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第五章 - 3

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64767968.html

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64767970.html

※ブログの方では1記事に入りきらなかったので分けてあります

 それから電話で、みいなと作戦の打ち合わせをする。

 今から十分後、みいなたち『魔物狩り師』が外側からこの『牢屋』をこじ開け、救出に来るそうだ。その時、『やつ』を刺激する可能性があるから、なるべく離れているように、とのこと。

 俺はみんなに連絡をし、玄関から離れていて、それなりのスペースがある職員室へ退避。

 打ち合わせからきっかり十分後。

「ギャアアアアアアアアアアアアア」

 『やつ』の悲鳴ともとれる咆哮が響き渡る。どうやら、侵入に成功したらしい。

 それからすぐ、みいなたちが職員室にやってきた。

「黒磯、みんな! 怪我はない?」

「ああ、みんな無事だ」

「よかった。まぁ、昨日一度経験したから、パニックにはなってないみたいだし」

「それは確かに」

「それで、氏家さん、だっけ? これで助かるの?」

「ええ、大丈夫! 我ら『魔物狩り師』に任せなさいっ」

 そう、みいなは胸を張る。

 その自信満々な態度に、俺たちはみな助かると思った。

 しかし数分後。

『A部隊負傷者多数! 一旦撤退する!』

『B部隊弾切れだ! D部隊、援護を頼む!』

 無線から聞こえてくる通信は、戦局が良い方に向いているとはとても思えないものだった。

 職員室に待機していた人たちもまた一人、また一人と外へ向かっていく。

「本当に大丈夫なのか……?」

「う、うちは精鋭が揃ってるんだ。あんなの一体に負けるわけが……っ」

 しかし、その後も好転する様子はない。

 死者こそ出ていないものの、保健室の前には長蛇の列が。

 そこで手当してもらった人は、すぐにまた戦場へ。これでは消耗戦である。

「もういいわっ、私が出る!」

 ついにしびれを切らしたみいなが刀を持って外へ行こうとする。

「お待ちください! あなたの実力じゃあいつには勝てません!」

 みいなと共に職員室待機していた『魔物狩り師』の一人がみいなに言う。

「うるさいっ! 『やつ』に最もダメージを与えられるこの刀を扱えるのは私だけだ! これ以上お前たちに任せていたらいつか死人が出るぞっ」

「しかしっ」

 どうやら、みいなの実力は『魔物狩り師』の中では低いらしい。下のやつを危険にさらすわけにはいかないのか、みいなを止めた人は食い下がる。

「なあ、みいな」

「何よ黒磯。あんたまで文句を言うわけ?」

「いや。ただ、俺を連れて行ってほしいなって思っただけ」

「あんた正気!? いや、でも……」

 多分、昼の話で俺が接触しても平気だったのを聞いたから悩んでいるのだろう。

正直、俺も何か策があって連れて行けといっているわけではない。ただ、このままここにいても何も解決しないと思ったからだ。

「……いいわ。ついてきなさい」

「サンキュー」

「氏家様っ、一般人を巻き込むなと父上から言われているはずじゃ!」

「ごめんね、彼は多分『一般人じゃない』わ」

「……?」

「さ、行きましょう」

 俺とみいなは職員室を出て、玄関へ。

 外を見ると、十数人の人が様々な武器を持って『やつ』と戦っている。『やつ』も巨大な体躯を揺らし、その大きな手や足で攻撃する。

「さて、来てみたはいいけどどうしよう」

「お前、無計画で行くとか言い出したのか!?」

「うっ……。でも、そういう黒磯だって、無計画でしょ」

「まぁ……確かに」

 ちぇ、みいなには見破られてたか。

「あいつの弱点とかってあるのか?」

「やっぱり、頭みたいになってるところが大体弱点」

「となると……、そうだな。ここの三階あたりから攻撃したら弱点に当てやすいんじゃないか?」

「なるほどね。でも、私の武器は刀よ。飛び降りろと?」

「お前、今日の昼屋上から飛び降りてたじゃないか……。ここ、一番最上階は六階だぞ?」

「ちょっとからかってみただけ」

「ったく、こんな時に何言ってんだか」

「ほら、三階行くわよ」

 階段を上り、本校舎三階へ。

 ちょうど俺たちの教室が、『やつ』を攻撃するにはベストポジションだった。

「うーん、突き刺したら抜く余裕はないかもしれない」

「となると、チャンスは一回か……。やれるか?」

「やってやるわよ」

 みいなは刀を構え、助走をつけて窓から飛び出す。

 高さ約七メートル。やつの頭を狙うには十分だ。

「くらえぇええええええええええっ!」

 ブスッ

 『やつ』の脳天に刀を刺すことに成功した。

 やはり抜く余裕はなかったか、みいなは刀を刺したまま地面に着地する。

「ゴォオオオオオオオオオオオオオ」

「おおっ」「お嬢がやりおった!」

 『やつ』の悲鳴が響き渡る。戦っていた人たちからは歓声が。

 これで終わった…………ん?

「あ、危ないっ!」

 俺は力いっぱい下の人たちに叫んだ。

 『やつ』はまだ倒れていなかった。頭に刀が突き刺さったまま、下にいる人たちに攻撃を仕掛けてきた。

 しかし流石は戦闘のプロ。反射神経がよかったから、事なきを得た。

 だが、これで対抗手段はもう残っていない。

 さっきのような消耗戦を続けても、こっちの方が先に尽きてしまうだろう。

 どうすれば……っ。

 その時だった。

「雅人さんっ」

 教室のドアを開けて入ってきたのは、知美だった。

「知美!? どうした?」

「私って、『ゴーストバスター・リメリィ』ですよね?」

「ああそうだが……ってまさか!?」

「変身すれば、あれと戦えると思うんですっ!」

「そんな変身ヒロインものみたいなことが現実で出来るわけないだろ!」

「やってみなくちゃわからないじゃないですか!」

「でもっ」

「雅人さん」

 俺の名前を呼んだ知美は、俺にキスをしてきた。

「なっ!?」


 あなたの好きなリメリィは、どうやって変身していましたか?


 刹那、知美が光に覆われ……

「り、リメリィ……!?」

「雅人さんたちを守るために、『ゴーストバスター・リメリィ』悪を退治しますっ」

 そういうと知美……いや、リメリィは窓から外へダイブ。

 そのまま身一つで中を浮いていた。

「悪しきものよ、あなたが済むべき場所に帰りなさいっ! 『セブンス・ホーリー』!」

 手を掲げたリメリィの周りから七つの光が出現。まるでレーザーのように飛んでいき、『やつ』の体を貫く。

「すごい……」

 驚きのあまり、これしか言葉が出てこない。

「グォオオオオオオオオ」

 敵も応戦する。しかし、巨大な体躯から繰り出される技はどれもゆっくりで、空を自由に舞うリメリィには届かない。

「トドメです。悪を切り裂く聖なる剣よ、我の力になりたまえ!」

 その掛け声とともに、リメリィの手に光が集まり、巨大な剣を生成していく。

「あれはっ……」

「喰らえっ、『ゴーストバスター』ああああああああっ!」

 アニメの中盤、今までにない強さを誇る敵と対決したとき、リメリィの『仲間を守りたい』という気持ちから生み出された光の剣。まぁぶっちゃけ、今改めて思うと作者のネーミングセンスを疑うが、リアルで見ると超かっこいいな。

「ギャァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア」

 今度こそ、『やつ』は倒れ、霧散して消えた。

 あとには、頭に突き刺さっていたみいなの刀だけが残っていた。

「雅人さん、みんな。勝ち……まし、た……よ……。はぅ……」

「リメリィ!」

 力を使い果たしたのか、地面へと落ちていくリメリィ。くそっ、ここからじゃ間に合わないっ……。

「っとと」

 が、落ちるリメリィを誰かが助ける。

「ね、姉さん!? それにみんなも!」

「ああ雅人、そこにいたのね」

「おーい、こっち戻っておいでー」


 一階玄関前に戻ると、そこにはみんなが集合していた。リメリィ……もう知美でいいか、は保健室で看病中だという。

「いやー、それにしても知美ちゃんすごかったねっ」

「まさかリアルで『ゴーストバスター』を観れるとはっ! やべぇ、涙出てきた」

「『ゴーストバスター』もすごかったが、『セブンス・ホーリー』もなかなかの迫力だったな……」

 真弓、真、隆治が口々に言う。

 リメリィファンからしたら、リアルで必殺技を観れるなんて何よりもうれしいだろう。

「はわぁ~」

「…………」

 優紀と宝積寺先輩に至っては言葉すらでないようだ。

「まさかあたしたちの方が助けられるとはね」

 と、そこにみいながやってきた。刀は回収したようだ。

「おっす、みいな。お前もなかなかかっこよかったぞ?」

「そ、そう……?」

「ああ。ま、あそこできっちり刀を抜けばもっとかっこよかったと思うがな」

「むっ、それは仕方ないだろう」

「あはは、すまんすまん」

 こうして、波乱の一週間ちょいは幕を閉じた。


今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!


次回、「エピローグ」をもって完結です お楽しみに!

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