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五歳 ー 始動する物語① ー

ーーーその日、リュナンは父親と共に教会を訪れた。



「お前はどんな力を授かりたいかな?」


子どものような悪戯を企む光を湛えた眼差しを向けられ、リュナンは俯いた。


武術の際で名のある者を打ち倒していく英雄譚にも憧れるし、理屈で説明出来ない摩訶不思議な魔法にも憧れる。


まだ五歳なのだ。なりたいものはいっぱいある。


しかし、生来大人しい気質のリュナンは、父の問いに「~~の力がいい!」と無邪気に返答することも出来ず、「わかんない」と無難に返すしかなかった。


そんな息子を見て苦笑するが、父ーーーハルシオンは彼の頭に手を置いて優しく撫でた。


その大きな手のひらの感触と温もりに、リュナンの口許が自然と綻ぶ。


「まぁ、神様の贈り物だ。どんな力でも大事に使いなさい」


そんなやりとりをしているうち、案内をする神官の迎えが来たため、二人は教会の奥へと進む。





案内のもとたどり着いた先には、父の背丈すら越す大きな両開きの扉があった。


ーーーぼくのみらいが、ここできまる。


そう自覚すると、我知らず息を飲んだ。父の人差し指に掴まった手に、思わず力が入る。


そんな息子の様子に、ハルシオンは彼の頭を掻き回した。


「わぁっ」


「なんだ。始まってもいないのに緊張してるのか?」


「だ、だって……っ」


息子リュナンの弱りきった表情を見て、ハルシオンは彼を抱き上げた。目線が合わせられ、至近距離から父の顔に向き合ったリュナンは、彼の表情を伺うような目線を投げ掛ける。


「大丈夫だ。ただ神官様の言う通りにやればいい」


朗らかな笑みを向けられるも、リュナンは素直に頷くことが出来ない。


本当にそれだけでなんとかなるのか。


頭をもたげた不安が拭い去れず、まだ心細い面持ちを変えない息子リュナンに、父は柔らかな声音で告げた。


「それにお前のことだ。どんな力だって使いこなせるとおもうぞ」


「そんなことなんでいえるの…?」


「だってお前、昔の俺よりずっと賢いだろう?」


「そうなの?」


「そうだぞ。幼い時分の俺は、もっと勉強から逃げたり、馬鹿やってて幼稚だったからな!」


なのに、と一度言葉を切ってからにっこりと笑った。


「お前は勉強から逃げずに頑張ってるし、時間のあるときも、迷惑のかかるようなことはしない」


俺には無理だった、と父は笑う。


「だから、どんな力でもその賢い頭で周りがびっくりするようなことをするさ。何より、どんな力でもお前は俺の可愛い息子だからな!」


その迷いのない断言に、リュナンの気持ちが解れてきた、表情の強張りも緩んでいく。


ーーーそっか。どんなちからでも、だいじょうぶなんだ。


幼い頭に父の言葉が染み渡り、緊張も解れた。それを感じ取ったか、父はリュナンを床に下ろす。



「さぁ、行ってこい」


背を押され、二人のやりとりを見守っていた神官の側へ行くよういざなわれる。しかし、それに応じた自らの足は軽やかだった。


「では、行きましょうか」


神官に促され、扉の奥へと足を踏み出したその背に、自分を見守る温かな視線を感じながらリュナンは進んだーーー…。

う、打ち込みづらい…っ


しかし負けてたまるか(T-T)


だって書きたいんだもん、


という訳で前書き長いな、と思いつつ一話目更新です。


昨日の夜に更新するはずだったんですが、慣れないスマホ操作で一回打ち込んだデータ吹っ飛んだので泣く泣く書き直し。


長かった…。


ていうか、こんなテンションで書いて読みづらくねーかな、と若干戦々恐々してます。


……だ、大丈夫だよね?


続きも頑張ります

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