20.SSR野菜を作ったら魔物の斥候が来たので、落とし穴と炎のコンボで焼き殺しました
SSR農地をゲットしたよっ。
これで食糧問題はなんとかなった。けど、この問題が抜本的に解決した訳じゃあないんだよねー。
「リオン様♡」
農作業後、わたしが椅子に座って(屋敷にあったリメイク品)休んでいると……。
アナが、手に桶を持って近付いてきた。
「汗と泥で汚れております」
「濡れタオル? 持ってきてくれたんだ、ありがと~」
桶の中にはお湯が入っている。お風呂から汲んできたんだね。
アナはタオルをお湯で浸し、軽く絞る。わたしはタオルを受け取ろうとするんだけど……。
アナはそのまま、わたしの頬を拭き出した。
「自分でできるのに」
「雑事を担うのが、従者の勤めですから♡」
「そーゆーもの?」
「はい♡ なので、身を任せてください……♡」
うん、まあじゃあお願いしようと思うけど。
アナ? なんか……目が怖いよ? ハイライト消えてない?
「あら、リオン様。服が汚れておりますよ。ぬぎぬぎしましょうね」
「え、それはさすがに……」
「大丈夫です。目隠ししますので」
「あ、そう?」
アナが目隠しするってこと? うーん、ならいっか。恥ずかしくないし。
「わかった」
「では……」
きゅっ。
……あれ? どうしてだろう……。
「わたしの視界が真っ暗になったんだけど?」
「配慮です♡」
誰に対する、なんの配慮なの……?
まあ、いいか。ちょっと疲れてるし。アイマスクと思えば……。
「では、ご奉仕♡ させていただきますね……♡」
ヒタリ、と。
暖かいタオルが、わたしの頬に当たる。……タオル?
その割には……ちょっと柔らかいような。ぬめっと、少ししてるような……。
「れろ……♡」
アナはわたしのまず頬を拭う。額を拭う。ここまでは普通。
次に首筋、鎖骨。そして……服の下に、手を躊躇なく突っ込んできた。
「アナ? 服の下はいいよ」
「いいえ、駄目です。ここからが本番なのですから……♡」
「本番ってなんだよ……って、ひゃっ。ちょ、アナっ。や、やめっ、やめてよっ、くすぐったいからっ」
「胸……腹……腰……鼠径部……」
「ちょっ! そこまでしなくていいから」
「いいえ、いいのです。わたくしは貴方様のシモベ。貴方様のお世話をすることが何よりも至上」
な、なんか……手つき? がどんどんいやらしくなってるっ。
絶対に汗を拭うだけの手つきじゃあない。なんかすっごくねちっこいのだっ。
「いいのです……♡ さぁ……リオン様は心地よさに身を任せて……♡ あとのことは全部わたくしがやってあげますので……♡ リオン様はただ気持ちよくなればいいのです……」
鼠径部のあと、太ももとか、ひ、ひざ小僧とか。そして、足先……ひゃっ!
足の間も、指で……。
「れろ……♡」
「「なにやっとんじゃーーーーーーーーーーーーーーーーー!」」
この声……キリカとガラ?
なんか、体がグンッと強く引っ張られるっ。
その拍子に、視界を覆っていたものが……ほどけた。
……タオルだ。
「あれ? タオル……? なんで、タオルで体拭っていたんじゃ……?」
アナはわたしをお姫様抱っこして、現場から離脱していた。
「れろれろ……♡」
「ひゃっ! アナっ。降ろしてっ」
「嫌です。ぎゅ~……♡」
アナはわたしをお姫様抱っこした状態で、さらにぎゅーっと抱きしめる。わたしのほっぺを何度もれろれろしている。
「貴様! な、な、なんと破廉恥な!」
「単に我が主の汚れを、わたくしが心を込めて清めているだけ。シモベとして当然のことをしてるだけ。そこにセクシャルを感じるなど……やれやれ、破廉恥はどちらでしょうか、むっつり騎士。ぱくっ♡」
「ドサクサに紛れてリオン様のほっぺをハムハムしてるくせにっ! どこが破廉恥じゃあないんだよ!」
「そうだぜ! 第一……! あんた、ご主人様に、体を拭くとかぬかして、舌で舐めていたじゃあないかっ!」
……え?
ええっ?
し、舌でなめていたっ?
うそぉ!?
「タオル持ってきておいて、タオルで体を拭くと安心させ……! 主の視界をタオルで塞ぎ! 見えないことを良いことに、主の体のあちこちを、し、舌でなめるとか……!」
「うらやましいにもほどがあるぞてめえ……!」
「え?」
「破廉恥にもほどがあるぞてめえ……!」
え、ええー……。
ガラの台詞、素が出てるよ。
「あ、アナ……。そんな、汚いでしょ……」
二重の意味で。汚れた体を舌で拭う行為が。
「あら……♡ そんなことありませんわ……♡ 愛するリオン様のお体に、汚いところなんてひとっつもありませんもの……♡」
ちろ……とアナが舌なめずりする。こ、この人……破廉恥従者だあっ!
「アナ、次また同じことしたら、謹慎だからねっ」
「承知しました(バレないようにやればいいのですね)」
も~。
……ってあれ? こういうとき、真っ先にわたしのもとへやってくる、桜香の姿が見えないんだけど……。
「ああ……」
「桜香は……」
チラ、とキリカとガラが、横を向く。
「ん゛ぅ゛ぅううううううううう! んぶぅうううううううううううう!」
……なんか、居た。
タオルで目を覆い、口に猿ぐつわ、そして鎖でグルグル巻きにされた……物体Xが。
「アレは何してるの?」
「あの大型犬が暴走しだすのは目に見えていたので、鎖に繋いでおいただけさ」
とキリカ。いや、たしかに犬は鎖で繋ぐっていうけど……。
あれ、繋ぐってレベルじゃあないんだけど……。
「かわいそうだから離してあげて」
「チッ……!」
キリカが嫌々鎖を外す。
すると桜香が、炎の異能を使って空を飛び、わたしにマウントしてきたっ。
「わ、わ、私も……れ、れろれろ……させていただきますっ! ぜ、全身の汚れという汚れ、液という液を、の、飲ませていただきます!」
「「「やめろ、汚れ代表!」」」
◇
そんなこんなハプニングありながらも、わたしたちは農作業を続ける。
サイクルとしては、こんな感じ。
野菜の種をまく → 爆速で実がなる → 実から種を回収、そして実を【買取】ってRPに変える → 種をまく(以下ループ)。
リサイクルショップで、【商品修繕】したり、【仕様変更】したものは、【買取】ができない。
スキルによって価値あるものになったものは、スキルによって買取できない(RPにできない)という制限がある。
でも、だ。
野菜のように、スキルを使わずに自然に育った【物】は、それを商品として、【買取】が可能なのである。
そんな感じで、野菜はRPにしつつ、どんどんと収穫する。
取り過ぎても全部食べきれるわけじゃあない。
けど、わたしの場合は、貯蔵しておいたり、ポイントに還元したりできる。
だから、作れば作るだけ、得である。
……が、作りすぎた弊害ってものが、ないわけじゃあなかった。
「! ご主人様……来るぜ……」
ガラが、白骨樹海を睨みつける。
クン……と鼻を鳴らす。
「匂う……匂うぜ……魔物の匂いだ」
SSR家臣たちは、それぞれ突出した能力を持っている。
キリカは剣術。桜香は炎の異能と怪力。
そしてガラは……嗅覚と、野生の勘。
「戦えない子供や老婆はお下がりなさい……! キリカ、桜香! 戦闘準備!」
アナが誰よりも早く命令を出す。
みんなは、命令された通り動く。
ガラとアナが迅速に対応してくれたおかげで、後れを取ることはなかった。
白骨樹海からガサガサと音を立ててやってきたのは……
「ギチチ!」
「ぎぎぎっ!」
「ギチチチー!」
「【鋼鉄蟻】! 手を焼く相手だぜ!」
現れたのは、体長2メートル近い巨大な蟻の群れ。
全身が黒光りする金属のような甲殻で覆われ、その顎は岩をも噛み砕く。
動きは鈍重だが、防御力はトップクラスの厄介な魔物だ。
「はぁっ!」
キリカが疾走し、鋼鉄蟻の首を狙って剣を振るう。
ガキィン!
「! 剣が折れた……! くそっ!」
キリカが舌打ちし、鋼鉄蟻を蹴飛ばして距離を取る。
彼女の剣の腕は確かだ。技術に不足はない。
だが、武器が……その神速の斬撃と、鋼鉄の硬さに耐えきれずに砕け散ってしまった。
ふむ。
「桜香、スタンバってて」
わたしは地面に手を置く。
ポイントはさっき野菜を売って稼いだ分がある。
「――【仕様変更】!」
ドゴゴゴゴ……!
ポイントを消費し、地面の形状を【仕様変更】する。
鋼鉄蟻の群れが、美味しい野菜の匂いに釣られて、一直線に突っ込んでくる。
その足元が――
ボコッ……! ズドォォォン!!
「ギチッ!?」
蟻たちが次々と地面に飲み込まれていく。
幅10メートル、深さ5メートルの巨大な落とし穴が一瞬で形成されたのだ。
「落とし穴! なるほど! 【仕様変更】で地面に穴を掘ったのですね!」
「そーゆーこと。桜香!」
「はぁーい♡ 燃えちゃってくださぁい!」
穴に落ちて折り重なり、もがく鋼鉄蟻めがけて、桜香が掌をかざす。
「散りなさい……!」
ドォォォォォォォォォォォォン!!
灼熱の炎が穴に注ぎ込まれる。
逃げ場のない穴の中で、鋼鉄蟻たちが断末魔を上げる。
自慢の鋼鉄の装甲も、桜香の高火力の前ではただの棺桶だ。
甲殻が赤熱し、内側から蒸し焼きにされていく。
「ギィィィィィィ……」
「終わった……のか……」
ホッ……とキリカが息をつく。
だが、アナの表情は険しいままだ。
「アナ、君の意見が聞きたいな」
「はい。恐れながら……多分これで終わりではないです」
「というと?」
「我らは農業を始めました。結果、大量の野菜……食料が獲得できました。が、同時に……魔物に襲われるリスクが発生しました」
「なるほどね。白骨樹海は、食べるものなさそうだし」
「ええ。このSSR野菜の匂いは強烈です。今回は斥候にすぎません。野菜を盗みに、魔物が今後も来ることが予想できます」
食糧問題が片付いたと思ったら、次の問題が噴出したわけだ。
美味しいものは、みんな狙うってことだね。
「それに……主よ。すまない。このままではボクは十全に力を発揮でない」
「武器だね?」
キリカが悔しそうに頷く。
手には折れた剣の柄だけが握られている。
「ここの武器はすべて、脆い。全力が出せない」
「いや、あれで全力じゃあないのかよ……」
ガラが目を剥いている。
そう、さっきの戦闘中、キリカが振るった剣の衝撃で、地面には深い切り傷ができているのだ。
不完全な状態で、あの威力。あれで全力が出せれば……鋼鉄蟻くらい、バターのように斬れるはずだ。
いずれにせよ、だ。
「次は魔物対策だね」
【作者からお願いがあります】
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