第三章 - 3
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64655564.html
その後、最近大型のショッピングモールでちょくちょく見かける、買ったものを預けておけるロッカーに服等を預け、ついに例のお化け屋敷へ。
日曜日ということもあってかなり並んでいたが、どういうわけだか進みが早い。
途中で見つけたパンフレットによると、最新技術を駆使した過去最恐のお化け屋敷らしい。だから、こんな町でもこんなに盛り上がっているのか。
また、結構距離が長く、途中でリタイアできる扉が数か所に設置してあるらしい。完走率は約二十パーセントだそうだ。だから列の進みが早いのだろう。
そうこうしているうちについに俺たちの番に。入場料を払い、中へ。
中は、足元にうっすらとした明かりがあるだけで、あとは真っ暗だった。
「手、繋がないとはぐれそうだな」
「そうだね」
そういって手を出すと、右手に真弓、左手に優紀が。
「あわわ」
手を繋ぎ損ねた知美は、迷った末……
「どこつかんでんだよ……」
なぜか俺のズボンをつかんできた。
「ま、いいや」
そうして俺を中心に四人で固まって進んでいった。
道中は、確かに怖かった。ホラー映画顔負けの特殊メイクをした役者さんが追いかけてきたり、CGを使って突然目の前に鬼が現れたり、さらには物理学を応用して突然女性が現れたように見せてきたり。
「きゃー!」
「あぅ……」
両側にいる二人はかなりびくびくしているものの、リタイアする様子はない。
俺も驚きはするが、比較的平気だ。
「流石は妖怪やら幽霊やらが好きなだけはあるか……」
と、その時背後から声がしないことに気付いた。
「知美?」
ズボンを引っ張る感触はあるから、はぐれたわけではなさそうだが……。
「知美~、大丈夫か~?」
「…………はっ。私は何を!?」
「お前もしかして……気絶してた?」
「いえいえっ。平気ですよ!」
絶対嘘だ。というか、付喪神なのにこういうのダメなのか……?
「とてもそうは思えんが……、まぁいいや。やばかったら言ってな」
「はいっ」
そのままどんどん進んでいく。
入ってからどれだけ経っただろうか。他の人たちはリタイアしてしまったのか、近くに人がいる感じがしない。
「あとどれくらいかかるんでしょう……?」
「目安四十五分って書いてあったから、もう少しだと思うが……」
と、その時だった。
突然、三人の気配が消えた。
「ん?」
三人の気配が消えたと感じたのと同時に、あたりがオレンジ色の光で照らされた。
「なんだ? 終盤の演出か?」
しかし、一瞬で三人を連れ去ることなんて可能だろうか?
とりあえず、あたりを見回す。
近くに骸骨の模型?を見つけた。
「すごいリアルだな……。ん!?」
いや、模型じゃない。これは本物の人骨だ!
それに、ライトの色のせいでわかりにくいが、あたりには何か液体がこびりついている。多分、血だろう。
「おいおいマジかよ……」
まさか、お化け屋敷でこんなリアルなものを使っているとは思えない。というか、全体的な演出の仕方から考えて、無造作に置かれた骸骨や床に付いた血なんてものは意味がない。
ということは……
「またあの現象か」
入学式の日、そして宝積寺先輩の話。どうやらあの現象は学校以外でも起きるらしい。
と、いうことは……。
「いた!」
あたりを見回すと、赤い髪をツインテールにした女の子がいた。
「ん?」
俺に気付いたのか、こちらを振り向く。
「黒磯!? なぜここにいる!?」
「え?」
前回は俺のことを知らないようだったのに、今回は名前を呼んだ。
「なんで俺の名前を?」
「む? ……もしかして」
そういうと女の子は、ポケットから手帳を出して何かを調べ始めた。
「そういうことか……」
「あの~、どういうことでしょう?」
「うむ、それには答えられんな」
なんだよ。教えてくれないのか。
「じゃあ、せめて出口を」
「その前に私の質問に答えろ。お前、青い髪の少女を知っているか?」
「青い髪の少女……?」
思い当たるのはリメリィ……もとい知美だが、こいつが探している人物ではなさそうだ。
「知らないな」
「ふむ、そうか。ならいい」
そういって去ろうとする。
「おいちょっと待て! せめて出口を教えろ!」
「ここでの役割が済めばおのずともとの場所に戻れるよ。それじゃあね」
赤髪の女の子は去っていってしまった。
彼女が見えなくなったその直後、急にあたりが暗くなった。
後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!