第一章 - 3
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64509665.html
「さて……それじゃああいつのところに行ってみようか」
ブレザーの内ポケットから出した一枚の手紙。従姉の石橋夏菜子からのものだ。俺好みの部活に入っているから入学式終わったら来い、という内容。
夏菜子姉さんは、父の兄の娘で、俺の一歳上。がさつだが面倒見がよく、小さい頃はよく一緒に遊んでいた。こっちの引っ越しが多く、各地を転々としていたころはまったく連絡取れなかったなぁ……。
そういえば、引っ越しの時もそれ以降も顔を出さないが、一体どういうことだろう?
とりあえず、手紙に書いてある地図通りに、校舎を出て中庭を挟んで向かいにある部室棟に向かう。
歩きながら、優紀が俺に訪ねてきた。
「ねぇ、兄ちゃん。なんで戻るのにあんなに時間かかったの?」
「ああ……」
うーん、優紀にあった通りのことを言うべきか? 疑いはしないと思うがな、ちょっと突飛すぎるよなぁ。……一応話してみよう。
「実はな、廃校舎みたいなところを見つけた」
「えっ? でも、そんなものどこにも……」
「そうなんだ。でも、確かに見た。というか入って少し探索した」
「それで?」
「赤い髪の女の子に会った。あまり話せなかったけど」
「うーん、どういうことだろう?」
「ついに自分にも不可思議現状が起きた、って思ってるが」
「そう……かもね。この町、そういう類の噂は多いもんね」
「うん。……そういえば、小さい頃にも似たようなことなかったっけ?」
「? 記憶にないなぁ」
「まぁ、俺よりさらに二つ下だから、記憶にないのもしょうがないわな」
そうこうしているうちに、手紙に書いてある部室に着いた。
ドアには、何の部活か書かれていない。
「なんか……怪しくないか?」
「……うん」
「と、とりあえず間違ってはないはずだから、入るぞ」
コンコン
「失礼します」
ドアを開けると、真正面に豪華なソファとテーブルがあり、そこには二人の美少女がいた。
ってあれ? 片方は見覚えが……。
「せ、生徒会長!?」
「やぁ、黒磯兄妹。元気だった?」
「な、なんで名前を……?」
「あ~、やっぱり覚えてないか。まぁ仕方ないか」
「も、もしかして」
「石橋夏菜子で~す。てへっ」
やっぱりか。美少女なんて思った自分が恥ずかしい。
「そちらは……?」
「お初にお目にかかります。夕真高等学校二年、副生徒会長の宝積寺凛です。以後、お見知りおきを」
「黒磯雅人です。よろしくお願いします。……ん? 宝積寺って」
「凛ちゃんは教頭の娘さんだよ」
「か、会長! その呼び方はやめてくださいと……っ」
「まーまーいいじゃない。呼びやすいのが一番だよっ」
「ぐぅっ……」
この二人、面白いな。ただ、この学校の生徒会がどうなってるのか心配ではあるが。
「さて、そろそろみんなも出てきていいんじゃないかな?」
「?」
すると、ロッカーの中やらカーテンの裏から男子二人の女子一人、計三人が姿を現した。ブレザーについているエンブレムの色から自分と同学年であることがわかる。
「さて雅人くん、問題です。彼らは全員キミの知り合いだよ。さぁ、誰が誰かわかるかな? 優ちゃんも協力していいよ」
「……あ、優ちゃんって私の事か」
優ちゃん、ねぇ。そういえば夏菜子姉さんは優紀のことをそう呼んでいたな。
さて、と。
「えへへ」「ふっふっふ」「……」
ふむ。だいぶ顔も変わっててわかりにくいが、特徴は大きくなっても残ってるな。
「女子は久喜真弓、だね」
「せいか~い! 流石雅人!」
「俺があげた赤いリボン、まだ使っててくれたんだな」
「うん! 大事なものだからねっ」
最後にあげたのは引っ越す直前だから、よく切れたりしないな……。
「さぁ、男子二人は誰でしょう?」
うーん、確かあいつは……。
と、優紀が耳打ちしてきた。
(ねぇ兄ちゃん、あの態度のでかさは……)
(そうか、わかったぞ)
「そっちの態度がでかいやつ、雀宮真だな」
「ちょ、久々に会って態度がでかいって失礼な!」
「まー事実だしね」「うん、変わってないな」
「この夫婦が……っ」
夫婦って……俺と真弓に言ったのか?
「変わってないね、スズメにーちゃん」
「おー優紀ちゃん! 元気だったかい? 一段とかわいくなったねぇ」
手のひら返したように、優紀に対しては優しいお兄ちゃんを演じる。うん、変わってない。
「……そろそろ俺が誰か当ててくれないか?」
「っと、すまん。えーっと……」
この寡黙、そして真がいたということは、
「鷲宮隆治、だね」
「正解」
「寡黙なのは今でも変わらず、か」
「ふん……。まぁ会えてうれしいぞ、雅人」
「ツンデレ」「ツンデレだ……」「あれが男子版のツンデレね……」
「……!」
周りからあらぬ誤解を受けているのにやっと気づいたらしい。どうやら、隆治は俺に対してライバル心を抱いているらしい。何に対するものかは知らんが。
「というわけで、小学校の頃妖怪や幽霊を求めてこの町を探索したメンバー+1が集合しました!」
「会長! +1ってなんですか!?」
「凛ちゃん、うるさい」
「うぅ……」
宝積寺先輩の方がしっかりしてそうだけど、夏菜子姉さんに勝てない理由でもあるのだろうか。というか、そもそも姉さんが会長ってことの方が驚きだが。
「そういえば、結局なんて部活なの?」
「ふっふっふ、聞いて驚くなよ!」
「おい真、雅人はお前じゃなくて部長に訊いてるんだと思うが」
「ちょ、ちょっとくらいはかっこよくさせろよぉ」
「ぴーちくうるさいスズメと黙って狩るワシ。まだその漫才みたいなの続いてたんだな」
「あれから小六、中学三年間となぜかずっと同じクラスだぜ」
「まったくだ」
「それはそれは」
「じゃ、スズメちゃんとワシちゃんの漫才も終わったし、発表するよ。この部活の名は……」
『妖鬼研究部』!
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