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エピソード②

 顔合わせと任務の方針が決まり、ミーティングは解散となった。

 特曹長、珱栖が出て行ったのを確認してから隊員の一人が静也に声をかけてきた。

 年齢は静也と同年代か少し上くらいだろう、やや茶髪気味の短髪の青年だった。


「なんというか、言葉がない。だが、アンタらの仇は俺達にとっても仇だ。赦せないし、罪は償ってもらおう。って失礼、名前を名乗っていなかった、俺は皇紀也(すめらぎきせ)。アンタと同じ一等特士だ、よろしく」


「よろ、しく……お願いします」


 互いに挨拶をかわしていると、横から残りの一人、焦げ茶色の髪を短く結った女性が声をかけて来た。


「群雲一等特士、あたしは山登比美子(やまとひみこ)一等特士だ。複雑だろうが、想いは皇と一緒だからな? くれぐれも無茶をしないでおくれよ?」


 気遣いの言葉をかけられ、静也は沈黙するしかなかった。彼らの温もりがより、辛かったのだ。


(草薙……何故俺だけ生かした? お前の狙いはなんなんだ?)


 その答えを彼が知るのは――。


 ****


 草薙の捜索は、困難を極めた。不自然な程、痕跡を辿れない。


『これは、協力者がいてもおかしくないですね』


 通信越しに、ノヲンの声が響く。彼女含めた第六部隊の搭乗機は、人烏鋼式黒金じんうこうしきくろがねシリーズだ。静也の乗る人虎シリーズが全体的に白い機体色なのに対し、人烏シリーズは全体的に黒色の機体色が特徴だ。

 一人違う機体色だが……静也にとっては仲間達の無念の想いを乗せているようで、誇らしいものであった。


『そうだな、その線も含めて調べるとしよう。うん? タイガー305どうした?』


 タイガー305と言うのは、静也のコールサインだ。なお、珱栖がコールサインクロウ601、ノヲンが602、紀也が603、比美子が604だ。


「いえ、クロウ601。何も問題はありません」


『そうか、なら良いが……お前の機体は目立つ。気をつけろよ』


「了解です」


 五機の人型機動兵器が荒野を進む。彼らが今向かっているのは、第三部隊が最後に調査していた……敵勢力の基地跡だ。


 ****


『ふむ、ここで何かつかめればいいがな……念の為、機体の残存エネルギーを確認しておけ? 万が一という事もある』


 珱栖に言われ、ふとある事に静也は気づいた。それは、草薙の様子……第三部隊員として過ごしていた時のちょっとした違和感だ。


(アイツはやけにエネルギーの事を気にしていたな? 特に最近。何故だ?)


 ふと湧き上がった疑問……そこから連想されるのは、核体とはなんなのか? という事に行きついて何故だか背筋に悪寒が走る。


(なんだ……?)


 自分でも困惑するがそれより任務だと思い直し、静也は操縦桿を握りしめる。だが、何も手がかり得られなかった。

 何より機体には()()()()がある。

 これ以上は無理だと判断し、今日のところは撤退する事にした。

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