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夢ならばどれ程よかったでしょう

目が覚めると、知らない天井があった。


「あ、起きたテラ!」


まだ意識が覚醒していないが、あれはデカドラゴン族のユウだろう。


…ユウ?あ、頭が!突然、昨日のことが俺の脳裏に浮かんだ。


そう、デカドラゴン族伝統の宴で、闇鍋パーティーをしたのだ。


いやっ、あれはきっと夢だ!夢に違いない。そう思い俺は恐る恐るユウの右腕を見た。


そこには右腕がしっかりとあった。よかった…昨日のアレは夢だったのか。ユウの右手が少々新しいのは気にしないでおこう。きっと脱皮とかしたのだろう。いやそう違いない!


「コウセイ殿、起きたテラね」


こういったのは族長のジョさんだ。俺は族長の方に目を向けた。だが向けた先に合わせる目はなかった。俺は叫んだ。


「目があああ、目がああああ」


そう、族長の目はなくなっていたのだ。


「ああ、これのことテラね。そのうち生えてくるから気にしないテラ」


ユウがそういってのける。


「気にしないわけがないナノだ!」


少し高い声が向こうから飛んできた。チビドラゴン族のセツだ。どちらかというと妖精に近い。


「それは気にするテラね。チビは体の一部を取ったら、見えなくなるテラね」


すかさず喧嘩を売るユウ、そう、この二つの種族は仲が悪いようだ。まあ俺にはト〇とジェ〇ーにしか見えないのだが。


「そういうことじゃないナノだ!あとチビじゃないナノだ!」


少々中がうるさくなったので俺は少し散歩をすることにした。


外に出ると何体かのドラゴンがいた。ゴロっと寝転がっていたり、腕立てをしているドラゴンもいた。みんなどこかしらの部位が新しくなっていたが俺は深く考えないようにした。


「おお!コウセイが来たテラ!」


俺はこの集落でちょっとした人気者になっていた。実はここにはあまり訪問者がおらず、来たとしても文句を言いに来たチビドラゴンくらいだとか。


さらに昨日の宴で仲間と認定されたらしく、みんなフレンドリーに話しかけてくる。なので昨日の宴も決して無駄ではなかったのだ。


「足、大丈夫なのか?」


俺は足が新しいドラゴンに話しかける。


「前よりも立派になったテラね!」


嬉しそうに答えていた。やっぱり俺とは温度差がある。


「すぐに生やせるものなのか?」


「そうテラね、ただ少し疲れるテラ」


それから爪を生やしたりするところを見せてもらった。手も見せるテラ!と言われたがもう見たくはないので辞退させてもらった。


「しかしいったいどうなっているのか?」


「ドラゴンにはコアというものがあるテラ」


後ろから声が聞こえた。族長の声だ。


「コアですか」


「そう、それが我らの本体と言うべきものテラ。肉体はそれに付随するものテラ」


「コアは結構小さいナノだ」


セツも来ていたらしい


「ちょうどその小娘と同じくらいテラ」


へえそんなに小さいものなのか、それさえ守っていれば大丈夫ということか、便利な体だなあ


「それはそうと、コウセイ殿にお願いがあってきたテラ」


なんだろう…俺の目玉をとってこいとか言わないよな。


「そう身構えなくてよいテラ。実は族長の座を降りようと思うテラ。それで次期族長決定戦をするから不肖の息子を見てやってほしいテラ」


息子…ユウのことだろう。悪い話じゃない。ちょうど火口も調査したかったところだ。


「なに、手助けしてほしいわけではないテラ。外の目からふさわしいか見てほしいテラ」


いろいろ理由をつけてはいるが、この人もちゃっかり親ばかだなあと思った。

ここまでお読みいただきありがとうございました!

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