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エピソード①

読みに来て下さり、ありがとうございます。

こちらは、バンダナコミック01参加作品です。

よろしくお願い致します。

 2XXX年。

 各地で領土争いが頻発するようになった地球にて、戦争の兵器は新たな段階へと上がった。

 それは核体(かくたい)と呼ばれる新たなエネルギーを使用した人型機動兵器での戦闘である――。

 

 ****


 雷雨の中、銃声が響く。

 敵対組織との戦いは終わった……任務自体は成功していた。

 だが、今は……。


「何故だ草薙(くさなぎ)!」


 一人の青年が、オープン回線で襲撃者、いや、裏切者の男の名を呼ぶ。仲間達は自分以外、草薙により殺された。

 怒りを込めて叫ぶ青年に、草薙は嘲笑うように答える事なく逃げて行く。

 今までの猛攻から一転した動きに困惑しながら追跡しようとするが、自身の機体……人虎鋼式白金零壱伍号機じんここうしきしろがねぜろいちごごうきが急に機能停止した。


「くっ!? どうしたんだ急に! 待て! くそぉぉぉ!!」


 雨が強くなっていく中、青年の悲痛な叫びだけが木霊した。


 ****


「本日付けで我が部隊に配属となった、群雲静也(むらくもしずや)一等特士だ。皆、よろしく頼む」


 珱栖尊(おうすみこと)特曹長が青年、静也を部下達に紹介する。ここは特殊戦闘自衛隊……通称、トクセンの中の第六部隊の拠点だ。

 自衛隊は本来、日本国を守備するためだけとされている。

 だが、戦火渦巻くこの時代において、守るためには戦わなければならない。それも先手を打って。

 そうして国家と民を秘密裏に守るため設立されたのが特殊戦闘自衛隊、トクセンなのだ。

 彼らの部隊は大まかにわけて八つある。

 静也は元々、第三部隊の隊員だった。だが、半月前に同胞であるはずの草薙桃李(とうり)一等特士の離反により戦闘となり、一人だけ生き残った。

 事実上の壊滅に、トクセンは揺れた。

 その結果、第六部隊に……離反者草薙の()()任務が任され、唯一の生存者である静也が転属となったのだ。

 事実を知っているからこそ、部下達の表情は暗い。


「お前達! 我々の任務を忘れるな!」


 特曹長の声で、第六部隊の隊員達が再度敬礼する。野太いながらよく通るバリトンボイスを聞きながら静也も敬礼をし、そのまま自分の配置に着いた。

 それを確認して、特曹長の指示によりパイプ椅子に着席する。


「では、改めて我々の今後の動きについて確認をする」


 名に不釣り合いなスキンヘッドに顎髭の特曹長の姿は、トクセンの隊服を着ていなければ反社会的勢力の人間と間違われてもおかしくない。だが、元々の部下達は慣れているのは流石だと静也は内心で思っていた。


「群雲一等特士からの情報と、記録媒体に残されていた情報をまとめて精査し、導き出された状況がこれだ」


 前方のモニターに情報が映し出される。そこに映っていたのは、黒色の短髪にトクセンの隊服を着た草薙の姿だった。画像の横には彼の経歴が書かれており、そこから個人情報が並べられている。


「草薙についての情報は、各自の携帯端末にも転送している。詳細はそちらで確認をしてほしい。それで、現在の状況だが……奴の搭乗機体である人虎鋼式白金壱肆伍号機についても、本人についても行方がつかめていない。まずはそこからになる」


 ――あの日。

 第三部隊を壊滅させた草薙桃李は、その行方を一切追跡出来ないよう機体に細工しているとの事だった。


「特曹長、失礼ながら発言の許可を願います」


 手を挙げたのは、金髪のショートヘアの女性だった。静也が端末で名前を確認すると武早(たけはや)ノヲンという事がわかった。ノヲンは特曹長からの許可を得て、発言する。


「草薙の行方は手探りという事ですよね? 事件が起こったのはここ中東。既に隣国等に移動している可能性はないのでしょうか?」


「そこについては、可能性は低いだろう。米軍等の同盟国軍の協力により、確認済みだ。万が一出ていたとしても、検問に引っかかるか……戦闘状態になっているはずだからな」


「なるほど……愚問でした。失礼致しました」


「いや、武早一等特士の意見も理解できる。裏ルートを使われている可能性もゼロではないしな? だが、国家反逆罪を犯した罪人を、国外で出し……そしてそのまま他国に任せては恥の上塗りだ! 心して任務を全うせよ!」


 隊員達が皆揃って敬礼する。その中で、静也は内に秘めた裏切者草薙への怒りを燃やしていた――。

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