第五章 - 1
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64745589.html
目が覚める。どうやら、自室のベッドらしい。
一体あの後どうなったのか、よく覚えていない。
「雅人さん? 目が覚めましたか?」
知美の声が聞こえた。目を開けると、そこには心配そうに俺の顔を覗き込む知美の顔が。
……ん? 顔が真逆に見えるってことは……。
体を起こして、状況を確認。やはり、知美は俺に馬乗りになっていた。どうりで下半身が重いわけだ。
「雅人さん、大丈夫ですか? かなりうなされていましたよ?」
「そ、そうなのか?」
「ええ。朝起きたら廊下からでも聞こえるくらいの大きさでうなされていたんで、流石に心配になって」
「そうか……。心配かけたな。大丈夫だ。だから、そろそろ俺の下半身から降りてくれないか?」
「あっ、ごめんなさい」
ようやく解放された。今度、ちょっとは知美に性教育とかをした方がいいのかもしれない。……もちろん、真弓や宝積寺先輩に頼むぞ? 俺がやるわけにはいかないし、優紀じゃまだ年齢が低い。真や隆治は論外だし、姉さんに至ってはいらんことや間違った知識を植え付けそうだからな。
教育で思い出した。今日からついに知美も学校に通うんじゃないか。
日曜日にいろいろなことが起きすぎてすっかり忘れてた。
俺を心配してか、まだ朝食はできていなかった。
「今から急いで朝ごはん作りますねっ」
「今日は俺に手伝わせてくれないか? 俺のせいで遅れちゃってるんだし」
「えっ、でも……」
「気にすることはないさ。もともとは俺がその役割の予定だったんだし」
「じゃ、じゃあお願いします」
「オッケー」
俺もエプロンを出してキッチンへ。知美が卵焼きを作っていたので、俺はサラダを作ることに。
なんだか、野菜を切るのが久々な気がする。
二人いたおかげか、ものの数分で三人分の朝食が出来た。
俺が配膳している間に、知美が優紀を起こしにいく。
なぜかわからないが、知美が来てから優紀の目覚めが良くなった気がする。一体どうやって起こしているのだろう……?
配膳し終えたころ、ちょうどよく優紀と知美がやってきた。
「おはよう、優紀」
「兄ちゃんおはよう」
「さ、朝ごはんにしましょうっ」
なんだか知美が張り切っている。まぁそりゃそうか。
朝食を済ませた俺たちは、早速制服に着替える。
昨日の夜にも見たが、やっぱり知美の制服姿は似合っている。
「どうですか? 変なところないですか?」
「ああ、大丈夫。ばっちりだよ」
「スカートの長さもオッケー! それにしても、やっぱりお姉ちゃん似あってるね」
「えへへ……。ありがと、優紀さん」
「それじゃ、行こうか」
初日である知美はまず職員室へ。ホームルームの時に矢坂先生が連れてくるのだろう。
俺と優紀はそれぞれの教室へ。
教室に着くと、すでに真弓、真、隆治の三人がいた。みいなはいないようだ。
「おっす」
「おはよー」「おう雅人」「……やあ」
みんな、昨夜あんなことがあったばかりなのに元気そうだ。流石、妖鬼研究部員といったところか。
「いやー、昨日はすごかったな」
「ああ、確かに」
「あれ? なんか反応薄くない?」
そりゃ、そのあともっと大変な目にあったからな。
「……なんというか、もう驚きを通り越して落ち着いたっていうか」
「あーなるほどな。確かにそれはあるわ」
「その話もいいけど、今日からついに知美ちゃんもクラスメイトだよっ!」
「確かに、今はそっちの方がホットだな。新聞部のやつが早速嗅ぎ付けて、クラス中で噂になってるぞ」
「みたいだな。あいつ、自己紹介とか平気かなぁ……」
「明るい娘だし、このクラスが相手ならノリで乗り切っちゃいそう、なんちゃって」
「「「…………」」」
「ま、真まで黙っちゃった!?」
「真弓、お前はそういうキャラじゃないからやめた方がいいぞ。周囲が氷河期になる」
「うぅ……」
そんなこんなしているうちに、チャイムが鳴った。
一限の授業の前にある、ショートホームルームの時間だ。
矢坂先生が入ってくる。
「みなさんおはようございます。朝のホームルームを始めますね。え~と、欠席者は……あら? 氏家さんがいないみたいですね」
本当だ。みいながいない。一体どうしたんだろう?
「どうしたんでしょう? 知ってる方いますか?」
しーん
まぁそりゃそうだ。学校ではなるべく一人でいるようにしていたから、どうしたか知る友人はいないだろう。
「いませんか……。何か事件や事故でなければいいのですが。後で連絡してみましょう」
どっちかっていうと、あいつが事件や事故を起こしそうだが。あの刀で。
「さて、今日は転入生を紹介します。両親の都合で一週間遅れてしまったのですが、仲良くしてあげてくださいね。では入ってきてください」
「はいっ」
ドアを開けて知美が入ってくる。
きれいな青髪にかわいらしい容貌。何より、この町に住んでいた人なら大抵の人が知っている『ゴーストバスター・リメリィ』にそっくり……というか本人(って言い方も違う気がするが)だから、男子だけでなく女子からも歓声が上がる。
「初めまして。白岡知美です。ちょっと遅れての入学ですけど、みなさん仲良くしてください!」
パチパチパチパチ
ショートホームルームでの自己紹介だからか、短くすっきりまとめた自己紹介だった。多分、先生にあまり時間をかけないように言われていたのだろう。
その後、座席へ。後から入ってきたため、名前順の中には入っていないから、俺の後ろに新しく机を一つ置いて、そこが知美の席のようだ。
前に真弓、後ろに知美。なかなかいいポジションじゃないか。
知美の自己紹介が終わったことでホームルームも終了。すぐに一限目が始まる。
お昼。五人で昼食にしようとしていたら、みいなからメールが来た。
『十二時半、屋上にて待つ 一人で来るように』
「なんだこれ、果たし状か何かか?」
「どうしたの?」
「ああ、みい……氏家さんからメールが来てさ。十二時半に一人で来いって」
「そういえば、今日休んでるけど……もしかしてサボり?」
「わからん。まぁ家業が家業だから仕方ないのかもしれないが」
「あーそれは確かに一理あるね」
あとから来た真と隆治にも簡単に事情を話し、俺は会話もそこそこにさっさと飯を済ませて屋上へ向かった。
後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!