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第二章 - 4

学校行事があったため、本日(23日・水曜)更新させていただきました


自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓

http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64594235.html

 『付喪神』……長い年月を経て古くなったり、長く生きた道具なんかに神や霊魂などが宿ったもののことだ。また、丁重に扱われ、付喪神となったものが恩返しをする、といった伝承もある。

「確かに、作られてからそれなりの年数が経ってるね」

「それに、年数に対して傷が少ないところを見ると、黒磯君が大事に扱ってきたことがわかりますわ」

「なるほど、確かにそれなら納得がいく」

 姉さん、宝積寺先輩、隆治が口々に言っていく。

「でもさ、ちょっと期間が短すぎない?」

 そこに異を唱えたのは、意外にも真だった。

「『つくも』って『九十九』って書くのが正確で、長い年月を象徴しているはず。十年やそこらで宿るものかなぁ?」

「うーん。どうなんだろう?」

「それに、元がフィギアなら体が普通の人間と大差ないってのもよくわからないし」

 確かに真の言うとおりだ。期間は短いし、普通の付喪神は道具が動き出すのであって構成している物質に変わりはない。

「だけど、フィギアに付喪神が宿ったなんて例、過去にないから必ずしも今まで言い伝えられている付喪神に当てはまるとは限らないんじゃない?」

 真弓が反論する。

「た、たしかに……」

 その後も、部員同士で議論を続けるが、いまいち納得できる結論には至らなかった。

 そうこうしているうちに、日が暮れた。

「……あの~、私のことで揉めてるみたいなんでこういうのもあれなんですけど、ご飯にしませんか?」

「おっと、いつの間にかこんな時間か」

「久しぶりに白熱しちゃった」

 流石に八人座れるほどうちの食事用の机は大きくないので、俺、優紀、リメリィ、真弓はちょっと食べにくいがソファの方で食べることに。

「しっかし、こうやって見ると、本当に人間と変わらないね」

「だな。……あのさ、もう正体なんてなんでもいいんじゃないか?」

「え?」

「だって、こうやって一緒にいるだけでうれしいじゃん。とりあえずは、一番当てはまる『付喪神』ってことでさ」

「そうだね。みんだ大好きなリメリィと会えて、お話できるんだもんね」

「そうそう。それよりもこれからどうするか決めた方がいいんじゃない?」

「だね」

 と、そこに宝積寺先輩がやってきた。

「黒磯君」

「はい?」

「ちょっといいかしら?」

 そういう先輩に連れられて、俺は廊下に来た。


「……私は、まだ納得いきません」

 いきなりそう切り出してきた。

「リメリィ……の事ですよね」

「ええ。やっぱり、いくらこの町とはいえ、こんなことはとてもじゃないですが納得できません」

「でも、実際に目の前で起きているじゃないですか」

「はい。だからこそ、あなたを呼んだのです」

「どういうことですか?」

「黒磯君、他にもこういう経験ありませんか? なんでもいいです。信じられないようなことでも」

「…………」

 あるには、ある。昨日の入学式後のことだ。でも、それを話していいのだろうか?

「……じゃあ、逆に訊きます。先輩は、そういう経験あるんですか?」

「あります」

「え」

 あるのかい。

「あれは、去年でしたかね。放課後の学校で一人で歩いていたら、気付いたら見知らぬ場所にいました」

 ! 俺と状況が似ている。

「そこは、まるで朽ち果てた教室でした。そこに、一人の少女、と言っても私とあまり歳は変わらないと思いますが」

「その女の子……、赤い髪じゃないですか?」

「! なぜそれを」

「俺も、そこと多分同じ場所に行きました。昨日の入学式の後、まだ混乱している最中に」

「……そうですか」

 宝積寺先輩は少し考え込み、口を開いた。

「同じ経験をしている方がいるなら、事実なのでしょう。それなら、今も同じです」

「なら」

「ええ、リメリィさんのこと、信じましょう」

「よかった」

「それと、疑い続けたお詫びといってはなんですが、何か私にできることがあれば言ってください」

「いいんですか?」

「い、一般的な良識は守ってくださいよ?」

「大丈夫ですって。真じゃあるまいし」

「そ、そうですよね。それじゃあ、リビングに戻りましょう。っとその前に」

 リビングに戻ろうとした先輩は、俺の方を向いて小声で話しかけてきた。

「さっきの話、誰かに話しましたか?」

「優紀にだけ話しました」

「そうですか。なら、そのままそれ以上は誰にも話さないでください」

「それはいいんですけど、どうするんですか?」

「そうですね……。三人で解明して、会長たちを驚かしでもしましょうか」

「えっ、……いいんですか?」

「ええ。たまには会長に一泡吹かせてやりたいじゃないですか」

「ふふっ、そうですね」

 なんだか、宝積寺先輩が楽しそうだったので、それに乗ることにした。


今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!

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