第四章 - 2
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64705201.html
「はあああああああああああっ」
しかし、衝撃は来なかった。代わりに女性の声がした。
振り向くと、刀を持った女の子が、俺たちに迫ってきていた腕を斬り刻んでいた。
そのまま彼女は川の方へ向かい、謎の生物のもとへ。
謎の生物も、女の子が自分の敵だと認識したのか手を伸ばして攻撃を繰り出す。彼女はそれをこともなしげに刀で斬り払っていく。
そして川岸で跳躍。
一体どういう原理なのかわからないが、ざっと五メートルくらいの高さまでジャンプした。
そしてそのまま
「死ねええええええええええっ!」
と叫びながら、刀を謎の生物の脳天に突き刺す。
「ギャアアアアアアアアアア…………」
刀を抜くと同時に、開いた穴から黒い霧のようなものが噴出。そのまま謎の生物は解けるように消えていった。
「お嬢様っ、みなさん! 無事ですか!?」
運転手の人がやってきた。
「ええ、間一髪でしたがみんな無事です」
「それはよかった。ところで、あの方は……?」
「わからないわ。とりあえず、話を聞きにいってきます」
「俺も行く。助けてもらったし、ちょっと聞きたいことがある」
「私も行きます」
俺と姉さんと宝積寺先輩で、川岸にたたずむあの女の子のもとへ。
彼女は、刀を鞘に納め、川の方を眺めていた。
「ねえ君、ちょっといいかい?」
姉さんが初めに話しかける。
「……何?」
「そんな関わるのが嫌そうな顔しないでよ。ただお礼を言いに来ただけなんだから」
「そう。まぁ、それが私の仕事だから、別にお礼なんていいわよ」
「そういわずにさ。私たちを助けてくれてありがとう」
「…………これに懲りたら、二度とあの生物に関わらないことね」
「そうしたいのは山々なんだけど、私たちもあーいうのを探していてね。見たところ高校生くらいみたいだけど、どこの学校に通ってるの?」
「それを訊いて、どうしたいわけ?」
彼女は夏菜子姉さんを睨むようにして訊く。
「そうだねぇ。同じ学校なら、是非ともうちの部活に入ってほしい。どうやらこういうものの知識もあるみたいだし」
「残念ながら、たとえ同じ学校だとしても部活に入る気はないわ。一般人を危険なことに巻き込まないよう両親にも言われてるしね」
「そっかぁ。そういえば、雅人は何か訊きたいことがあるって言ってたね」
「あ、ああ……」
訊きたいこととは、もちろん例の旧校舎やお化け屋敷でのことだ。
しかし、それを知っているのは俺と優紀と宝積寺先輩だけだ。それに、先輩との約束があるから、今姉さんがいるところで話すわけにはいかない。
宝積寺先輩の方を向くと、すぐに目があった。どうやら、先輩も同じことを思っていたらしい。
先輩にアイコンタクトを送る。そしたら、
「会長。黒磯君は私たちがいると話しにくいみたいなので、ここは二人だけにしてあげませんか?」
「え? そうなの? なら、先に戻ってるね。お二人で仲良くどうぞっ」
ナイス、先輩。
「……で、なんの用?」
「じゃあ、まずは俺もしくはさっきの……胸が小さい方の人と会ったことはある?」
「いいえ。初めてよ。ただ」
「ただ?」
「もう一人の方は見たことあるわ。あの人、夕真中高の会長でしょ?」
「そういう君は、その学校の四年二組、だよね?」
「!」
やっぱりそうか。
「俺も四年二組なんだが、知らない? 高入組で、入学式の日はちょっとしたトラブルのせいでホームルームに間に合わなくて、始業式の前に自己紹介したんだけど」
「あぁ……、黒磯君って言ったっけ。君だったんだ」
「そう。……本当に、今日が初対面?」
「そうよ。間違いないわ」
「でもさ、今日とある場所で君とそっくりな人に名前呼ばれたんだ」
「別人じゃない?」
「でも赤い髪のツインテールなんて、この町にはそうそういないと思うな」
「ふーん……。一応念のため、状況と場所を訊いていい?」
「ああ。っと、そういえば名前、訊いてないね」
「氏家みいな」
「黒磯雅人だ。よろしくな」
「いいから、さっさと状況と場所を教えて」
そういうと、彼女はポケットからメモ帳を取り出した。やっぱりお化け屋敷の方で会ったのは彼女じゃなかろうか……?
とりあえず、学校でのことと、そして今日のお化け屋敷のことを話した。
「……」
それを黙ってメモに取るみいな。
全て話し終えた。みいなは相変わらず黙っている。
「何かわかったかい?」
「あーはっはっはっは」
いきなりみいなが笑い出した。
「何か面白かった?」
「ええ。非常に面白いわ、黒磯」
「俺!? しかもいきなり呼び捨て……」
「そう、あなた。呼び方なんてなんでもいいでしょ」
「まぁ……」
なんだか、思っていた以上に変な娘かもしれない。
「どうやら同じクラスみたいだし、また同じようなことがあったら私に教えてちょうだい。もしくは今日みたいなやつが現れた時。あなたの情報次第では、あなたたちの部活に協力してあげるわ」
「え、本当!?」
「ええ」
「そりゃ、ありがたい」
「それじゃ、もういいかしら。今日の報告を両親にしなくちゃ」
「ああ、サンキューな。じゃあまた明日」
「あー、あまり学校では私に話しかけるな。そーいうキャラで通しているからな。何か用があるならこれに連絡しろ」
そういって、電話番号とメールアドレスの書かれた紙を俺に渡してきた。
「そうか。まぁそういうなら、むやみには話しかけないようにしておくよ。それじゃ」
「ええ、またね」
そういって、みいなは去っていった。
後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!