第二章 - 5
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64606132.html
リビングに戻り、もう一度会議。
俺と真弓、宝積寺先輩が正体はとりあえずおいておいて、これからどう過ごすかを決めようと提案。他のみんなも納得してくれた。
「さて、それじゃあまずは何から決めようか」
「とりあえず暮らすとこじゃね?」
真が言う。
「それは……、リメリィ自身がどうしたいかでしょ」
「え? 私は……雅人さんのものだから」
「!?」「なっ……」「雅人、お前っ」
「待て! 勘違いするな!」
「そうですわ。もともと彼女はフィギア。その所有者である雅人さんのものであるのは間違いないですわ。一体あなたたちは何を想像したのですか?」
よかった。宝積寺先輩だけはちゃんと理解してくれた。
「コホン……。それじゃ、リメリィちゃんは雅人の家で暮らす、と。食料品とか服とかは私やまゆみっちが協力するね」
「おう、ありがとな」
「それじゃあ、次は……」
「平日、私たちがいない間どうするか、じゃない?」
優紀が言う。
「そうだね。どうしようか」
「……そうだ。宝積寺先輩、ちょっといいですか?」
「はい」
俺は先輩を呼んだ。
「リメリィを学校に通わせることって可能ですか?」
「それは……不可能ではないですね」
「それじゃあ、お願いできますか? それをさっきのお願いってことで」
「……わかりましたわ。なんとかしてみます」
「雅人? 凛ちゃん? どうしたの?」
夏菜子姉さんが俺たちの方へ来る。
「ちょっと先輩と相談を……」
「なんの相談?」
「もちろん、リメリィの平日の過ごし方について。それで、学校に通わせられるか相談してたんだ」
「おお! それはナイスアイディアだね。それで凛ちゃん、可能なの?」
「何とかしてみますわ」
「やったね! みんな、凛ちゃんがリメリィちゃんと学校に通わせてくれるって!」
「「「おおっ!」」」
「ま、まだ確定ではありませんわ。とりあえず、なんとかはしてみるってだけです」
「私、学校に通えるの?」
「先輩がそうできるように頑張ってくれるって」
「やった!」
「はぁ。こんなになってしまっては、なにがなんでもなんとかするしかないじゃないですか……」
そんなことを言っているが、心なしか嬉しそうだ。宝積寺先輩って、やっぱり……。
「黒磯君? どうしたの?」
「いえ、なんでもないです」
それを言うのは野暮ってもんだろう。
「それじゃ、今日はそろそろお開きにしよう。昨日みたいに送れないのが心苦しいが……」
「雅人、それは昨日が特殊だっただけで今日の方が普通だぞ」
「サンキューな、隆治」
「やっぱあいつそーいう……あいたっ」
「真、口を慎め」
「ごめんなさい」
「それじゃあ、帰ろうか」
「ちょーっと待ったぁ!」
突然夏菜子姉さんが大声を出す。
「びっくりしたぁ」
「今うちの使用人呼んだから、ちょっと待ってて」
「うわー、流石金持ち」
数分後、俺の家の前には昨日のリムジンがいた。
「俺たちは行かなくていいのか?」
「いーのいーの、今日は急に夕食までごちそうになっちゃったしね」
「別にそれくらいいいんだが……」
「たまにはおねーさんの頼みも聞いてよ。それじゃ、私が責任をもってみんなを送り届けるから」
「……わかったよ」
「じゃあね、雅人、優紀、リメリィちゃん」
「また明日な~」
「おう、また明日。……宝積寺先輩、よろしくお願いします」
「ええ、頑張るわ」
「じゃあ出発するよ」
みんなが帰った後、優紀とリメリィはリビングでテレビを観ていたので、その間に俺は風呂に入ることにした。
結局今朝は入り損ねたし、なんだか久々な気がする。まぁ初日以来だから一日開いただけだが、そう思ってしまうくらいいろいろなことがあった。
入学式の火事、というか発煙騒ぎに始まり、謎の旧校舎、赤い髪の少女、姉さんや真弓たちとの再会、始業式の爆発騒ぎ、そして何より、リメリィの等身大フィギアが動き出した。
これが三日の間に起きたこととは、とても思えない。流石は陽期町ってとこだろうか。まぁ一部はこの町の特性とは関係ないが。
「ふぅ……」
そこそこ広い湯船につかり、ゆったりする。
と、脱衣所の方から声が……?
ガチャ
ドアが開き、誰かが入ってきた。
「り、リメリィ!?」
「ひゃっ。あれ? 雅人さんいらっしゃったんですか」
そこにいたのは一糸まとわぬ姿のリメリィ。なるほど、確かに真弓や宝積寺先輩がうなだれるわけだ。……って、じろじろ見ちゃまずいだろ。
「お、俺はもう出るな。ゆっくりしててくれ」
「え~、一緒に入りましょうよぉ」
「え、いや、あの、そう! もうのぼせそうだから……」
と、そこにまたドアが開く音が。
「リメリィちゃん、湯加減はどう……って兄ちゃん!?」
「ゆ、優紀!?」
一般家庭よりは少し広い風呂に、一糸まとわぬ兄妹と少女が。なんだこのラノベ的な展開は。
さて、どうしたものか……。
「~~っ~~」
「さ、雅人さん。背中流しっこしましょう!」
うん、俺にできることは一つのようだ。
「え~と……、失礼しますっ!」
「あ、雅人さん!」
俺は、さっと風呂場を抜け、タオルと着替えだけ持って自室へと駆け込んでいった……。
その後、優紀と「見た」「見てない」の論争となり、結局決着がつかないまま就寝した……。
そういえば、優紀もだいぶ育って……、おっと、これ以上はやめておこう。
今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!