第二章 - 3
自分のブログ「フィーネ×ノベル×etc...」の以下のページより転載↓
http://blogs.yahoo.co.jp/fine_novels/64574094.html
それからしばらく後。俺たち七人は俺の家の前にいた。
「そういえば、小学校のころと同じ家なのな」
昨日俺の家まで来ることのなかった真が言う。
「ああ。いない間は姉さんの家で管理して、他の人に貸してたんだ」
「なるほど」
「それじゃあ、中に入って。姉さんの家とは比べ物にならないくらい狭いだろうけど、七人くらいなら平気だと思うよ」
「確かに、それなりに広かったね」
「それじゃあお邪魔しま~す」
中に入ると、ソファに寝転んで菓子を食いながら昼のニュースを観ているリメリィの姿が。くつろぎすぎだろう。
「「「「「…………」」」」」
あまりの姿に五人は絶句。
「あ、雅人さんに優紀さん。お帰りなさい」
「お、おう」
「あれ? なんだか人がいっぱいいますね」
いまだ言葉の出ない姉さんたちの方を見て言う。
「ちょ、ちょっと雅人。こっち来て」
真弓に言われそっちの方へ。
(ねぇ。本当にあれが雅人の持ってた等身大フィギアが動き出したリメリィなの?)
(ああ……。いや、正確にはわからないが、確かに俺の部屋に置いてあったフィギアはなくなって、代わりに彼女がいた)
(でも、まだ信じられませんわ。誰か知り合いがコスプレしてるだけかもしれませんし。何か確認する手段は……)
疑り深い宝積寺先輩が言う。
(そうですね……。名前を言い当ててもらうとか?)
(どういうことですの?)
(初めて彼女と会ったとき、こっちから名乗ってないのに俺と優紀の名前を知っていました。それに『ずっと一緒にいたから』って言ってました。みんなも何度かリメリィのフィギアに会っていますよね? それなら、名前がわかるはず)
(お、それいいな)
(じゃあそれでいこう!)
(えっ、ちょっと会長? みなさん? それじゃ不十分……)
宝積寺先輩を無視して姉さんがリメリィのもとへ。
「突然ですが問題! 私は誰でしょう?」
ほんとに突然だなぁ。普通の人にやったら驚くぞ。
しかしリメリィは、
「石橋夏菜子さん。雅人さんの従姉だね。相変わらず行動が突飛だなぁ」
と、ことなしげに言った。
「じゃあじゃあ、私は誰でしょう?」
「久喜真弓さん。まだ私の事大好き?」
「え? うん! もちろん」
「よかったぁ。ところで……」
リメリィが真弓に何か耳打ちしている。
その直後、真弓は顔を真っ赤にして慌てふためき、そのままソファに倒れこんだ。
「大丈夫か……?」
「よし次! 俺は誰でしょう?」
「雀宮真さん。相変わらず声大きいね」
「ふっふっふ。それが俺の取り柄だからな!」
「あと、そこにいるのが鷲宮隆治さん、だね」
「……正解」
「もう、相変わらず無愛想だなぁ。心の中では私のこと超大好きなくせに」
「!」
どうやら図星らしい。まぁ表情を表に出さないだけで知ってはいたが。
「すごい! これはもう確定だね!」
「ですね」
「待ってくださいっ!」
そこに、宝積寺先輩が大きな声で異議を唱える。
「会長たちは前々から黒磯君と知り合いです。彼が彼女に情報を伝えればこれくらいのことはどうってことないでしょう」
「いや、そうでもないと思うが……」
でも確かにそうだ。不可能ではない。疑り深い先輩は、もっと確実な証拠が欲しいらしい。
しかし、リメリィの一言ですべてがひっくり返る。
「宝積寺凛さん、だよね? だいぶ前だけど、小学校の授業が終わるたびに私に会いに来てくれたよね?」
「!?」
「雨の日だろうと、雪の日だろうと、毎日欠かさず来てくれて、うれしかったぁ。雅人さんの次くらいに熱心だったよ」
「あ、う……」
宝積寺先輩と俺は昨日が初対面だ。だから、前々に情報を教えておくことなんてできない。それに、なんだか暴露されてるし……。
「凛先輩がまさかそんなに熱心だったとは……」
「凛ちゃんがそんなに好きだったなんて、私も知らなかったぁ」
「ち、小さいころの話ですっ」
顔を真っ赤にして先輩が言う。あんなに動揺するんだ。
「……とりあえず、認めますわ。黒磯君のフィギアが動き出したということは。そうなると、一体正体は何なんでしょうか?」
次の問題はそこだ。なぜ、急にフィギアが動き出したのか。
「ロボット、ではないよね?」
「今朝、普通にご飯食べてたよ。なぁ、優紀」
「うん。それに料理もしてくれたよ」
「一応、某ネコ型ロボットはご飯食べてますが……」
宝積寺先輩でも流石に国民的キャラクターは知ってるのか。
「でも、もし彼女がロボットだったらすごい発明じゃん!」
「とりあえず、体を調べてみましょう」
おお、身体検査するのか! ドキドキワクワク。
「……男子三人はどこか見えないところに行っていただけますか?」
「「「はい」」」
先輩、目が超怖かった。とりあえず俺の自室へ。
「なんだかんだ隆治も興味あったのか?」
真が隆治に訊く。
「いきなりなんだ」
「女子の体だよ。察しろ」
「人の部屋でいきなり男子トーク始めるなよ……」
「いいじゃんか、普段できないんだしさ」
「まったく……。一応、年相応に興味はある」
「あるんだ」
「お前……、人のことをなんだと思ってたんだ?」
「大仏」
「雅人、何か鋭利なものはないか?」
「あー、確かそこの棚の中によく切れると評判の鋏が……」
「悪かった! 俺が悪かったから許して!」
「どうしようかなぁ?」
うわ、隆治がすごい残虐なオーラを出してる。こわっ。
「頼むから、人の家を殺人現場にはするなよ……」
数分後。優紀が俺たちを呼びに来た。
リビングでは満足げな姉さんと、うなだれる真弓と宝積寺先輩がいた。
「結論!」
姉さんが大きな声で言う。
「彼女は普通の人間と大差ないものの、体の一部に傷ともなんとも言えないものが数か所あり。あと、胸が想像以上に大きく、負けていた二人はショックを受けた模様!」
「か、夏菜子先輩!?」「か、会長っ!」
最後は聞かなかったことにしよう。
「でね、私が思うに、彼女は『付喪神』なんじゃない?」
今後の作品の参考にしたいので、感想・意見等あれば是非お願いします!