18.チートスキルで楽々整地作業
「うーむ、困った……」
わたしは朝から、絶賛困っていた。
なぜって……。
「んふぅ……♡ はあ……♡ ちゅぷ……ちゅぴ……♡」
「あ、てめ! なにやってんだ! この発情雌犬!」
「ちゅっちゅ……♡ あなたもご一緒に……?」
「な!? ば!? んなことしねえーって!」
「ちゅ……♡ おいしいですよぉ……♡」
「え、ま、まじで……? じゃ、じゃあ……って、なにやらせんだコラァ!」
……もちろん、エッチなことはしていない。
起きたらなぜか桜香がわたしの寝室にいて、わたしのほっぺにひたすら「ちゅっちゅ」していた。
そこへガラがやってきて、止めに入るかと思いきや、桜香に唆されて自分もキスしそうになっていたのだ。
朝からカオスすぎる。
「こんなところにいたのかっ!」
「探しましたよ!」
バーン!
扉が開き、アナとキリカが登場した。
「あ、おはよ二人とも」
「ああ! リオン様! どきなさい雌犬二匹!」
アナが二人を押しのけて、わたしを抱きかかえる。
「未明からリオン様が行方不明で、わたくし……心配で、心配で……たまりませんでした」
……うん。昨日寝てたら、いつの間にか桜香に誘拐されていたらしい。
やめてって言ってもやめないし、鬼のパワーで押しつけられて動けないし。そこへガラまで。
「主を危険な目に遭わせてしまい、護衛失格だ!」
キリカが悔しそうに歯噛みする。
「罰を与えてくれっ。ふ、二人きりで……その、え、エッチな罰でも……その……ぼ、ボクはいいよっ」
「ああ、リオン様。すみません、こんな飢えた雌三匹の中で、お一人にしてしまって……。でもリオン様も悪いんですよ。こんな女どもを拾ってしまうから。召使いならわたくし一人で良いのに。わたくしと二人きりで、どこか狭く暗いところで、じっくりねっとりと、そのことを、個人レッスンしてあげないとですね……」
あー、今日も家臣のみんなは、個性豊かだなぁ……!(ヤケクソ)
「はい、今日も領地改革やってくからね! ふざけるのは、これくらいにしてねー!」
「「「「ふざけてないのですが?」」」」
みんな……そのハイライトの消えた目でこっち見るの、やめようか。
◇
さて、と。
餓狼団が入ったことによって、うちはだいぶ大所帯になった。
わたし。
SSR家臣:アナ、キリカ、桜香、そしてガラ。
桜香の子供たち:トニーたち10名。
ガラの餓狼団:女、子供、老人あわせて15名。
総勢30名。
そうなると、どうなるかと言うと……。
「食事問題だね」
「おっしゃる通りです。毎食30人分の食事を作るとなると、材料が足りません」
アナが深刻な顔で報告する。
ここ廃棄都市では、食料は自分たちで調達するのが基本だ。ゴミを漁るか、危険な森で狩りをするか。
でも、30人分となると話は別だ。
「うちの古びた缶詰シリーズも、なくはないけど、30人を毎食食べさせていたら、すぐに備蓄がなくなっちゃうね」
「はい。なので、安定した食料の確保が急務です」
その言葉を聞いて、ガラと桜香が申し訳なさそうに俯いた。
「すまないね、ご主人様……」
「ごめんなさい……」
シュン……と項垂れる大型犬二匹。
「え、なんでそんな顔するの?」
「だって、アタイら、人数多いからさ。口減らしが必要なら……」
「……リオン様に迷惑かけてしまって……」
「そんな顔しないで。大丈夫!」
わたしは二人の頭を撫でてやる。
「みんな、わたしが自分の意思で拾ってきた家族だ。わたしが決めて、そうしたいと思って行動したんだから、迷惑だなんて思っちゃいないよ。むしろ賑やかで嬉しいくらいさ」
「…………はぁ♡ はぁ……♡ り、リオン様ぁ~……♡」
「こらー! ドサクサに紛れてマウントするな雌犬ぅうううう!」
キリカが桜香を引き剥がす。この人、すぐわたしにのしかかってくるんだよね。
「……で、主よ。これからどうなさるつもりで?」
キリカの質問に、わたしは自信満々に答えた。
「農業しましょう!」
「農業……一体どこでするのだ、主よ。畑なんてないぞ?」
この屋敷の周りは、瓦礫と荒れ地、そして白骨樹海だ。
まともな土なんてありはしない。
「それにな、リーダー」
ガラが口を挟む。
「ここの土地は、塩害によって作物が育たねーんだって、うちのバッチャンが言ってたぜ」
餓狼団の長老の知恵袋だ。確かに、土が白っぽく変色している。
「畑がないなら、作れば良いよ! 大丈夫、リサイクルショップの力と、それと……君たちの力が合わされば、畑なんてあっという間さ! 手を貸してね!」
ということで、わたしたちは屋敷の裏手にある、白骨樹海との境界エリアへとやってきた。
枯れた白い木々が立ち並び、地面はデコボコだ。
「キリカ、ガラ、それに餓狼団のみんな。まずは邪魔な木々を切り倒して!」
「「「承知!」」」
わたしが【修繕】して新品にした斧を渡すと、みんな一斉に動き出した。
人数が多いというのは、それだけで力だ。
スコーン、スコーンと、木々が猛スピードで伐採されていく。
「伐採完了したぞ!」
「でもよぉ、リーダー。まだ根っこを引っこ抜く作業が残ってんぜ? これ、手作業だと何日かかるか……」
そう、木を切っただけでは畑にはならない。
でも、わたしにはスキルがある。
「そこは大丈夫! ――【市場調査】!」
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【品名:荒れた土地(汚染区域)】
【レア度:R】
【状態:木の根、瓦礫、塩害による土壌汚染】
【価格:0 RP】
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だよねー。こんな死地同然の土地、価値なんてゼロだ。
でも……「修理」すれば話は別だ!
「――【商品修繕】!」
わたしは地面に手を付き、伐採した白骨樹を買い取って得たポイントを注ぎ込んだ。
カッ……!
大地が光り輝く。
デコボコの地面が平らになり、地中に残っていた根っこや瓦礫が、魔法のように消滅(整地)されていく。
「す、すげえ……! デコボコだった土地が、一瞬で真っ平らになってら……!」
ガラが口を開けて驚愕している。
「普通なら、何十人もの人間で何日もかけて行う開墾作業を、一瞬で……。これぞ、我が主リオン様の素晴らしきお力ですわ」
アナが誇らしげに胸を張る。
さあ、ここからが本番だ。
ただの平地じゃ作物は育たない。
栄養が必要だ。
「後は、この土地を『肥沃な大地』に【仕様変更】するだけ。でもポイントが足りないから……みんな、あるものを集めてほしいんだ!」
「あるもの……ですか?」
「うん。……生ゴミと、魔物の死骸!」
「「「えぇ!?」」」
わたしはニヤリと笑った。
ゴミこそが、最強の肥料になるんだよ。
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