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第二章+Y

遅刻だ。


俺が遅刻している訳では無い。

相方が遅刻しているのだ。


別に一度や二度の遅刻ならいい。

最近遅刻が多すぎるのだ

ここ1ヶ月で遅刻してこなかった日はほぼゼロに等しい


芸人世界で売れてきたらすぐこうだ。

すぐに天狗になりいなくなっていく。

彼だけ売れても何も面白くない

ネタができないのであれば…


ほかの芸人も言っていたようにお笑い風を彼はやっているだけだ。


まあ、あんな子どものじゃれ合いが好きならいい。


ただ、あいつは俺とネタがしたい。と言って俺は普通の公務員になるはずが、無理矢理組まされた。


そのくせに、ネタを書けと無理を言ってきて

死ねっと思ったことが何度あったか、

ただ、あいつに勝てるかもって思って

それだけで、一生懸命笑っていた。


けど、現実はもっと厳しかった。


今はネタを厳かにするあいつがいる。

最近、テレビに出てヘラヘラ笑ってるあいつがいる。


そんなあいつの裏では偽物になって笑うふりをしている俺がいる。

心の中では丸裸で泣いてる俺がいる


テレビに出るようになってから劇場の遅刻が目立つようになった。


相方の俺から見ても天狗になっている。


まあ、俺はあいつのためにネタを作るだけの存在なのかもしれない

いや、そうであるはずだ。


ネタが好きな芸人は、好きなだけネタをすればいい

バラエティが好きな芸人は好きなだけお笑い風をやればいい。

そんな昔のテレビはなくなってしまった。


バラエティ命になってしまった


何も面白くない。

そう、何も…


今なら俺が死んでも誰も心配しないかな


そんな思考が頭の中で駆け巡った


相方が来るまで相方と同じ銘柄のタバコを吸おう

何にでも柔軟に対応できるあいつになれるかもしれない


口の中でほろ苦い煙がまう


頬が濡れてたのは気付かないふりをしよう。

きっと気づいてしまったらもっと泣いてしまう。


30分時間が経ったあと、ようやく相方が来た

「ごめ〜んwww昨日飲みすぎてさー…」

そんなことだと思ったよ。


そっと握りしめた拳を緩めた。


ごめんな、俺、お前殴れない。


そんな言葉が頭の中で…

なんで殴れないのだろう。

また、頬が濡れる。


「あれ??俺なんかした??」


とぼける相方にため息しか出なかった。

馬鹿だな、俺…


「何もない、ネタ飛ばしたら殺すぞ」


俺なりのめいいっぱいのボケだった。


冷たい空気が肺に取り込まれていった


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