宴
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ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
軽快なリズムが響き渡る。
「汝の右腕掲げて見せるテラっ」
すると先頭にいたドラゴンが跪いて腕を掲げる。暗くて俺には何の右腕か分からないが。
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
その後右腕を掲げたドラゴンはそれを釜に放り込み一礼しその場を後にする。
「汝の左腕を見せるテラっ」
そうして次のドラゴンが同じようなことをする。さっきからこの繰り返しだ。
気づいてる人もいるかもしれないが、今なんと宴の最中なのである。
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
こんな感じで各々が持ち寄った食材で鍋を作っているらしい。ん?これ前の世界でも見たことあるような…
そう、闇鍋である!
この時、俺はセツが宴はイヤと言っていた理由を知ったのであった。
だが後の祭りなのである。
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドンドン!
「セツ、ここから逃げよう…」
「もう無理ナノだ。諦めるナノだ」
「汝の右目を見せるテラっ」
無慈悲にも宴は続いていく。
俺は感覚のスイッチを切って宴が終わるのを待ったのであった。
ドンドン!ドンドン!ドンドン!ドドン!
いつ儀式が終わったのか正確には覚えていない。それに終わったという表現も適切ではないだろう。なぜなら、闇鍋を作ったということは…食べるというフェーズも残っているからである!
そして今俺の手元には得体のしれないご飯…いや物質があるのだ。白くてぷにぷにしていて、少し動いている。
「それでは皆の者!我らは一つの共同体テラ!これを食して一つになるテラ!」
『テラッ!!』
「……てらっ」
俺も後から掛け声に反応して覚悟して口に入れた。
うっ…噛んだ瞬間、汁がジュワっと出てきた。吐き出すのを何とか堪えて飲み込んだ。
横目でセツを見ると見たことのない形相をしていた。きっと俺も同じ顔をしていただろう。
「コウセイ、食べてるテラ?」
名前を呼ばれて振り返ると今日途中まで一緒に山を登ってきたユウがいた。
「ああユウか、いたのか」
「いたのかってひどいテラ!あの後必死に登ってきたらみんな宴の準備をしていたテラ!危うく参加できなかったテラ!」
そう言いながらユウはモグモグと平気そうに食べている。やっぱりデカドラゴン族にとっては普通に食べれるものなのか…。
「あっ」
そう思っているとユウが肉←のように見える物体…を落とした。その時俺は初めてユウが左手でご飯を食べていることに気がついた。
「ユウって左利きだったんだな」
「右利きテラよ」
俺は何となくこの話をしたことを後悔した。そして一種の予感が頭をよぎってすぐに確信に変わった。
恐る恐る俺はユウの右腕を見る。いや実際には見ることはできなかった。ないものは見ることができないのだ!
暗くてよく見えなかったがユウの右腕がないのである!
「なあユウ、このお肉って…」
恐る恐る聞いた俺とは対照的にユウはそっけなく答えた。
「その目玉は族長のテラね。コウセイは運がいいテラね」
それを聞いて引きつった顔を族長の目玉はしっかりと俺を見つめていた。
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