24.レベル2になったリサイクル・スキルをフル活用して、一瞬で温泉を作りました
20万ものRP、そして、レベル2の力。
レベル2【買取】は、範囲内にあるものを、一括購入できる。
だが、それだけじゃない。
わたしの【リサイクルショップ】には、さらに【市場調査】、【仕様変更】、【商品修繕】という三つの機能がついている。
商品を探し、手入れし、時には別の物に作り替える。
それが、リサイクルショップスキルの極意。
「レベル2になったことで、それらの力が拡張されたんだ。見ててね!」
わたしは目の前の虚空に右手を向けて、発動させる。
「――【市場調査】・レベル2:【資源探査】!」
「資源探査……?」
シュンッ……!
わたしの目の前に、青白く発光する半透明のウィンドウが展開される。
そこに表示されたのは、屋敷を中心とした周辺の3D地図だ。
地形がワイヤーフレームで描かれ、地表だけでなく、地中の構造までが透けて見えている。
「今までの市場調査は、壊れた物や者しか調べられなかった。けど、その調べられる範囲が、レベル2になったことで拡張されたんだ」
「それが資源……ですか?」
アナが地図を覗き込む。
「そう。資源、つまり水脈、鉱脈、そういった埋蔵されたエネルギーも調査できる!」
「す、凄いです……そんなのもう、人間のできるレベルを超えてます!」
アナが目を輝かせる。
一方で、ガラとキリカは首を傾げている。
「そんなすげーことか?」とガラ。
「もとより主は凄いじゃあないか」とキリカ。
「不勉強な二人にはわからないでしょうが、資源を見つけるというのは、本来なら国家規模の予算と人員をかけて行われることなのです。それを個人で、しかも一瞬で行うなど……神の御業ですわ」
「ほーん……」
ガラはいまいちピンときていない感じかも。
まあ、結果を見ればわかるはずだ。
「ここへ来る前、ちょこっとこの【市場調査】レベル2を使ってみて……気づいたんだ。ここ!」
地図上の、屋敷の裏手あたりを指差す。
そこに、キラキラと輝く『☆』マークが表示されている。
わたしがタップすると、詳細な調査票がポップアップした。
~~~~~~~~~~
【探査結果:地下水脈(枯渇)】
【レア度:R】
【状態:枯渇、岩盤崩落により閉塞】
【深度:地下50メートル】
~~~~~~~~~~
「水源が!」
アナが驚きの声を上げる。
「いやでも、枯渇してるんじゃあねえか。これじゃ意味ねーだろ」
ガラの言う通りだ。今はただの枯れた穴だ。
でも。
「そこでレベル2……【商品修繕】の出番ですよ! 【商品修繕】は、壊れた者や物を直す……元の状態に戻す力だったね。レベル2は……その対象の範囲が拡張されるんだ!」
「ま、まさか……!」
わたしは調査票を見ながら、高らかに叫ぶ。
「――【商品修繕】レベル2:【機能再生】!」
『100,000RPを消費し、対象:【地下水脈】を【再生】しますか? YES / NO』
脳内に響くシステム音声。
わたしは迷わず『YES』を選択する。
そう、再生だ。
【商品修繕】は、壊れた物を修理する力。
それが強まって、壊れた環境すら、再生が可能となる。
失われたエネルギーを、満タンまで巻き戻すのだ!
「YES! 水源、おいでー!」
ゴゴゴゴゴゴゴ……ッ!!
地響きと共に、遠くで何かが吹き出す音がした。
地面の下で、岩盤が修復され、水が満ちていく。
「し、信じられませぬじゃ……」
「あ、ロジャーおばあちゃん」
音を聞きつけて、餓狼団の最年長、ロジャーばあちゃんがやってきた。
「水源は……このデッドエンドでは必須。真水が取れる場所なんて本当にごく限られておる。ここは水の魔道具があるからなんとかなっておったが……」
裏を返すと、魔道具がなくなったら水が取れなくなるってことだもんね。
魔道具にも寿命がある。【商品修繕】で直せはするけど、数に限りがある。
「我らが自由に使える、天然の水源ができた……! これは、とんでもないことですじゃ!」
ガラや子供たちは「すげえや!」「これで水を安全に飲めるよ!」と喜んでいる。
うんうん、よかった。
でも、まだだよ。
「まだ10万ポイントが……あります! そして【仕様変更】のレベル2のお披露目もまだ!」
「【仕様変更】のレベル2……か。この感じで行くと、何らかの拡張ができるってことか」
とキリカ。いい線いってる。
「しかし、作り替える力の拡張となると……? 今現在で、もうかなり広い範囲の商品に作り替えられるような……」
「まあ、見てて!」
わたしは再び手をかざす。
イメージするのは、みんなの生活を豊かにする二つの施設。
~~~~~~~~~~
【仕様変更:汲み上げ式・井戸】……50,000RP
【仕様変更:天然温泉・大露天風呂】……50,000RP
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「井戸と温泉を、――【仕様変更】!」
カッ……!
屋敷の裏手、何もなかった荒れ地が光に包まれる。
地面がひとりでに隆起し、石組みの井戸が出来上がる。
その隣では、巨大な岩が動いて浴槽の形になり、倉庫から転送された白骨樹の木材が、美しい脱衣所と囲いを作り上げる。
そして、地下から引かれたお湯が、ドバドバと注がれていく。
指定した座標に、指定した通りのものが、一瞬で出来上がった。
「す、水源はたしかもっと離れた場所にあったような……」
「うん。【仕様変更】レベル2は、範囲内のものを、作り直して、自由に配置できるようになったんだっ」
いちいち、それが在る場所へ行かずとも、範囲内であればそれを使って【仕様変更】可能だ。
そして、作った物を自由に配置できるのである。
今までは接触が必要だった。
でも、レベル2となったことで、動かずとも物を買取できるし、物を拾い、直し、作り替え、そして自在に配置ができるようになったのだっ!
「井戸がこんな近くに! これで魔道具が壊れる心配もなく、そして遠くに行く手間も労力もなく、水が汲める!」
「温泉! ああ、露天風呂なんて何十年入ってないじゃろう……うう……」
子供たち、そしてロジャーおばあちゃんが、涙を流して喜んでる。
うんうん、良かった。
「「「「ありがとうっ、リオン様!」」」」
頑張ってくれたみんなへのご褒美、ちゃんとできたようで何よりだっ。
……って、あれ?
「「「「…………」」」」
「アナたち、どうしたの?」
SSR家臣たちの様子がおかしい。
なんか……喜んでるようには、見えなかった。
かといって、落胆してる感じではない。
目が、据わっている。
「「「「ご褒美は?」」」」
「え、これだけど……ほら、飲み水の心配もなくなったし、ただで毎日温泉に入れるんだよ?」
ご褒美でしょ?
「「「「ご褒美は……?」」」」
あ、あれぇ~……?
おかしいな、これで喜んでもらえると思ってたのに……。
みんなが一歩ずつ、じりじりと距離を詰めてくる。
「なるほど、我、天啓を得たりです」
とアナがポンと手を打った。
「リオン様としっぽり温泉ツアー、というご褒美を用意してくださっていたということですね」
「「「なるほど……!」」」
いやいやいやいや……。
「それならご褒美だ」
「苦労が報われたぜえ……!」
「…………」←無言で全裸になる桜香。
もうっ。
「何ふざけて……わぁ! 桜香! 離してー! 離してよー!」
わたしは桜香に、米俵のように担がれるっ。
そのまま完成したばかりの男湯(今は混浴)へと連行されていく。
「みんなたすけて~!」
「「「ごゆっくりー」」」
餓狼団のみんなが、ニヤニヤしながら手を振っていた。
もー!
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