No.50 迷い
その夜、宿屋に戻り夜は更けていった
ユーム「…ブンブン、まだ起きてるか?」
ブンブン「…起きてるぞ」
ユーム「俺達がリシーヤ島を旅立って、もう2年以上経ったね」
ブンブン「そうだな。色々な事があったよな。」
ユーム「…うん。そうだね。」
ブンブン「…」
ユーム「世界を周り、色々な素晴らしい景色を見たり、経験が出来た事は良かったと思うんだ。」
ブンブン「そうだな」
ユーム「盗賊や野党は自分の利益の為。国や集落は自分の守る民の為。中には自分を救ってくれた恩人の為に命を張り、そして命が奪われる。」
ブンブン「そうだな」
ユーム「最近、なんだか良く分からなくなってきたんだ。」
ブンブン「何がだ?」
ユーム「人にはそれぞれ背景があって。そうしなくちゃ生きれなかった人。それが例え、間違いであったとしても。もしかしたら、その人にとってはそれが「正義」だったのかもしれない。」
ブンブン「うん」
ユーム「その小さな正義は、今日の様に、必ず「死」と言う結果を持って償わなきゃいけないのかな?」
ブンブン「それは俺にも分からないよ。だから、旅に出たんじゃないか?俺はまだ旅の途中だ。俺は俺の正義を見つける旅の途中だよ。なぁ、相棒、お前もそうだろ?」
ユーム「…うん。そうだね。」
夜は更に深くなって行った。




