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第1話『白昼夢?』

よく晴れた朝、俺『七星輝星(しちせいきらと)』はじいちゃんの墓参りに出掛けていた、今の寮の初代家主がじいちゃんで、亡くなった後俺が跡を継いで家主になった、まず七星寮(しちせいりょう)とは何か、七星寮は近くにある大学に通う学生に安価で貸している寮で、駅からもスーパーからも近く人気寮の1つだったりする。


しかし、最近は大学付近に質が良くて安いアパートができ始めていて現在の入居者は家主の俺を含めて4人だけだ、寮の維持だけでもお金が大変なのにこのままではじいちゃんに申し訳が立たない、だからバイトをしたりしてなんとかやっている、そして最近は墓参りに行けていなかったのでじいちゃんに挨拶をしに行って今寮に帰ってきた。


「ふぅー、暑い暑い……7月も始まったばかりなのに、こんなんで大丈夫なのかなぁ」


体力的にも金銭面的にも大丈夫なのだろうか、ドサッと畳に倒れるように寝っ転がった、天井をじーっと見つめる。


「就職すりゃよかったなぁ、そうすりゃこんなに苦労しなくて済んだのにな」


天井に話しかけても返答なんてない、静まると聞こえるのはセミの鳴き声だ、暑いのによく泣けるもんだ、ゆっくりと起き上がると本棚に目をやる


「本も全部読んじゃったしなぁ、なんかないのかな」


本棚を漁る、漫画や何かの図鑑、じいちゃんから貰った古い書物などが出てくる。


「なんだこれ、字が読めんぞ、英語か?」


英語のようなそうじゃない字がタイトルになっているみたいだ、ペラペラと捲るが………


「なんだこれ、白紙じゃないか」


タイトルは読めないし中身は白紙、印刷ミスのレア物だろうか?ひょっとしたらお金になるかもしれない、輝星(きらと)はその古びた真っ白な本をとりあえず鞄に入れた。


お金になるなら変えてしまう、本の整理にはもってこいだ、その後も何かしら見つけたりしたがその古びた真っ白な本以外は何も無かった、漁った本は紐で縛って畳の上に置いておく、先ほど鞄に入れた古びた真っ白な本を再び手にする。


「んーー、読めん。てかじいちゃんなんでこんな意味のわからん本を持ってんだろ?もしかして、日記帳か何かだったのか?」


ペラペラと捲っても全部白紙、むしろゴミすら紛れてないくらい真っ白だ、しばらく本を見つめていると玄関から声が聞こえてくる


『やーぬーしー!!』


「お、来たか」


輝星(きらと)はその声がする玄関に行き、玄関扉を開けてやるとそこに来たのは


「はい、今日のお昼ご飯ね」


「悪いな凉音(すずね)


「気にしないでって、幼なじみな訳だしさ」


このちょっとちっこい女の子、いや女性なんだが見た目が幼女なんです、だがこれで20歳超えてるんです、合法ロリ巨乳って奴だ。


何を説明しているんだろうか、彼女の名前は『風凉音(かぜすずね)』と言う、ちなみに大学生で毎日お昼ご飯と晩御飯を持ってきてくれる、貧乏なのを知っているかららしいがそこまでしてくれる理由がわからない。


「ん?何かしていたの?」


「あぁ、本の整理をな?じいちゃん死んでからあまり手をつけてなかったしな」


「ふーん、あ、それより来週近所でバザー開くみたいだしそこに出してみたら?」


紐で縛っている本を玄関から見えたのか、そんな提案を出してくる、確にバザーに出せば気にかけてくれるだろうが


「やっぱボロボロだし価値はないだろ?いいよ、資源ごみに出すから」


「そりゃ残念です、んじゃまた晩御飯の時間に来るから!」


凉音(すずね)は手を軽く振ってから自室に帰った、玄関扉を閉めて畳に寝っ転がる、バイトは休みで時間が甘っている輝星(きらと)は座布団を丸めて枕代わりに使う


「まだ食べたい気分じゃないし、少し寝ちゃうか」


目を瞑ると視界は真っ暗になる、聞こえてくるセミの鳴き声、道を走る車の音、扇風機の機械音に風の音…………


それが途端に無くなる、無音、どうやら眠りに落ちたようだ。


助けてください…………


『ん?』


助けて………ください………


『なんだ、何か聞こえる』


夢を見ているようだ、声が聞こえるしかし視界は真っ暗だ、身体も動かない、でも聞こえる女の人の声が。


どうか…………こちらへ………こちらへ


『いや、しかし何も見えないし動けないんだ』


会話が成り立っているとも思えない、夢の中ではルールがある、意識的に動くものなら夢から覚める、夢で起きる出来事に意味を考えてしまっても目が覚める、だからその通りにしなければならない。


よくあるのではないか?夢の中の自分はどんな高さから落ちても死ななかったり、空を飛んだりと、しかし今見ている夢は何か違うような気がする、このまま目覚めるならそれでいい、しかしその目覚めが来ない。


お願いします………(わたくし)の元へ……………


『い、いやだからうごけないんだってば!日本語わかる?』


私達を………助けてください………どうか、召喚なさってください……


『な、なんだその召喚って!?』


早くっ!!!!


「うわぁぁ!?はぁはぁはぁ…………ゆ、夢?」


急に声が近くなったかと思うとビビって目が覚める、少し放心状態になるが窓の外を見ると夕方の空に変わっていた。


「な、なんだったんだ今の……うわ、なんじゃ汗まみれじゃん!」


Tシャツは汗でビショビショだった、顔を洗うために洗面所に行く、冷たい水で顔をパシャパシャっとクールダウンする、タオルで顔を拭いて部屋に戻り、すっかり冷めたお昼ご飯を見つめる


「電子レンジで温め直すしかないな、ん?」


ふと、畳に目をやる、鞄に戻していないはずの本が鞄に入っている、いや、多分無意識に片付けたのかも知れない、鞄から本を取り出す


「………読めないタイトルだよな…………」


あの夢はこの本のせいだとでも?そんなファンタジーな話しがあるわけない、どこのラノベだ、そうやって頭で理解するしかなかった、本を捲ろうと指を動かそうとしたが


「なんか、捲っちゃ行けない気がしてきた、なんでだ?」


寝る前まではなんともなかった本、しかし今は開いてしまったら何かが起こると頭の中で警告アラートがなりっぱなしだ、でも指は気がつくと1ページ目が見えるくらいまで捲り始める。


「開けちゃいけない気がするのに…………」


しかし、1ページ目が見えてしまった、寝る前までは無かったはずの白紙のページにはよくわからない紋章が書かれていた、不思議と驚いたりはしなかった、むしろそこに紋章は元からあったかのように、夢にはルールがある、夢を見るものはその夢に『従わなければならない』のだから。



突然視界は真っ暗になる、また夢でも見ているのだろうか?いや、実は目が覚めたっていう夢を見ていたのかもしれない。


ふにょん………ふにょん………


「なんだろ……すげぇ、やわらけぇ」


少しずつ意識がはっきりしてくる、視界は真っ暗だが手に柔らかい何かを掴んでいて、持たれているのか?頭は最高級に柔らかい枕に寝かせているような……


「あん……あ、あのー」


何か上から声が聞こえる、身体も動きそうだからゆっくり起き上がると、目の前に居たのは


「召喚に成功したのでしょうか?貴方は聖騎士様ですか?」


「…………え?」


目の前に居たのはドレスに身を包んで、頭にはシンデレラが乗せてるようなアクセサリー、そしてでかいおっぱい………


「聖騎士様なのですか?」


姫様っぽい女の子がずっと訪ねてくる、これは夢なんだよな?夢なら好きな事していいんだよな?だから俺は答えた


「あ、あぁ!俺は聖騎士だ!だぁーはっはっは!」


ちょっぴり嘘をついた、でも本当に夢なの?確に意識があったはずなのに眠ってしまう?暑さで死んだのか?頭が回らない、ていうか頭が理解をしようとしてパンクしているが、一つだけわかったことがある。


七星寮に居たはずが気づけば姫様のお胸の中だったなんて……

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