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第一章 - 4

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64520174.html

「またストレートな名前だなぁ」

「えへへ」

「褒めてない」

 まったく、よくわからん従姉だ。

「ところで、どうしてこんな部活を?」

「もともとはまゆみっちたち三人が中学の時やってた同好会でね」

「そう。そこに突然夏菜子先輩がやってきたんだよ。びっくりしちゃった」

「あの時は本当にびっくりしてたよねぇ。ワシちゃんの驚いた顔、あれが最初で最後だったかも」

「か、会長……」

 確かに隆治の驚いた顔は見たことがない。というかあまり感情を表に出さないやつだから、無表情以外の表情を見た記憶がない。

「で、私が三人に雅人の従姉であること、そして四月に雅人が戻ってくることを伝えたんだ。まゆみっちとスズメはさっき以上に驚いてたね」

「そりゃねぇ、伝説の友人が戻ってくると知れば驚くわ」

 同好会を立てていたくらいだ。三人もそーいう類のものがなんだかんだ好きなのだ。もちろん、『ゴーストバスター・リメリィ』も。そしてどうやら、幼いながらも単独で町役所に乗り込み、リメリィの等身大フィギアを取ってきた俺は、いまだ伝説扱いらしい。

「それで三人に、部に昇格して雅人を迎えることを提案したの。対価としては私と凛ちゃんの加入」

 あー、そういえば姉さんって小さい頃から取引上手なんだよなぁ。まぁ、今回に関しては大した対価じゃなかったからよかった。昔なんて百円のものに対して十円のものとか平気で渡してきたからなぁ。

「……ところで会長、一体いつから私はこの部活の部員になっていたのですか?」

「今日」

「…………」

 宝積寺先輩、あきれて声も出ないようだ。

 しかし、この二人の関係は少し興味あるな。一体何があったんだろう……?

「もう一つ、今日雅人が部室に来るまで、絶対に接触しないこと」

「それが一番つらかったなぁ」

「そうそう、入学式でばれるかと思った」

「あー、あの時は一人って状態で緊張してて、まったく周り見れてなかったからな」

「まぁ、ほとんどが中学から、この町に関していうなら小学校から一緒なんて子も多いし、途中から入ってきたら馴染むの大変だよね」

「いやでも、真弓たちがいてくれてよかったよ。夏菜子姉さんもわざわざ居場所を作ってくれたみたいだし、サンキューな」

「はぅ……」「……ぽっ」

「二人とも、何赤くなってるんですか?」

 宝積寺先輩がジト目で真弓と夏菜子姉さんに突っ込む。確かに、なんで赤くなってるんだろう?

「こほんっ……。そして最後に、私の計画に協力すること。まぁこれはさっきの二つ目とあまり変わらないけどね」

「要するに、さっきのドッキリとかクイズとかってことか」

「そういうこと」

 俺なんかの為に凝ったことするなぁ。まぁうれしいんだが。

「というわけで、今日から雅人と優ちゃんも部員……ってあら? 優ちゃんは?」

 そういえば、さっきから大人しいな。

「会長。優紀さんならお疲れだったのか、クイズが終わったあたりからソファで寝てます」

 宝積寺先輩に言われてみてみると、ソファの上で寝息を立てている優紀がいた。

「あー。きっと俺が入学式の間、職員室で待ってたから、見知らぬ大人に囲まれて疲れたんだろうな。そのあと火事でごたごたしてたし」

 優紀は元気っ娘のようで、実際かなりの人見知りだ。知り合いの前なら問題はないのだが、まったくの赤の他人がたくさんいるところでは急に大人しくなる。今日なんかは先生が相手だったから、変に気を使って疲れたんだろう。

それにしても、明日からの学校平気かなぁ。俺みたいに知り合いがいればいいのだが……。

「そういえば会長。あの火事の原因はなんだったんですか?」

隆治が夏菜子姉さんに訊く。確かに、火事の原因は気になるな。

「あー、うー……。凛ちゃん、言っちゃっていいかな?」

「いいんじゃないですか? どうせ私も共犯ですし」

 宝積寺先輩が共犯……? 一体どういうことだ?

「あれね……、私が計画したの」

「「「へっ?」」」

 びっくりして三人でハモってしまった。

「会長は、ああいう場がとても苦手でして。なんでそんな人が会長になったのか不思議なんですが」

「そーなんだよね~。それで、もしあまりの緊張でまともに喋れなさそうだったら、事前に準備した『計画』を実行してくれるよう凛ちゃんに頼んでおいたの」

「その『計画』というのが、体育館の数か所に発火装置を仕込んでおいて、会長が極度の緊張で話せそうになかったら発火装置を作動させて、まぁ本当に燃えちゃうとまずいのでボヤ程度のものを起こし、私が『火事だー』って叫ぶ、というものです」

 ああ。そういえばあの声、今思い返すと確かに宝積寺先輩だったな。

「で、姉さんは自分のために入学式を台無しにしたと?」

「うぅ……、それ言われると心が痛むんだけど……」

「まったく……。姉さんはいつからそんな風になっちゃったの?」

「まあまあ。おかげでたるい入学式が早く済んだんだし、ラッキーだと思えばいいじゃん」

「確かにね」「うむ」

 真を筆頭に友人三人が擁護する。

「……はぁ。まぁいいや。俺もあの空気に一時間も二時間もさらされるのは嫌だったしな。そういえば、発火装置なんてどうやって手に入れたんだ?」

「俺が兄貴に頼んで作ってもらった!」

 そう言ったのは真だった。だからさっき驚かなかったのか。

「お前も共犯か……」

「会長、俺の兄貴のこと知ってるらしくてさ。煙を出す機械作ってもらえるよう頼めないか、って」

「遠隔操作で簡単に作動できて、煙も人体に影響のないものを使ってくれたから、助かったよっ! お兄さんにありがとうって言っておいてね」

「りょーかいです」

「真の兄貴って何やってんだ……」

 兄貴がいるのは知っていたが、歳がだいぶ離れているらしい。一体どういう道に進んでいるのだろうか。

「ところで、副会長。発火……というより発煙装置はどうやって回収したのですか?」

 そう隆治が訊いた。

「混乱に乗じてさっと」

「それを誰にも気づかれずにやりきるとは……。流石凛先輩っ」

「真弓、そこを尊敬するのは何か間違っている気がするぞ……」

 そういえば真弓って、昔からかっこいい女性にあこがれていたな。それも今でも変わらず……。

 なんだか、知ってるメンツばかりなのに久々に会ったってだけで新鮮で面白いな。そこに新しく宝積寺先輩もいるし。

「ところで、部員ってこれだけなのか?」

「あー、うん」

「こんなよくわからない名前の部活に入ろうなんて子、いないからなぁ」

「もうブームもだいぶ過ぎてるしな」

「そっか。まぁでも、これだけ人数いれば楽しく活動できそうだな」

「そうだよね!」

 なんだかんだで部員数は七人だ。変に人数いても動きにくいし、ちょうどいいくらいだろう。

「あ、あともう一つ。顧問ってどうなってるんだ?」

「一応、矢坂先生。ほとんど来ないけどね」

「なんだか、部にするためにだました感じがあって……。また担任だって知ってたらこんなことしなかったんだけど」

 え、真弓が頼んだのか。というか、去年も矢坂先生が真弓たちの担任だったんだな。そこはやはり中高一貫ってとこか。

「あれ? 担任が矢坂先生ってことは……」

「そ、三人とも同じ四年二組、だよ!」

「そっか。それじゃあ明日からよろしくな」

「うんっ!」「おうよ!」「まぁ……よろしく」

 よかった。よく転校を繰り返していた時は、やっぱり転入してしばらくは寂しいからなぁ。入ってすぐから知り合いがいてくれるのは素直にうれしいわ。

 そう考えるとなおさら、未だソファで寝息をたてている妹が心配なんだが……。

「さて、一通り話もしたし、今日はうちでパーティするよ!」

「おー、流石姉さん。パーティ大好きだもんね」

「なーに言ってんのよ、あんたたちの為にやるんでしょ。ほら、優ちゃん起こして。みんなも荷物まとめて」

「「「はーい」」」

「あの、会長? 私も行くのですか?」

「何言ってんの、凛ちゃん? 部員なんだから当たり前でしょ」

「……そうですか」

 ちょっと前には嫌がってたそぶりをしていた宝積寺先輩だが、なんだか嬉しそうに見える。ますます二人の関係が謎だ……。

 さて、優紀を起こさないとな。

「優紀~、起きろ~。姉さんがパーティしてくれるってよ~」

「くぅ……」

「はぁ。一度しっかり寝ちゃうとなかなか起きないんだよなぁ」

 困っていると、真弓が近づいてきた。

「ねぇねぇ雅人。私に『あれ』試させてくれない?」

「『あれ』? ……ああ、わかった。今朝も使ったから、まだ効くはずだよ」

「ありがとー。じゃあいくよ。優紀ちゃん~、ゴーストバスター・リメリィの時間だよ~」

「ふにゃあっ!」

 今朝とまったく同じ反応してる……。

「……あれ? みんなどうしたの?」

「どうしたの、じゃねーよ。ほら優紀、姉さんがパーティ開いてくれるって。早く帰る準備して」

「ふぁーい」

私の都合ですが、今回の更新は早めにさせていただきました

次回以降はいつも通り夕方頃に更新すると思います


今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!

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