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断章

自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64733911.html

 ここは……どこだ? というか、一体何が起きたんだ?

 突然世界が暗転して……、それで意識を失ったのか?

 パッと見た感じ、自宅だろう。だが、家具の配置やら置かれている小物なんかが違う。

 この感じ……たぶん、また例の空間だろう。今回は自宅とはね。

 とりあえず、みいなとの約束もあるし、今回は詳しく調べてみよう。

 どうやら、お化け屋敷で会った女の子によると、この空間での役割を済ませれば帰れるらしいしな。

 薄暗いので電気を……と思ったが、スイッチが機能していない。まぁ、目が慣れれば問題はないだろう。

 目があたりに慣れるまで待って探索開始。

まず、リビング。どうやら、家具類は同じもののようだ。

 配置が違うだけでこんなにも見た目が変わるもんなんだな。ちょっといつもの風景に飽きたら模様替えでもしてみよう。まぁしばらくはないだろうが。

 続いてキッチン。こちらは、それほど変わらない。まぁ配置を変えるほどのスペースもないしな。

 冷蔵庫の中には、普通に食料が入っていた。しかし、多くが賞味期限ぎりぎり、もしくは過ぎている。急な旅行でも入って忘れ去られた食料なのだろうか。はたまた、他に何か……?

 これ以上はここにヒントがなさそうなので、リビングを抜け廊下へ。

 順々に部屋を調べていく。まずは父の書斎だ。

 ここは、普段も入ることが少ないから、違っているのかはよくわからない。だが、きっとここの宿主もここで何かしら作業をしていただろう。机の中とかに何かあるかもしれない。

 そう思い調べてみるも、机の引き出しは空っぽだった。しかし、一つだけ鍵がかかって開かない引き出しがある。

 さらに、あたりを調べてみるとダイヤル式の金庫があった。多分ここに重要なものや、あの引き出しの鍵が入っているのだろう。

しかし、金庫は頑丈な鉄製で、とてもじゃないが力づくで開けるのは無理だ。ダイヤルも、回すタイプのものだからそもそも桁数がわからない。まぁ、たとえ桁数がわかったとしても、ダイヤルのメモリは百ある。二桁ですら、一万通りだ。

ここはあきらめて次へ。次は両親の寝室だ。

こちらもあまり入ることはないから違いはわからない。とりあえず、何かこの空間のヒントになるようなものがないか探す。

クローゼットを開けると、そこにはなかなか高価そうなスーツやコートがかかっていた。どうやら、住んでいる人はそれなりに身振りのいい生活をしているようだ。

あとは……今、妹の部屋に運んで知美の服を入れる用にしているタンスか。開けてみるも、めぼしいものは特に入っていなかった。

次は、妹の部屋。

どうやら、この一家も女の子がこの部屋を使っているらしく、優紀とは趣向が違うがかわいらしい部屋だった。

だが、ここしばらくここで何かをしていた形跡がない。

冷蔵庫の食料品同様、やはり旅行か何かで長い期間この家を空けているのだろうか?

ちょっと気は引けるが、部屋を物色。見た感じ、中学生か高校生だろう。

しかし、ここにもこれ以上は何かヒントになるようなものはなかった。

そして、最後。俺の部屋だ。

なぜ自分の部屋を最後にしたか。それは俺にもよくわからない。

だが、なんだか。なんだか、嫌な感じがした。だから、最後にした……んだと思う。

ごくりっ……

意を決して、俺はドアを開く。

……っ……

そこは、言葉では言い表せない、いや、言い表したくない光景が広がっていた。

床でうつぶせになって倒れている男性。ベッドに横たわっている女性。そして、壁にもたれかかり、顔を俯かしている女の子。

近づかなくてもわかる。全員、死んでいる。

もしかしたら、お化け屋敷の時同様、血があたりに飛び散っているかもしれない。今回は薄暗くてわからないが。

俺は後ずさり、ドアを閉めようとした。

しかし、突如部屋の中央にヒト型の『なにか』が現れた。

それは、さっき川で見たやつと同様、体は全体的に黒く、目だと思われる丸い光が二点ある、人でも実在する動物でもないものだった。流石に、大きさは俺と同じくらいのようだ。

そいつは、ゆっくりとした足取りで俺の方へ向かってきた。

俺は慌ててドアを閉め、玄関へ。

しかし、玄関のドアは開かない。

リビングの窓から脱出を試みるも、なぜか鍵を開けても開かない。近くにあった適当な堅そうなものでたたいても割れない。

どうやら、この家自体が『閉鎖空間』的なものになっているらしい。

そうこうしているうちに、やつがリビングにやってきた。

俺は、手近にあったものを投げつける。しかし、どれもすり抜けてやつの後ろに落ちていく。

仕方なく俺は、やつのスキをみつけてさっとリビングを脱出。そのまま一番奥にある父親の書斎へ。

 自分の力で動かせるだけのものをドアの前に置き、ドアを塞ぐ。これで最悪少しくらいは時間稼ぎできるだろう。

 その間に、俺は思考を張り巡らせる。

川で会ったやつと違い、こいつはどうも攻撃をしてこない。

しかし、いつまでも俺を追いかけてくる。まぁ、これに関しては今俺しかこの空間にいないせいかもしれないが。

そして、あまり思い出したくないが、この家に住んでいたであろう一家の死体。

ここで何か事件が起きたのは確かだろう。父親あたりが一家心中でも図ったのだろうか? それとも強盗か? 空き巣か?

一番の謎は、あそこからあいつが湧いたことか。やつは一体どういう原理で生じるものなのだろうか?

考えるが、やはりヒントが少なすぎる。

もしやつから逃げながらこの謎を解く、が脱出条件だとしたら、かなりきついな。三回目にしていきなり最高難度に放り込まれた感じだ。

今回は赤髪の女の子も出てこないし……、どうしたものか。

と、突然音もなくやつがこの部屋に侵入してきた。

しまった。どうやら、障害物は無意味らしい。どうりでさっき、俺の部屋のドアを閉めたのに開いた音がしないわけだ。

さて、もう逃げ場がない。ドアは自分で塞いでしまった。窓はさっきの事から考えて開かないだろう。

謎の生き物と対峙する。さて、飲まれるか、喰われるか、はたまた刺されるか。

覚悟をしたその時、やつがいきなり俺に迫ってきた。

そして、俺と正面衝突……はしなかった。

なぜなら、やつは俺をすり抜けてそのまま消えてしまったからだ。

だが、やつがすり抜ける時声が聞こえた。


『タスケテ』と


後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!


次回よりクライマックスとなる「第五章」です お楽しみに!

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