婚約破棄された、悪役令嬢の劣等生
投稿です。
煌びやかな社交界。
だがそこは、血筋、家柄で全てが決まる閉ざされた世界だった。
生まれながらに決まる貴族令嬢としての格。
同じ舞踏会にいながらも、そこに明らかな境界線があった。
劣等生と優等生。
血を分けた姉妹ながらも、そこには明確な境界線があった。
一人は愛人の子、もう一人は正室の子。
この差はくつがえしにくいものだった。
愛人の子、ナタリア・ウォルドーフ。
貴族階級最下層のナタリア。悪役令嬢、劣等生と呼ばれた彼女。
今、そんな彼女の快進撃が始まるのであった。
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「ナタリア、君とは婚約を破棄させて貰う、もう我慢ならんっ!」
この国の第二王子、ニコライ王子が私に告げる。
「な、何故ですか?」
「話は聞いた。君の悪い噂には目をつぶっていたが、もう我慢ならん。
君の悪行の数々、ユリア譲から詳しく聞かせてもらった」
王子の隣にはかわいらしい女の子。
名をユリア公爵令嬢。
ふんわりと巻いた髪の毛が小動物を思わせる。
「私は何もしていませんわっ!」
「ほざけっ!話は聞いているといったろ。君のよく回る毒舌は聞かんっ!
僕が劣等生の君と婚約してあげたものを、なんたる仕打ちっ!恥を知れっ!」
「私のお話を・・・聞いては下さらないのですか?」
「くどいっ!話は終わりだ、以上だっ!」
ニコライ王子は去っていった。
王子の傍にいたユリア公爵令嬢は、申し訳なさそうな顔をしつつも。
チラリと私を見て笑みを浮かべたのだった。
かわいい顔をしながらも、随分と意地の悪い笑みだった。
まるで私をあざ笑っているかのような表情だったのだ。
ポツンと一人残された私。
あー終わった。
完全に終わった。
王子様に捨てられたしまったのだ。
元々愛人の子、身分が低かった私。
そこを救ってくれたのが王子様。
でも、まったく知らない理由を盾に、今婚約破棄されてしまった。
本格的に終わった。
家から追放されるのも時間の問題だろう・・・
なぜなら・・・
今、私の未来は閉ざされてしまったのだから。
◇
数ヶ月後。
王宮の舞踏会。
多くの貴族が歓談をしている中、一人の貴族令嬢が舞い降りる。
私、ナタリアは颯爽と会場の中央、ダンス広場に移動する。
多くの貴族達が楽しそうにダンスを踊っているが・・・はっきりいって見てられなかった。
まったく・・・
こんなこと言いたくはありませんが・・・目を覆いたくなる悲惨な現状ですわ。
技術やセンスなど微塵もない醜い踊り。
これはダンスではなく、ただのお遊戯ですわ。
つい数ヶ月前まで、私もこのような幼稚な踊りをしていたなんて・・・
今思えば顔から火を噴出しそうです。
手足をヒョコヒョコ動かすだけでは、ダンスではないのです。
生まれたばかりのヒヨコの戯れです。
ここは、私が本物のダンスというものを見せるべきでしょうね。
なるべく失礼のないように、私がダンスをいうものを皆様にお教えしましょうか。
私は踊り場の中央で、本物のダンスを開始したのだった。
あっそれっ
スタスタ サッサ スタスタ サッサ (踊り中)
「なっ、なんだあの動きはっ!」
「う、美しいっ!」
すぐさまあがる喚声。
私は気にせず、ステップを踏み続ける。
人を虜にする華麗なる足裁きを披露する。
この数ヶ月鍛えたステップを踏み続けるのだ。
あっそれっ
スタスタ サッサ スタスタ サッサ
おおっ! (観客の声)
それっそれっ
スタスタ サッサ スタスタ サッサ
おおおおっ!
いよっとっ
スタスタ サッサ スタスタ サッサ ビシッ
ポーズを決めた。
うおおおぉぉぉぉおおおおおおっ!
「一体なんなのですか?その精霊のような華麗な舞はっ!?」
「まさに天使の舞っ!」
「是非ともお教えくださいっ!」
周りの貴族達が騒がしいですわ。
あらあら、私を羨望の目で見ていますわ。
恥ずかしいですね。
ですが・・・
聞かれたなら答えを教えてさしあげましょうか。
踊りの名を。
「ワルツ・・・ですわっ!」
「な、なんですと・・・そのような踊りの名、聞いたことがありません」
「私もです。精霊の舞ですか?」
「いや、天使の舞であろう?」
ふふふっ。
皆さん、興味津々のようですわ。
自分達のお遊戯と、私のダンスとの差をはっきりと理解したようですわね。
「私の考えた踊りですわっ」
「素晴らしいっ!なんたる才能っ!」
「才女とはこのことかっ!」
褒め称える貴族達。
まだまだ序の口だというのに、皆さんお元気なことで。
驚くのは時期早々だといいますのに。
「これより、次の踊りを披露いたしましょう」
「まだあるのですか?」
「どれほどの才能の塊っ!」
「底がしれんっ!」
私は再び踊りだした。
あっそれっ
タンッタタタッ タンッタタタッ
おおっ!
それっそれっ
タンッタタタッ タンッタタタッ
おおおおっ!
それっそれっそれっ
タンッタタタッ タンッタタタッ ビシッ
ポーズを決める。
うおおおおおおぉぉぉぉおおおっ!
「今度の情熱な踊りの名は?」
「まるで燃えるような踊りっ!」
「天才かっ!」
「これは・・・サンバですわ。私のオリジナルですわっ」
今では、舞踏会の全員が私を見ている。
目を惹かれて離せないといった様子。
飲み食いするのも忘れて、ただ私だけを見ている。
今、私は舞踏会の中心にいた。
「なんとも暴力的な魅力を備えた踊りっ!」
「次々に繰り出される踊りは・・・まさしく天舞のものっ!」
「なんと美しく可憐な踊り姫かっ!」
私は踊りつかれたのでちょっと休憩。
椅子に座ってワインを飲んでいると・・・
おっと。
瞬く間に人が集まってくる。
貴族男性達がこぞっ寄ってき、私を誉めそやす。
「ナタリア令嬢、素晴らしいですっ!」
「ええ、是非とももう一度拝見させていただきたいですっ!先ほどの天女の舞をっ!」
「あなたこそ、社交界の華だっ!」
ふふふっ。
どうやら私の踊りの虜になってしまったようですわ。
そうなる理由も分かりますが・・・少しぐらい休憩させてもらいものですわ。
まぁ、せっかちですね。
「皆さん、それ程褒めないでくださいな。ちょっと体をほぐすために踊っただけですの」
「な、なんとっ!」
「あの華麗な舞が前座ですとっ!」
「すさまじいっ!」
どよめく貴族達。
開いた口が塞がらないとはこのことか。
目をランランと輝かせ、私の一挙一動を入念に見つめている。
ワインを飲み干す喉の動きまで見られている。
「ええ、ほんの軽い体操ですの」
「すさまじいですっ!さすが踊り姫っ!」
「是非ともご縁を結びたいものですっ!」
「わ、私もです!」
「お、俺が先だっ!邪魔するなっ!お願いしますっ!」
おやおや。
さっそく婚約のお誘いですか。
まったく節操がないですね。
だけど困りましたわ・・・私は一人しかいませんのに。
そんなにプロポーズされましても・・・
愛を示していただいても・・・全てはお受けできませんのに。
「皆さん、私は下級貴族、所詮劣等生ですから、皆様とは釣り合いませんわ」
「いえいえ、今の舞は天下一品のもの。すぐにこの国を代表する麗人になるでしょう」
「そうです。天下に名を成すのも時間の問題かと」
「あなたこそこの国の王妃にふさわしいっ!」
「まぁまぁ、皆さん。お上手ですこと」
私は再び舞台に向かい、舞を披露する。
「一体、次は何を見せてくれるのか?」
「期待ですなー」
「これほど胸が高鳴ったのは、一体いついらいか・・・」
貴族達が目を輝かせて私を見ている。
次は何かと期待で胸がいっぱいなのだろう。
視線がささるように集まっている。
皆が私に注目している。
私はさっと動き出し、踊りを始める。
あっそれっ
シュシュ パッパッ
おおおおおっ!
それっそれっ
シュシュ パッパッ シュシュ パッパッ
おおおおおおおっ!
それっそれっそれっそれっ
シュシュ パッパッ シュシュ パッパッ ビシッ
決めポーズ。
うおおおおぉぉぉぉぉおおおぉぉぉおおっ!!!
「今のは・・・タンゴですわっ」
「なんたる舞っ!」
「私はあまりの魅力に、心臓が爆発しそうですっ!どうしてくれるのですかっ!」
「これほどまでの舞、たっ、たまらんっ!心が張り裂けそうだっ!」
すると・・・・
「ブラボー!」
人ごみの奥から聞こえる声。
パチパチと拍手しながら近づいてくる人物。
人垣を掻き分けて・・・王子が登場する。
つい数ヶ月前に私を婚約破棄したニコライ王子だ。
彼の目をランランと輝いている。
羨望をこめた目で私を見ていることが、ありありと分かる。
私に首ったけのようで・・・・私に惚れているのが一目瞭然だ。
「ナタリア、君は・・・とても変わったね・・・素晴らしい令嬢になった・・・」
「ありがとうございます、王子様」
「本当にっ・・・天使のようだっ!」
「ですが私は、王子様に婚約破棄された身・・・過剰な褒め言葉かと存じます」
「まったく過剰ではない。言葉が足りないぐらいだっ!」
「と、いいますと?」
「その・・・すまない。過去の行いは僕の間違いだった。とんでもない間違いだ。
もう一度、愚かな僕と婚約を結んではくれないだろうか?」
おやおや。
王子様というのに・・・もうプロポーズですか。
お早いことで。
「私はただの劣等生です。王子様に釣り合いが取れる女ではありませんわ」
「いいや、今の君をみて確信した。君はこの国の国宝だ、至宝だっ!」
「国宝・・・ですか?」
「そうだ。まるで宝石のような君をふった事は、僕の生涯至上最大の間違いだったと、今気づいたよ。
大きく国益を損じるところだった。なんと愚かしいことをしたか・・・
過去の自分に出会えるのであれば・・・本気で殴ってやりたい。お前は愚か者だとっ!」
「ですが王子様。王子様にはユリア公爵令嬢がいるのでは?」
「何、天使の様な君に比べたら、絨毯の塵のような女さ、比べるまでもない」
横にいるユリア公爵令嬢は、小さく丸まった。
絨毯の塵といわれてショックだったのかもしれない。
「考えさせてもらいますわ」
「あぁ、十分に考えてもらいたい。君のためならいつまでも待つさ。永遠にね」
私が休憩していると・・・
王子は私に質問してくる。
「そのプックラとした、吸い付きたくなるようなプルルンとした唇は一体?」
口紅のことかしら?
まぁ、これは秘密にしましょうか。
「秘密ですわ」
「ではっ、魅惑的な目元、キラキラと光をそなえたの目元は?」
マスカラのことかしら?
これも秘密にしましょうか。
「秘密ですわ」
「ふふふっ、君は秘密が多い令嬢かな。ますます気に入った」
多くの貴族男性に求婚され。
多くの貴族令嬢に嫉妬の視線と、諦めの吐息をもたらされながらも。
この時より・・・
私、劣等生ナタリアの快進撃が始まったのであった。
数ヶ月前と今では・・・
まったく別人になった私。
きっかけは、とあるチートスキルを得たことだった。
そのスキルの名は・・・『地球文明』
とある制約の下に・・・
時、大きさ、種族にかかわらず、地球上で創造されたものを持ってくることができる能力だった
新連載記念に書きました。
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新連載はじめます↓(こちら、よろしければどうぞ~ですっ!)
『チートスキル「美容整形」持ちの俺は、目立ちたくないのにハーレムに』
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