No.46 番外編 なぽぽの物語
少し番外編を
「なぽぽの物語」
大戦争。多くの魔族が裏の世界から湧き出し。表の世界を奪おうと溢れかえる地獄の10日間。
序列称号持ちはもちろん、表の世界の主要な都市、王の住まう島、裏の世界の王アピとの対峙。
昼夜問わず、休む事無く戦争は続く。
全てが全て救える訳ではない。
「GS3傭兵団」
なぽぽが所属する傭兵団だ。
この世界では報酬を貰い、雇われ、依頼をこなす。冒険者とはまた違う「傭兵団」と言う組織が幾つも存在する。
大戦争が始まる1ヶ月前。GS3傭兵団のリーダーが病に倒れ、この世を去った。
当時、若干17歳。急遽GS3傭兵団の盟主となってしまったなぽぽ。
そのまま大戦争は勃発する。
とある中規模の街。
GS3傭兵団は大戦争の10日間を守りきってくれと領主から依頼を受け、なぽぽ達は駐屯していた。
大戦争が勃発し。なぽぽが駐屯する街にも多くの魔族が攻め込んで来た。
なぽぽ「みんな。頑張るわよ。1人の犠牲も出さず、この10日を戦い抜きましょう。」
なぽぽは恐ろしく長い刀を手に、目に覇気を纏い静かに鼓舞した。
「はぁはぁ...まだ続くのかよ...」
大戦争が始まり5日。
GS3傭兵団の隊員は交代で休憩を取りながら昼夜問わず戦い続ける。
なぽぽ「...!」
魔族に混じり人の姿が。なぽぽが駐屯する街へ攻め込んで来る。
なぽぽ「なんて事.....」
ありふれた話しである。盗賊だ。大戦争に乗じて壊滅された村や町を襲い、金品や市民を誘拐し、奴隷とし、奪って行く。
なぽぽ「お前達はそれでも人族かっ!今、表の世界で!みんなで心を通わせ!魔族達に立ち向かう時じゃないのですか!?」
盗賊「黙れよ小娘。良い顔してんなお前。お前も奴隷として売り飛ばしてやるよ」
なぽぽ「ふざけるな!見てみろ!あんなにも魔族が溢れかえり!罪も無い人々の命が脅かされている!そんなヒマは無いでしょう!」
「ぎゃーーーっ!なぽぽさんっ!助けてくれぇーっ!」
なぽぽ「!?キッドくん!大丈夫っ!?」
街の中からピヤンの叫び声が聞こえる
!?
負傷した街の民を装い、盗賊達は既に街の中へ侵入していた。
なぽぽ「ふざけるな!!キッドくん!大丈夫っ!?」
キッドは力無く倒れ、その命を失った
なぽぽ「...くそっ!!...あぁ...なんで...」
魔族と盗賊に襲われ続け。ようやく大戦争は終結した。
何万もの住民を抱えたこの街で。生き残ったのは、なぽぽたった1人であった。
なぽぽ「私は...何を...何も守れないじゃないか。」
依頼された街の護衛も遂行出来ず、住民の命は1つ残らず刈り取られ。幼い時からなぽぽの家族として同じ時間を歩んで来たGS3傭兵団の団員も全滅。
なぽぽは行く宛ても無く彷徨う。ご飯も食べず、眠る事も出来ず。
本当に生きた屍である。
何日彷徨っただろうか。ボロボロにやつれ切ったなぽぽは、雪の中、寒さを感じる事も出来ずたたずんでいた。
「死のう。」
なぽぽは全てを失い。心までも崩壊していた。
「汚い小娘だな。こんな所で何をしている。」
ロングの黒髪で、色気のある分厚い唇、軍服を身にまとい、特長的なサーベルを肩に担いだマリアが立っていた。
なぽぽ「死のうと思いまして」
表情なくなぽぽが答える
マリア「そうか。じゃあ死ね。お前見たいに弱い人間はその方が良い」
マリアが冷たく突き放す
なぽぽ「私は弱くは無いと思います。でも、誰も守れませんでした。」
マリア「そうか。」
マリアが続ける
マリア「お前は、心が弱いんだよ。守れなかったからなんだ?」
なぽぽ「私、たくさん頑張りました。でも依頼されていた住民の安全も。共に戦い、ずっと一緒に生きて来た傭兵団の仲間も全て失いました。この先、私にどうしろと?どうすれば良かったと?...もう...生きる意味なんて。無いんです。」
なぽぽは無表情のまま答える
マリア「弱いな。」
なぽぽ「そうですね。結果として、1人の命も守れなかった私は弱かったんですね。傲慢でした。たくさん訓練したから。負けた事が無かったから。強いと思っていたのでしょうね。私は滑稽だ。」
マリア「お前の仲間達は、どんな奴らだったんだ?私に教えてくれないか。」
なぽぽ「キッドくんは、私の1つ年下でお調子者で。クフ君も1つ年下で、キッドくんといつも2人でしょうもないイタズラばかりしてて...。ハンクさんは...お兄さんみたいな存在で...優しくて...優しくて...、ブッファさんは.....いつも...…美味し料理を作ってくれて...」
なぽぽは語り出し、思い出し涙が止まらないなる
なぽぽ「あれ...おかしいなぁ...涙が出ちゃうなぁ...」
マリア「次に出来るお前の仲間達は、しっかりお前が守れるといいな。」
なぽぽ「...わだし...守れまずか...」
なぽぽは顔をぐちゃぐちゃにしながら泣き出した
マリア「保証はしない。お前次第だ。私もお前と一緒だ。数日前、大切な仲間を守れなかった。」
マリアが真っ直ぐ、なぽぽの目を見て語りかける
マリア「だが私は。同じ過ちはしない。私が弱かっただけだ。次、同じ場面に出くわしたその時。次こそは私が全てを守りきってやるんだ。」
マリア「小娘、名前は何という?」
なぽぽ「…なぽぽです。」
マリア「なぽぽ、私の元へ来い。強くしてやる。」
なぽぽ「...はい。.....よろしくお願いいたします」
なぽぽは泣きながら、目の奥にほんの少し、光が蘇る




