私はドラゴンテラね
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「見知らぬ者もいるテラね」
そう言ってデカドラゴンがこちらの泉に降りてきた。
「こっちに来るなー!!」
デカドラゴンはセツを無視して俺に話しかける。
「私は 『ユウ=チョウ=フカセツ』 ユウと呼ぶテラ」
「ユウは岩を遠くに投げることに全てを捧げでいるナノだ。勝手にやっていればいいと思うナノだが、こっちによく降ってくるから迷惑ナノだ」
「まあ、悪気は無かったみたいだから許してあげたら?」
「あれで悪気がないのがなおのことタチが悪いナノだ」
「なるほどね」
確かに悪気がなくあんな岩を毎回落とされてはたまったものじゃない。
俺はその落ちてきた岩に手をかけた。
「クラフト!」
岩の周りの土がえぐれて、もとの岩はその土を吸収しさらに大きくなった。
「これを使うといいよ。これならもっと練習になるし」
これ程の重さならあまり飛ばないだろう。そうすればこっちに飛んでくることも無くなって万歳解決である。
「おおー! これはすごいテラ‼︎ さっそく投げるテラ‼︎」
そう言ってユウはここで岩を投げた。それも泉の方に。そして泉に岩は入り、大きな水しぶきが俺たちにかかった。
「セツ、これはタチが悪いわ」
「分かってくれてよかったナノだ」
「コウセイ、ありがとテラね。これ凄く重いテラ‼︎」
どっと疲れた俺たちとは対照的にユウはクリスマスの日の朝の子供のようなはしゃぎ様だった。
「なあセツこの島にはこんな連中がたくさんいるのか?」
俺とセツは濡れた体を温めるため、セツの家にいた。
「そうナノだ。全くデカドラゴンには困らされているナノだ」
セツもその連中に入っていることは言わないでおいた。
「セツもその連中に入っている自覚を持つナノだ」
セツの父が水を持ってきてくれたのでありがたく頂戴した。
「ほんとうですよ、船のために遠出までして、とうでだけに」
あれ? これは『ナノだ』の時と既視感があるような……
「これは飲むとダジャレを言いたくなる水ナノだ」
忘れてたよ‼︎ お前も大概だなあああああ‼︎
「アンタの家、『クラフト』でイエ替えるぞ」
フッとセツが鼻で笑った。クソっ! 入れ替えると言いたかったのに。
「ごめんナノだ。作ると誰かに使いたくなるナノだ。これで治るナノだ」
ダジャレを言いたくなる気分が収まった俺は改めてこの家を見回してみる。見るからに怪しい器具、薬品がいっぱいだ。少しでも触ろうものなら、また変な語尾が付きそうだ。そして俺は他のものと性質の違うものを見つけた。この家ほとんど薬品だらけだが、1ヶ所だけ岩石やらが集められていた。
「これは何ですか?」
「あそこの火山の岩石ナノだ。今、私は火山の研究をしたいナノだ。最近噴煙が多いナノだ。しかし私は入れさせてもらえないナノだ」
話を聞いたところ、この島は泉に住むチビドラゴンと上の火山に住むデカドラゴンの2部族いるようだ。そしてチビドラゴンはなかなか火山に入れさせてもらえないとのことだった。逆もしかりなのでお互い様なのだが。
「俺が掛け合ってみるよ。当事者じゃない方が話しやすいと思うし」
似たもの同士なんだから仲良くすればいいのに。そう思うのは俺だけだろうか。早く帰るつもりだったがまた一つ用事が増えてしまった。
『ナノだ』やら、『テラね』やら、いい加減頭がおかしくなって来ました
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