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第二章 - 1

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64552077.html

「に、にににに、兄ちゃんっ!?」

 目覚まし時計より早く、優紀の声で目が覚めた。優紀が俺より早く起きるなんて珍しい……あぁ、昨日寝すぎたからか。

「なんだ優紀。朝から騒々しいぞ」

「あ、あの、あのあの!」

「言いたいことがあるなら早く言え」

「り、リメリィがキッチンで料理してる?!」

「は?」

 リメリィが料理してる? そんなバカな……っていや待てよ。昨夜俺も似たような状況を体験した気がする。

 とりあえず、自室を出てキッチンへ。

 そこには、鼻歌を歌いながら上手に目玉焼きを作る青い髪の少女がいた。ただし、どういうわけだか……なんていうんだ。えーと、要するに『裸エプロン』と呼ばれる格好だった。

 気づかれる前に俺は反対を向く。

「優紀、彼女は多分怪しい人じゃないから、とりあえず何か服を着させてあげなさい」

「ええ!? 私がやるの!?」

「俺には難易度が高すぎる。というか、場合によっては犯罪すれすれだ」

「そ、そこまで言うなら……」

 とりあえずの処理を優紀に任せ、俺は一度自室に戻る。

 落ち着いて改めて確認すると、やはりそうだった。


 机の横に飾ってあったリメリィの等身大フィギアがない


 奇怪なことが起きやすいこの町だ。あり得なくはないだろう。……っていう感覚がすでに奇怪な気がするが。

 しかし、現に昨日、俺はその『奇怪なこと』を体験してしまった。それに、思い返すと初日の夜も机の横にリメリィの等身大フィギアはいなかった気がする。この町に来てすぐから、俺の周りには『奇怪なこと』が起きていたのだろう。

「兄ちゃん、着替え済んだよ」

「お、おう」

 ドアを開け、リビングの方へ。

 そこには、やはりリメリィがいた。

「えーと。リメリィ、でいいんだよな?」

「はいっ。雅人さんの所有物、リメリィです!」

「に、兄ちゃん!?」

「違う違う違う! 誤解を招くような発言をするな! それに俺もお前の正体を知らんぞ」

「正体……と言われましても、気付いたら動けるようになってたっていうかなんというか」

「うーむ」

 とりあえず、俺のフィギアであることは間違えなさそうだ。しかし一体どうして……。

「兄ちゃん、とりあえずご飯食べないと時間ないよ? 怪しい人じゃないみたいだし、折角目玉焼き作ってくれたから食べようよ」

「そ、そうだな」

 リメリィが作ってくれた目玉焼きと、昨日買ったパンやら野菜やらを食べる。リメリィも普通に食べていた。

 その後、制服に着替え、バッグを持って玄関へ。

「じゃあ行ってくるが、一応念のため、今日は家から出ないでくれ。一般的な範囲内なら好きに過ごしていいから」

「はーいっ。いってらっしゃい、雅人さん、優紀さん」


 学校に着いた俺たちは昨日同様職員室へ。そこでそれぞれの担任と会い、一緒に教室へ向かった。始業式の前にホームルームがあるらしい。

 どうやら、昨日の入学式の後にもホームルームがあり、ひとりひとり簡単に自己紹介をしたらしい。俺は例の旧校舎?のせいで行けなかったので、まだ自己紹介をしていない。入学式からいたのに、結局いつもの転入生みたいになっちゃったな。

 教室の前に到着。先に矢坂先生が入り、先生の合図で俺も入る。

 四年二組は大体三十人ほど。その中には真弓、真、隆治の姿も。

「それじゃあ黒磯君、簡単に自己紹介お願いします」

「はい。……えー、黒磯雅人です。小学五年の途中までこの町に住んでいたのですが、親の仕事の都合でしばらく日本各地を転々としていました。俺の高校進学に合わせて妹と二人でこの町に戻ってきて、今は二人で暮らしています。妖怪、幽霊、怪奇現象がいまだに好きな人ですが、どうぞよろしく」

 パチパチパチパチ

「はい、ありがとうございました。席に……と、まだ座席がわかりませんね。えーと、久喜さんの後ろが開いてるからそこかな?」

「だと思います」

 真弓が答える。

「それじゃあ、そこに座ってください」

 言われるがまま、座席へ。

「えへへ、前後なの久しぶりだね」

「そうだな」

 クキとクロイソ。間に人が入ることはそんなにないだろう。小学校の頃もずっと座席が前後だった。

「それじゃあホームルームを始めますね。この後の始業式について説明します」

 矢坂先生が始業式についての説明を始める。まぁ何時に校庭に集まれ程度の簡単な説明だ。というか、それ以上の説明はいらないだろう。

 ちょっと早めにホームルームが終わり、少し自由時間が出来た。

 早速、真と隆治がやってくる。

「おい雅人~。なんてつまらない自己紹介してんだよ」

「あそこでウケを狙う方が間違ってると思うが。というか、俺はそんなキャラじゃないだろう」

「えー、隆治なんて昨日『俺がこのクラスの支配者となる男、鷲宮りゅ』」

 バシッ

 隣にいた隆治が無言で真の頭を殴った。

「いってぇ。お前、結構本気で殴っただろ」

「本人がいる前で虚偽を話すやつが悪い」

「確かに」「相応の罰だね」

「ちょ、誰も俺の味方してくれないのか!?」

 そんな雑談をしていると、クラスメイトの何人かがやってきた。

「あれ? 真弓たちって黒磯君と知り合いなの?」

「そ、小学校……いや、幼稚園のころからの知り合い」

「俺と隆治は小学校からだな」

「へ~。……真弓、うれしいんでしょ?」

「え、あ、う……」

「こらこら、うちの男子が魅力なさ過ぎてあまりそういう話がないからって」

「おいおい、それは聞き捨てならないな! ここに魅力的な男子が二人もいるだろう!」

「いや、遠慮しておきます」

「なぜだっ」

 いやー、このクラスにぎやかだな。行事とか盛り上がるタイプだろう。いろんなクラス見てきたからなんとなくわかる。

 過去一番すごかったのは、とても主張の強い生徒が集まっていて、クラスの一部が職員室を占拠してまで要求を通そうとしたときかな。結局、行き過ぎた行動として、参加した生徒は停学三日とかそんな処罰を受けたけど、先生たちも考えを改めた……らしい。その少しあとに転校しちゃったから詳しいことはわからん。

 少々顔見知り同士の会話になっていて話に入れない俺のところに、他のクラスメイトがやってきた。

「ねえねえ黒磯君、各地を転々としているときってたとえばどこに行ってたの?」

「なあ黒磯、お前特技とかあるか?」

「黒磯君、バドミントン部に入らないかい?」

「会長の従弟だって話を聞いたんだが、本当かい?」

「ちょ、ちょっと待って! 一人ずつ話してくれ!」

 いやー、にぎやかすぎるだろ。

 と、ふと視線の中に気になる人を見つけた。普通に黒髪とか茶髪しかいないこのクラスの中でもかなり浮いている髪色の女の子。そう、赤い髪の女の子がこのクラスにいた。


今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!

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