23.リサイクルショップがLv2になったので、遠隔操作でゴミ掃除をして大儲けしました
朝、目が覚めると、そこには果実園が広がっていた。
「どけ! そこはアタイの特等席だ!」
「はぁ……♡ はぁ……♡ このままご主人様を……♡ れろれろれろれろ♡」
「淫乱鬼め! どかねば滅するぞ! ボクの魔剣のサビにしてやろうか!」
……正面には、桜香の顔。
わたしの顔中を舐めまくっている。犬? 犬なの?
でも犬にしては、動きがいやらしいのだ。太ももでわたしの足を挟んで、コスコスしているし。
左右にはガラとキリカ。
前方左右、全てに大きな果実(意味深)がある。
まるでここは桃源郷だー! いや、重いよ!
「あれ、アナは?」
「れろぉ……♡ ご主人様♡ ア・ナはここに……」
「「セクハラやめろ!」」
キリカたちが桜香を引き剥がす。
そこでわたしは気づいた。後頭部に何やら柔らかい感触があることに。
「あら、お目覚めですの、リオン様♡」
「アナ……だよね?」
どうやらわたしは、アナに膝枕されているようだ。
なぜ疑問形なのか?
それは……見上げると、そこにはマウントおっぱい(視界を遮る双丘)があるから、顔が見えないのである。
でも多分アナだ。高貴な紅茶のような香りと、メイド服の感触でわかる。
「みんな、まだ寝ててよかったのに」
魔物を退けた後、一応第二波に備えて、SSR家臣たちとわたしは明け方まで起きていた(トニーたち子供や、餓狼団のみんなには休憩を取ってもらった)。
でも、あのあと第二波がやってくることはなく、夜明けとともにわたしは眠ってしまったのだ。
子供の体では、徹夜はキツイ。
「ボクまで寝たら、そこの発情犬が主をめちゃくちゃにしそうだったからね」
「ご主人様、あの犬やっぱヤベェって。置いとくのマズいって。いつかご主人様を食っちまうよ、絶対確実に」
武闘派の二人が、桜香を睨みつける。
当の本人は、いつの間にか猿ぐつわをされ、体をロープでグルグル巻きにされ、部屋の隅に転がされている。
なんかでも、それでビクンビクンと体を痙攣させて悦んでいた。
……大丈夫なのだろうか、教育的に。
「まあほら、桜香は頼りになるしさ。子供たちの面倒も見てくれるし、必要な人材だよ。みんな仲良くね」
「「…………」」
二人は苦虫を噛み潰したような顔をして、プイッとそっぽを向いた。
「あ、そうだ」
その時、ガラがニマァ、と笑った。
それはまるで、悪代官が袖の下を受け取った時のような、悪いことを思いついた顔だった。
「ご主人様よぉ、アタイら今回頑張ったよなぁ?」
「そりゃもちろん!」
「つーことは、その、ご褒美……要求してもいいじゃあねえか?」
「「「「!!!!!!!!!!!!」」」」
家臣たちが、カッと目を見開く。
なるほど、ご褒美か。
確かに、みんな命がけで頑張ってくれた。労をねぎらうのも、上に立つ者のやるべきことだ。
「いいよ」
「「「「シャアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」」」
家臣四人が、ガッツポーズをして叫んだ。
キリカなんてクールな仮面が外れて、天井を突き破らんばかりに拳を突き上げている。
な、なにこの喜びよう……。
「な、なんでもっ。なんでも要求してよろしいのですかっ?」
珍しく、アナが興奮気味に鼻息荒く聞いてくる。
「え、なんでもは無理だよ。わたしが実現可能な範囲でね」
「「「「シャアァァァァァァァァァァァァァァァ!!」」」」
え、これでも喜ぶの……?
「実現可能ってことは……ご、ごくり。ぼ、ボクと二人きりで……その……うう……」
「はぁ……はぁ……あ、アタイもう……待ちきれないよ……体が熱くなってきた……」
「はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ はっ♡ 」
な、なんかみんな、めっちゃ目を輝かせている。
でもなんでだろうね、輝いてるんだけど、色が暗いんだ。澱んだ欲望の色をしている。
「リオン様……♡ たぁっぷり、『ご奉仕』、してあげますからね♡」
……うん、気のせいかな。
ご褒美あげるって言ったんだよね。
なに「ご奉仕」って。
あと「してあげる」? いや、あげるのはわたしなんじゃあないの……?
日本語って難しい。
◇
お昼ご飯を食べて、屋敷の外に出る。
すると、わたしが何も言っていないのに、全員が広場に整列していた。
トニーたちも、餓狼団のみんなも、キリカたちも。
昨夜の勝利で士気が上がっているのか、みんなの顔つきが明るい。
「リオン様」
トニーが手を挙げる。
「これからオレら、あれだろ、死骸を集めるんだろ?」
現在、屋敷の前には落とし穴がいくつもあり、その中には鋼鉄蟻の死体が山盛りに詰まっている。
「リオン様のリサイクルショップスキルは、リオン様が触れないと発動しないもんな。だから、集めるために手を貸してほしいってことでしょ?」
「ううん。違うよ」
「? 違うのか?」
「うん。実はね……わたし、レベルアップしました!」
トニーたち子供が首を傾げる。
ジロジロとわたしの体を見つめている。
「あ、いや、わたしが成長した的な意味じゃあなくてね……きゃー! 桜香! なにするの!」
ドサクサに紛れて、桜香がわたしの下着の中に手を突っ込んできたっ。
で、ぎゅーって握ってきた! ぎゃー!
なんなのっ!
「はぁ……はぁ……♡ 大丈夫です、ご主人様♡ いずれ立派に成長なさる……♡ 成長してなくても、私はそれで十分……じゅるり♡」
なんの話してるのさ!
「お前ちょっと黙ってろ」「戦闘以外しゃしゃってくんじゃあねえよ、てめえよぉ」
キリカとガラが桜香を引きずっていく。
そして動けないように、ガッチリ二人で抑え込んでくれた。
「ありがとう、二人とも……そのままでお願いします……」
「それで、リオン様、れ、レベルアップって何がどうなったんだよ?」
気を取り直して、トニーに答える。
「わたしの【リサイクルショップ】が、レベル2になったんだっ」
「へー……なんで?」
「多分、経験値が積まれたから……かな。こないだの女王蟻を買い取ったり、リサイクルいっぱいしたからね」
この世界では、スキルを使えば使うほど熟練度が上がり、新たな機能が解放されることがある。
わたしのスキルも例外じゃなかったみたいだ。
「リオン様の成長を祝し! 一同、拍手!」
「「「わー! おめでとー!」」」
アナの音頭で、みんなが拍手してくれる。
うう、照れるなぁ。
「ありがとう」
「で、レベル2になって、何ができるようになったんだ?」
「貯蔵量が、増えました! 今まで四畳半くらいだったけど、なんと……倍!」
八畳くらいのスペースに、物資の貯蔵が可能となった。
これなら、食料備蓄ももっと増やせる。
「なんか地味……」
「それだけじゃあないよ、【遠隔操作】が可能になったんだ!」
「遠隔……?」
百聞は一見にしかず。実践して見せよう。
わたしたちは、死骸の詰まった穴の前へとやってきた。
「前は、死骸を買い取る時、一匹ずつ手で触れる必要があったよね。でも! ――【遠隔・買取】!」
わたしが穴に向けて指を鳴らす。
シュオンッ!
音が消えたかと思うと、穴の中を埋め尽くしていた鋼鉄蟻の死骸の山が、一瞬で光の粒子となって消滅した。
まるで最初から何もなかったかのように、穴の中は空っぽになった。
「す、すげええ! 一瞬で、あの大量の死骸が消えちまった!」
「これは素晴らしい変化ですね。買取の手間が大幅に減りました」
アナの言う通りだ。
わたしは調子に乗って、【遠隔・買取】をしまくる。
屋敷の周りに散らばっていた残りの死骸も、瓦礫も、指パッチン一つで片っ端からポイントに変えていく。
結果!
蟻一匹500RP × 200匹 = 100,000RP!
女王蟻のポイントと合わせて、なんと一気に20万RPもゲットだよー!
「いやそれにしても、すげーわ、ご主人様」
ガラが感心したように頷く。
「あんなたくさんの死骸、片付けるのも一苦労だぜ。腐っちまったら病気の元だしな。でも、ご主人様がいれば、ゴミ掃除もあっという間に終わっちまう」
「しかも、ゴミはポイントに還元できる。全くもって、我が主の力は素晴らしいものだな!」
キリカも誇らしげだ。
さあ、これだけポイントがあれば、みんなの期待していた「ご褒美」も、豪華に叶えられるはずだね!
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