第一章 - 6
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64541932.html
現在、俺、真弓、隆治、宝積寺先輩が二ビンゴ。優紀と真と夏菜子姉さんはまだ一ビンゴだ。だけど、姉さんなんかは複数リーチを持っている。まだどうなるかわからないな。
「次の数字は……『56』! っと、私が二ビンゴ目だ」
これで五人が二ビンゴで並んだ。
「くう……。優紀ちゃん、頑張ろうな!」
「うんっ、スズメにーちゃん!」
あの二人、仲良いな。
「さっさといくよ~。次は『68』!」
「やった!」
ついに三ビンゴ達成したのは真弓だった。
「真弓ちゃんおめでとー。はい、これが一位の景品。まだ開けないでね」
「……? わかりました」
夏菜子姉さんから景品を受け取った真弓。一体なんなのだろうか。
「さぁ、残る景品はあと一つ! 誰が獲得するかな? 次の数字は『2』!」
「やった!」
優紀が二ビンゴ目を達成。
「ゆ、優紀ちゃん……」
「ごめんね、スズメにーちゃん」
ついに一ビンゴしかしてないのは真だけになった。そういえば、一番初めにビンゴしたの真じゃなかったっけ……?
「さあスズメちゃんは二ビンゴできるのか? 次の数字は『87』!」
「くそぅ、『88』ならビンゴだったのに……」
「あらら、残念。他の人はビンゴしてないね? じゃあ次は……お、すごい『1』!」
「『1』……あ」
自分のカードを見たら、リーチになっていた最後のマスは『1』だった。
「三ビンゴ目、だ」
「おめでとー雅人。いやー、雅人には是非景品受け取ってほしかったんだよね。まぁもう一つが自分じゃなかったのがちょっと悔しいけど」
「お、おう?」
なんか遠まわしにいろいろ言っている。この景品、本当に大丈夫か?
「それじゃあ、まゆみっちと雅人、同時に箱を開けてみて」
「おう」
「じゃあせーので開けよう」
「「せーの!」」
カパッ
箱の中に入っていたのは……
「指輪?」
「こっちもだ」
どちらにも銀色に輝く指輪が入っていた。何か宝石らしきものも埋め込まれている。
「夏菜子姉さん、これはどういうこと?」
「ん? 『エンゲージリング』だよ」
「え、ええ、エンゲージリング!?」
「そ、だから男女で景品獲得してくれてラッキーだったよ」
「おいおい、一位二位がどっちも男もしくは女だったらどうする気だよ……」
「そのときはそのときで考える」
「ゲームすると言い出したのに何も考えてなかった人が言うなよ……。ところで真弓、これどうしようか?」
「…………」
「真弓?」
真弓の顔を見てみると、リンゴのように真っ赤になっていた。頭から湯気でも出てきそうだ。
「おい真弓! 大丈夫か!?」
「……はっ。私は一体……」
「真弓お姉ちゃん、大丈夫?」
優紀が心配そうに真弓の顔を覗き込む。
「あ、うん。平気。ちょっとびっくりしちゃっただけ」
「よかった」
「ごめんね、心配させちゃって」
どうやら大丈夫なようだ。しかし、エンゲージリング程度でそんなに驚くかなぁ。
「さて、じゃあ波乱万丈ビンゴも終わったし、もう時間が時間だからお開きにしましょうか。明日は始業式あるしね」
「「「「「はーい」」」」」
「みなさん、くれぐれも遅刻しないように」
「「「「「はぁい……」」」」」
「凛ちゃん、折角のいい雰囲気が台無しだよぉ」
「一応部活ですよ。それくらいは……」
「まあまあ先輩。姉さんのおかげで今日はとても楽しかったですし、それくらいにしておいてあげてください」
「……そうですね。黒磯君に免じて、今日はこの辺にしておきます」
「ありがとうございます」
その後、わざわざ使用人の方が(使用人いるってのが驚きだが)車を出して各自の家まで送り届けてくれるそうなので、お言葉に甘えてみんなで乗り込む。
またこの車がすごくて。何かって要するに『リムジン』だから。
「じゃあ近い順に送り届けましょうか」
「お願いします」
「待って兄ちゃん。明日からの食事がないよ?」
「あーそうだった。ってお前、スーパーまで送ってもらおうって思ってるだろ?」
「あ、ばれた」
「構いませんよ。それじゃあ、雅人くんたちは最後にして、途中でどこか食料品が買えるところに寄りましょう」
運転手の方がそういってくれた。
「ありがとうございます。それでお願いします」
「あ、あのっ」
と、突然真弓が声を上げた。
「わ、私、食料品買うの手伝うんで、あとでいいです」
「お嬢様、いかがいたしましょうか?」
「いいんじゃない? まゆみっちがそういうなら」
「かしこまりました。では、出発しますよ」
車が発進する。最初は隆治の家だ。
外から内側は見えないが、内から外側は見える。そこらじゅうで通行人がリムジンを見て驚いている。
「町の人たちみんな驚いてるよ」
「そりゃそうだろうな……」
隆治を降ろし、次は真。といっても、隆治の家からはほんの少ししか離れていない。
次は宝積寺先輩、なのだが、家ではなく大きな門の前に着いた。
「あれ? 家はどこですか?」
「ここから少し先に進んだところにあります。この門から先は私有地ですわ」
「し、私有地ですか……」
「みなさんの帰りが遅くなってしまいますので、私はここで失礼します。それでは、また明日」
その後、車は地元のスーパーへ。
俺と優紀、真弓、夏菜子姉さんの四人で中に入り、適当に食料を買う。
「そういえば、料理ってどうしてるの?」
「あー、俺がとりあえずできるから大丈夫」
「ほ、ほんとに? 何なら私が朝晩行って料理してあげようか?」
「いや、いくら近いからって大変だろ。大丈夫だから」
「あ、う……」
「雅人。女の子の頼みを断っちゃだめだぞ」
「お前は俺の母親か……。まぁ、そこまで言うならお願いしようかな。ただし、無理はしないようにな」
「! うん、ありがとうっ」
真弓、どうしたんだろう? ビンゴの景品を開けて以来なんだかおかしい気がする。
車に戻り、ようやく帰宅。
運転手さんがわざわざ食料品をキッチンまで運んでくれた。うれしい限りだ。
「それじゃ、また明日」
「真弓お姉ちゃん、夏菜子お姉ちゃん、またね~」
「じゃあね、二人とも」
「また明日~」
挨拶を済ませ、車は去って行った。
運んでもらった食料品を冷蔵庫や冷凍庫にしまう。優紀は疲れたのか、部室でも寝ていたくせにいつの間にか部屋で寝ていた。あいつ、風呂入ってないが大丈夫かなぁ。
そういう俺も、かなり眠い。そうだ、朝風呂すればいいか。
自室に戻り、予定より早めに目覚ましをセット。さて、寝ますかね……。
夜中。
「……とさん、まさ……」
ん? 誰か俺を呼んでいるのか?
うっすらと目を開ける。すると、見えたのは青い髪の少女だった。
「…………!?」
「きゃっ」
驚きのあまり飛び起きてしまった。だって、目の前にいたのはあの『リメリィ』だったのだ。
「お、俺の目の前にリアルリメリィが……!?」
「初めまして、雅人さん。リメリィですっ」
「は、初めまして……。って、なんで俺の名前を?」
「そりゃ、ずっと一緒にいたからに決まってるじゃないですか」
「ずっと一緒に……?」
どういうことだろうか。寝起きの頭じゃよく考えられない。
というか、これは本当に現実か? 夢じゃなかろうか?
「えーと……。とりあえずリメリィに会えたのは嬉しいんだけど、眠たいから寝ていいかな? 朝になったらまた来てくれるとうれしいな」
「わかりましたっ。では、お休みなさい、雅人さん」
「ああ、おや……す……」
今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!