気で怒ってくれた。

 私の価値を、認めてくれた。


 そして、【商品修繕リペア】。


 リオンちゃんの手から流れる、温かくて、強引で、とろけるような魔力。

 それが私の全身を駆け巡り、内側からぐちゃぐちゃにかき混ぜられ、作り変えられていく感覚。


 その瞬間……私は、理解したのです。

 この方こそ、私の求めていた……『つがい』様なのだと。


     ◇


真魚美まなみ、進路はどう?」

「……っ! は、はいっ。順調……だよ、リオンちゃん」


 操舵輪を握る私の隣に、リオンちゃんがやってきます。

 8歳の、小さな子ども。

 でも、その体には底知れない魔力と、海よりも深い優しさが詰まっています。


 ……だめ。

 直視しちゃだめ。

 見つめていると……また、あの「本能」が疼き出してしまう。


 セイレーンは、歌で異性を惑わす魔物です。

 気に入った人を見つけたら、その理性を歌で溶かし、何も考えられない操り人形にして海へ引きずり込み……子供を作るの。

 それが、私たちの種族としての「愛し方」。……リオンちゃんって男の子かな、女の子かな。わかりにくいけど……でもいいんだ。


 女の子同士でも、セイレーンには、子供を作る方法があるから。大丈夫。

 

(リオンちゃん……いい匂い……)


 潮風に混じって、この子の甘い匂いが鼻腔をくすぐります。

 あぁ……今すぐ、この子を抱きしめたい。

 あの小さな耳元で、【服従の歌】を囁きたい。

 そうして、トロンとした目になったリオンちゃんを船底の部屋に連れ込んで、誰にも渡さないように鍵をかけて……。


 毎日、毎日、私の歌だけを聞かせて。

 私のご飯だけを食べさせて。

 私のことしか考えられないようにして。

 そうして、私の卵を、お腹いっぱいに……。


「真魚美? 顔が赤いけど、大丈夫?」


 リオンちゃんが心配そうに、私の額に手を伸ばしてきます。

 ひゃぅっ。

 そ、その手で触られたら……!

 また、リペアされた時の、あの熱い感覚を思い出して……!


「だ、だいじょうぶ……! ちょっと、日差しが強い……だけ」


 私は必死に、スカートの裾を握りしめて耐えます。

 だめ。

 そんなことをしたら、リオンちゃんに嫌われてしまう。

 前の男のように、「化け物」を見る目で見られてしまうかもしれない。

 それだけは、絶対に嫌。


 私は、「清楚で役に立つお姉さん」でいなきゃいけないの。

 そうすれば、リオンちゃんはずっと傍に置いてくれる。

 頭を撫でてくれる。


(……でも)


 私はチラリと、甲板にいる他の女性陣を見ます。

 美しい女騎士のキリカさん。

 妖艶な美女のグーラさん。

 高貴な雰囲気のアナさん。

 みんな、リオンちゃんを狙っている強力なライバル。


(……もし、リオンちゃんが他の誰かのものになりそうになったら)


 その時は――理性なんて捨ててしまおう。

 全力の【魅了の歌】で、リオンちゃんの心をハッキングして、私以外を愛せないように脳を作り変えてしまえばいい。


「……えへへ♡」


「真魚美? なんか今、すごい含み笑いしなかった?」

「ううん? ……リオンちゃんの役に立てて、嬉しいなーって……思っただけ♡」


 私は精一杯の「良い子」の笑顔を作る。

 大丈夫。

 今はまだ、我慢できる。

 だって、この船の舵を握っているのは私。

 進路を決めるのも私。


 いつか、誰もいない無人島に船を漂着させることだって……私にはできるんだから。


「面舵いっぱーい♡」


 私は愛しいご主人様を乗せて、今日も海を往くのです。

【作者からお願いがあります】


少しでも、

「面白い!」

「続きが気になる!」

「更新がんばれ、応援してる!」


と思っていただけましたら、

広告の下↓にある【☆☆☆☆☆】をタップして、

【★★★★★】にしてくださると嬉しいです!


皆様の応援が、作品を書く最高の原動力になります!


なにとぞ、ご協力お願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
尾びれ→足が出来るならナニぐらい生やせるわなぁw
ヤンデレ感が半端ないな!
マトモな娘かな?と思ってたらやっぱり変態だったかー
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ