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No.60 魔法少女と過去と未来

ユーム達が農園に来てもう少しで1ヶ月。


リーナの魔法修行のお陰でマリーは既に初級魔法をマスターしつつあった


リーナ「マリー!凄いわよ!あとこの魔法で初級魔法は全てクリアよ!」

リーナが興奮気味に褒める。


マリー「リーナお姉ちゃん、ありがとうね。頑張る」

人見知り感は無くなったが、あまり感情を出さないマリーが答える


ブンブン「今日は昼までで農園の仕事終わりだからそろそろ帰ろうぜ」


ユーム「そうだね!」


マリー「あと1つの魔法で終わりだから、私はこれ練習して帰るね。」


リーナ「わかったわ!暗くなる前に帰って来るのよ?」


マリー「わかった。」


昼で仕事が終わり、ウィリーアム達とコーヒーを飲みながら談笑する


ウィリーアム「マリーはすっかりリーナに慣れたな。マリーはどうだ?」


リーナ「うーん。あまり感情的にならない部分があるのが気になるかな?子供っぽく喜んだり、泣いたりもしないし。」


ウィリーアム「あぁ、その事なんだけど。マリーの両親は4年前に亡くなったんだ。うちの品物を運搬中、海賊に襲われて。それ以来帰って来ていない。まだマリーにもその件について伝えれていないしな。まぁ、多分、両親がこの世にもう居ないって気付いてかもしれないがな。両親が帰って来なくなり、マリーは笑ったり泣いたりしなくなった。」


リーナ「そんな...」

リーナが悲しい表情になる


リーナ「ねぇウィリーアムさん。マリーね。たった1ヶ月で風魔法の初級魔法をマスターするの。これってとても凄い事なの。10歳で。しかも1ヶ月で。普通は12歳から2年ぐらい掛けてやっとマスター出来るレベルよ?」


ウィリーアム「なんと!マリーにそんな才能があったなんて...」


リーナ「ウィリーアムさん。マリーは魔道士の学校へ通うべきよ。1度、考えて欲しいかな。」


ウィリーアム「マリーが望むなら!俺達は。マリーが幸せになるならなんだってするつもりなんだ。」

喜んだ表情のあと、覚悟を持った顔に変わりウィリーアムは言った


リーナ「ウィリーアムさん、ありがとう!」


リーナ「ねぇユーム、これから買い物に行きたいの!街まで付き合ってくれない?」


ユーム「リーナが買い物だなんて珍いね。何を買うんだ?」


リーナ「秘密!」


ユーム達4人は街で色々な商店を見て歩く


リーナ「これにするわ!!!」

リーナが大きな大きなクマのぬいぐるみを指さして興奮する


ブンブン「こんなデカイクマのぬいぐるみ、どーすんだよ!」


リーナ「初級魔法をマスターしたマリーへのご褒美!!絶対喜んでくれるはずよ!」

リーナは目を輝かせながら言う


ユーム「先生と言うか、実のお姉ちゃんみたいだね!」


リーナ「私、一人っ子だったから!実は妹欲しかったんだぁ〜」


その夜

眠るマリーの横にリーナは腰掛け、優しく髪を撫でていた


リーナ「マリー。よく頑張りましたね。お姉ちゃんからのお祝いプレゼントですよ。うふふ。喜んでくれるとお姉ちゃん嬉しいなぁ。」

マリーの髪を撫でながら、そっと大きなクマのぬいぐるみを置いてリーナは部屋を出た


翌朝


ウィリーアム「そろそろユーム達もメゲの国へ旅立ちか」


ユーム「そうですね!楽しかったです!お世話になりました!」


ウィリーアム「うちは人手不足だから、一生農園手伝ってくれてもいいんだぜ?」

ウィリーアムが笑いを誘う


うえぇぇぇぇーーーん!


2階のマリーの部屋からマリーの泣き声が響く


!?!?!?!?


みんなが揃って焦りながらマリーの部屋へ向かう


リーナ「マリー!!!どうしたの!!?」


マリー「うっぐ、うっぐ。パパとママが...帰って来たのかも...クマのぬいぐるみが...パパとママと約束してたから...マリーがちゃんとお留守番出来たら...パパとママが商品届けたら...お土産に大きなクマのぬいぐるみ買って帰るって...でも...パパとママは...もう...うえぇぇぇぇーーーん」


ウィリーアム「知っていたのか...」


マリー「...うっぐ、うっぐ...知ってたよ...おじいさん...パパとママが...死んだって...泣いてるの...知ってるもん...」


ウィリーアム「見られていたのか...マリー。今まで言えなくてごめんな」

ウィリーアムの目から涙が零れる


リーナ「マリー。これはね。リーナお姉ちゃんから、初級魔法をマスターしたマリーへのご褒美よ。パパとママはもう居ないかも知れないけど。このクマのぬいぐるみをリーナお姉ちゃんだと思って、こらからも魔法のお勉強頑張るのよ。リーナなお姉ちゃんはずっとマリーと一緒よ」


マリー「ありがとう。うえぇぇぇぇーーーん。」

マリーの涙は暫く止まらなかった。4年間、我慢し続けた涙は多かったようだ


次の日


ウィリーアム「じゃあ、気を付けてメゲの国へ行けよ。」


ユーム「ありがとうございます!」


マリー「.....」


リーナ「マリー、またね!」


マリー「いやだ...」

マリーが俯いたまま言う


マリー「マリーもリーナお姉ちゃんと一緒に旅に出るもん」


リーナ「...ねぇ、マリー。あと数年すると、大戦争が始まるわ。リーナお姉ちゃんは必ず生きて、大戦争が終わったら、またマリーに。必ず会いに来るわ。それまでに、マリーがもっともっと魔法が上手になっていたら、リーナお姉ちゃんと一緒に旅に出ようね。どうかしら?」


マリー「やぐそくだよ...絶対...また...マリーに会いにぐるっで...約束だよ...死んじゃ...いやだがらね...」

マリーは沢山の涙を目に溜め、零れ落ちる涙を必死に堪えながらリーナの目をまっすぐ見つめて言った


リーナ「マリー。約束するわ。大戦争が終わったら、リーナお姉ちゃんはマリーを迎えに来るよ?だからね。だからたくさん魔法のお勉強...頑張るんだよ...」

リーナも目にいっぱいの涙を溜め答える


マリー「わがったよぉ...絶対だよ...私...待ってるからね...」

うえぇぇぇぇーーーん。マリーは涙を堪え切れず、大粒の涙を何粒も何粒も零しながら答えた


リーナ「約束だよ。大丈夫。リーナお姉ちゃん、強いから!」

リーナは大きな涙を数粒零しながら笑顔で答えた


リーナ「じゃあ!行ってくるからね!」


マリー「行ってらっしゃい...!」



実はこのマリーと言う若干10歳の少女。のちに、たった1人でクマのぬいぐるみに命を吹き込み。世界初の二重詠唱魔法をこの世に創り出し、最年少序列称号保持者の魔道士としてこの世界に大きく貢献するのは、ずっと先の話である。

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