第四章 - 3
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64723379.html
みいなと別れた俺は、みんなが待っている車の方へ早足で戻った。
「お帰り~、どうだった?」
「こちらから情報を渡せば、手伝うかも、っていう約束を取り付けることに成功したよ」
「おーすごいじゃない雅人。見直したよ」
「ところで、雅人」
真弓が近づいてきた。
「何?」
「あの女の子、氏家さんっぽかったんだけど違う?」
「あっ」
そうか。真弓たちが知っててもおかしくはないな。
しかし、なるべく学校では関わるなって言われてるし、どうしたものか……。
「そうなの?」
「あぁ、うん。ただ、学校では関わってほしくないって。だから、そっとしといてあげて」
「そっかぁ。唯一あまり仲良くないからチャンスだと思ったのになぁ。本人がそういうなら仕方ないね」
「でも、これから学校外で会うことは増えるかもしれないから、まだチャンスはあると思うぞ。まぁそれも、俺たちの頑張り次第だろうが」
「そうだね。頑張ってみるよ」
真弓、昔はもっと引っ込み思案なところがあったけど、変わったな。みいな以外と仲がいいらしいというのは、この一週間でなんとなくわかったから嘘ではないだろう。そうなると、やっぱり一人あまり仲良くない子がいると、仲良くなりたくなるのかな。
さっき話した感じだと、真弓とは合いそうであるんだが……。
「それじゃあみんな帰るよ~。時間遅いから送っていくけど、今日はリムジンじゃないから狭いのは我慢してね」
「ふぁ~、流石に眠いぜ」
「いつも夜更かししててこれくらいの時間は平気なんじゃないのか?」
「さっき驚きすぎて精神的に疲れた。そういう隆治こそ平気そうじゃないか」
「この時間くらいなら、ちょうど勉強してるからな」
「くそぅ、優等生め」
順々に乗り込んでいく。
俺が乗り込む前に、宝積寺先輩が話しかけてきた。
「それで、結局どうだったの?」
「彼女ではない、みたいです。でも、見た目はそっくりですし、ポケットから出したメモ帳も同じものだと思います」
「そう。まぁ、これから先、また会える可能性をつくってくれただけでも十分な成果よ。ありがとう」
「いえいえ」
そして全員が乗り込んだ。しかし、やはり狭い。
ざっと数えたところ、三列だが、二列目が三列目に行きやすいよう真ん中が開いているため七人乗りだ。そこに俺ら八人と運転手さんで九人も乗り込んでいる。運転手さんと助手席に座る夏菜子姉さんはいいだろうが、後ろに乗り込んだ俺たちはぎゅうぎゅう。二列目に知美と宝積寺先輩、知美の膝の上に優紀が座り、三列目は俺、真弓、真、隆治の四人。
真がセクハラする可能性があると真弓が訴えたので、右側から真、隆治、俺、真弓という順で座った。
「真弓、流石にひどくないか……?」
「まあでも、俺が女子だったらそう言いたくなる」
「雅人に同意」
「うぅ……。この世に俺の味方はいるのか……?」
そんなこんなしているうちに車が発進。順番に降ろしていき、最後はやはり俺たちと真弓と姉さんとなった。
優紀と知美は疲れたのか寝ている。明らかに違う髪の色を除けば、本当に姉妹みたいだ。
「今日はすごかったねぇ」
姉さんが話しかけてくる。
「確かに。本当に自分の身に起きたことだとは思えないね」
「ほんと、私もびっくりしちゃった」
「ところでさ。こういうと雅人たちに悪いんだけど……」
「何?」
「雅人たちが戻ってきてから、いろいろなことが起き始めてない?」
「そういえば。同好会時代はロクにまともな活動してなかったし、夏菜子先輩が来てからもそれほど大したことは起きなかったですね」
「そうそう。だから、実は黒磯家が全ての元凶だ~、なんつって」
「本当にそうだったらたまったもんじゃないね。俺はこの町が好きで、わざわざ親許離れて戻ってきたんだ。確かにこの一週間いろいろなことが起きすぎな気はするけど、こういうことが好きな俺に取っちゃむしろ好都合だけどな」
「マジで返すなよ~。冗談だってば。そんなゲームやマンガみたいな展開にはならないって」
「ま、そりゃそうだわな」
そして、俺の家の前に着いた。
「ほら、優紀、知美、起きろ。家に着いたぞ」
「ふぇ……?」「Zzz……」
知美は寝ぼけ眼ではあるが一応起きてくれた。優紀は……やっぱり起きないか。
「ごめんね。こんな時間まで付きあわせちゃって。優紀ちゃん、大丈夫?」
「ああ、こいつくらいなら俺が担いで家に入れられるから平気。それじゃ、また明日な」
「かなこしゃん、まゆみしゃん、まああした~」
「じゃあね~。知美ちゃん、転ばないよう気を付けてね」
「それじゃまたね」
車が去るのを見送り、俺は優紀をだっこしつつ、空いた手で知美を引っ張りながら家の中へ入っていった。
そのまま優紀の部屋へ行き、ベッドへ。
リビングに戻ると、ソファで知美が寝ようとしていたから何とか引っ張っていき、彼女もベッドで寝かせる。
さて、俺も寝るかな。そう思ったとき、
ピンポーン
玄関のインターフォンが鳴った。
こんな時間に一体誰だ? もしかして、車の中に何か忘れ物をして、真弓か姉さんが届けに来てくれたのだろうか。
ピンポーン、ピンポーン
「はーい。すぐ出ますよ~」
やや眠かった俺は、よく考えもせずドアを開けてしまった。
次の瞬間、俺の意識は闇に落ちた。
後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!
次回は、クライマックスに向けた「断章」です お楽しみに