8話
8話
建築会社の元社員と言う男に騙され似顔絵をもって左足を引き摺ると言う犯人は全くのデタラメで、騙された刑事達は丹波に連絡を取って指示を仰ぐと丹波は裁判所に家宅捜査令状を取ってガサ入れの指示を出すと、捜査の一部の指揮をを取っていた警視はさっそく令状を持って本来なら被疑者の返事を持たなければならないが警視は刑事達と鑑識と同行して自宅アパートのドアを壊して中に一斉に20人の刑事と鑑識がはいると、そこには一億はあるだろうと考えられる札束の入った段ボール箱があって警察はされを押収し建築会社の経営陣を殺害したであろう大きなカマも屋根裏から発見して押収し、男の逮捕状を裁判所から受け取ると警察は男のマンションに朝の8時に突入して男を逮捕し、何かあったのかと起きてきた下着姿の女が顔を出すと、警視はお前にも逮捕状が出ているからと女に服をきさせると男と女の警察官ほその場で逮捕した。
だがこれは別荘で死んだ爺さんの事件とは基本的に同系列の話しではなく、別荘を建てた建築会社の社員で図面にも携わった男であってこの男のアパートにも図面が無造作に置いてあって、警視庁では別荘の爺さんを殺した可能性も視野に男の取り調べを淡々と行って居て、爺さんが隠れて壁の中に住んでいるのを知っていた男は厳しい追及で、別荘で爺さんに青酸カリを飲ませて殺害したと自供を始めたが、男は別荘の屋根裏で殺したと言い床下には運んではいないと自供した。ここで警視庁での出来事は逐一丹波に伝えられて居たが、槇原は「やっぱりそうでしたか…」と、自分の推理が正しかったことで再び考えたのは「では誰が爺さんの死体を床下に運んだのかと言う疑問が新たにうまれた」と、槇原は「ああ、そう言えば屋根裏部屋で拾った何者かの懐中時計を丹波に見せて、もしかしたらこれは執事の物かも知れませんねえ」と、丹波を見ると丹波は所轄から鑑識を呼び、もう一度、屋根裏部屋に招待して徹底的に調べさせた。すると屋根裏部屋の天井から宝箱の鍵が見つかり、丹波と槇原は「やっぱりそうか」と、顔を見合わせた。ただ槇原は「多分殺された爺さんの死体を床下に隠したのは執事ではないか」と、考えていた。ただあの棺桶はどうしたのだろうと言う疑問も槇原には分っていたようだった。それは執事が殺された時に槇原が見た執事の手だった。見た目はキレイだったが手のひらを見たとき妙にゴツゴツしていて、まるで肉体労働のような手であることを槇原は見抜いていた。
槇原は丹波の見落としに気付いていて丹波に以前、執事の事を洗ってもらった際に執事は日曜大工が趣味であることを知らされていたことで、別荘の持ち主である爺さんが死んだ時に床下で棺桶を作ってそこに死体をいれたのは執事である仮説が今にして見れば正しいかったと槇原は考えていた。そして旅館で飛車を取らせて角を敵地に突っ込むやりかたは槇原の推理に拍車をかけていた。そして残るは爺さんの実家から見つかった二つの白骨死体の件だったが、あれは恐らく爺さんの二人の息子であると槇原は考えていてそのことは丹波には伝えていないが、ではその息子たちを殺して壁の中に閉じ込めた犯人は誰なのかと言う疑問に当たるが、実家で暮らして居る妻は警察で話して病院の診断書を部屋に隠し持って居て、子供を産めない身体であることは二人の息子たちに対して言えない事情として爺さんと妻は、養子ということで二人の男の子を戸籍に入れ自分たちの子供として育てていたが、二人の子供は大人になるにつれ、何かを考えるようになり爺さんの財産がどれほどあるのかに興味をもったものの、その時点では二人の息子たちは爺さんを本当の親として認識していて、それでもいろんなことを知りたい年齢もあって二人とも好きな女性と巡り会って結婚のために戸籍謄本を取り寄せた時、自分たちは爺さんが本当の親ではないことを知り爺さんに食い付いて、ことの真相を知った時に親として親しみを感じていた二人の兄弟は爺さんに対して何故なのか憎しみを抱くようになっていた。
そもそも、実家から見つかった二つの白骨死体には頭部に鈍器で殴られた穴ががあって、誰が二人の死体を壁に隠したのはだれでもない爺さん本人であって、その時は妻は自分の実家に帰省していて、そのすきに爺さんは壁を壊し中に死体を入れて壁を修復して知らぬ顔をして帰って来た妻に息子たちは旅行に行くって出て言ったぞと、爺さんの言葉を不審に思った妻は何日もまっていたが結局、数年たっても二人の息子たちは戻ってこなかったと刑事達の前で涙を零した。だがこの取り調べで事情を聴いている刑事達は子供のことは今は話さない方がいいだろうと、妻を釈放すると妻が帰宅した時に壁が壊されて警察のビニールテープが何かを妻に伝えていた。だが最後の謎に槇原は推理に苦しんでいた。それは執事が何故殺されたのかと言う現実が槇原を責めていた。そして槇原が最後に推理すると執事は殺されたのではなく自殺したのだと頭に浮かんだ。その事を槇原は丹波に伝えると丹波の顔色が変わった。丹波は槇原に「先生! それはどういうことでしょうか」と、聞くと槇原は「執事の役目を執事自信が終わらせたかったと思うんですよ」と、丹波に視線を重ねた。そしてその後、爺さんの実家では事実を聞かされた妻は床の間で首を吊って死んでいるのが見つかった。そして槇原は「今回の事件は様々な状況が複雑に絡み合って居て登場した人物たちの何かを感じます」と、丹波の前で口を閉じた。槇原は浴衣に着替えると最後の温泉を楽しもうと無言で風呂場に行くと身体を清めて静かに大風呂に身体を浸した。
その頃丹波は無線電話で別荘の爺さんの妻が首を吊って死んでいたと言う事実に顔色を変え、浴衣に着替えると槇原のいる温泉に身体を浸した。今回の事件では槇原は十分な推理を発揮できなかったと槇原はお湯で顔を洗うと「俺は明日東京に帰りますが一緒に帰りますか?」と、聞くと丹波は黙って頷いて顔を洗った。そして結局、今回の事件は複雑でしたねと、丹波に声を掛けると丹波は今回は先生に大切な時間を使わせてもらって感謝してますよと、槇原に顔を向けた。ただ気がかりなのは何故、爺さんはこんな田舎にあんな別荘をたてたんでしょうかねと、最初から大きな穴でも掘って財宝を埋めると言う方法もあったはずなのにと槇原はそこに注目していた。そして丹波は無言でいると槇原は「多分、爺さんのジョークだったようなきがしていますよ」と、丹波に言い聞かせ「あの爺さんもジョークの通じる人だったに違いありませね~」と、付け加えた。だって面白いじゃないですかと槇原は笑みを浮かべて「家の中に別な家を作って別荘に住んでいるオーナーの生活感を覗き込むなんてジョークの通じる爺さんだったんですね~ そして宝箱を床下に埋めて人間の欲望がどんなモノなのか見ていて楽しんだと思いますよ♪」と、付け加えた。そして自分たちが爺さんの養子だと知って暴れた二人の息子を殺めて壁の中に死体を隠すなんて普通の感覚では考えられませんね♪ と、丹波に天井を見上げて独り言のように喋った。それにしても人間の欲望と言う物は果てしが無いというか複雑なんですね~ と、丹波も天井を見て呟いた。
全ては人間の業のなせるワザですよ… 俺も過去にいろんな事件に遭遇しましたが今回のように絡み合うだけ絡み合った事件は初めてかも知れませんねと言うと槇原は風呂を出て外風呂に映ると平らに雪が積もった場所に大の字になって青い空を見て顔に雪を掛けて涼んだ。そんな槇原の横に同じく寝そべった丹波もまた「今回も先生が居なければ御宮いりする事件でしたよと、空を眺めて彼は笑った」が、本当は先生は最初から知ってたんじゃないですかと、質問すると槇原は黙って笑みを浮かべると室内の風呂で汗を流した。そして風呂から出ると槇原は手帳を持って立ち上がると何かを手帳に書き込んで手帳をうっかり部屋のテーブルに置いて娯楽室に向かうが、あとから槇原の部屋に行った丹波はテープルの上に置き忘れた槇原の手帳の中身を読んで「やっぱり先生は最初からこの事件の真相を知っていたんだ…」と、改めて槇原を一流の探偵であると確信した。槇原は娯楽室で電気マッサージに身体を、ゆだねつつテレビのニュースを聞いていた。そして今回の事件のニュースが流れた瞬間「俺はもう関係者ではないからな」と、そばでピンポンをする若いカップルを見ていた。そこへ丹波が手帳を持って来て「忘れ物ですよ♪」と、槇原に手帳を返すと槇原は笑みを浮かべた。
完