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妹のオマケで異世界に召喚されました  作者: 春岡犬吉
ガルムイ王国編 序章
90/180

プロローグ

お待たせ致しました。

新編開始です。

 ヴェロン帝国から戻って幾らもしないうちに、ユセルフ王国王都セルスリウスでは雪が舞い始めた。

 それは本格的な冬の到来を感じさせ、日を追う毎に降り積もり、気が付けば街は分厚い白い毛布で包み込まれてしまっていた。

 こうなると雪解けが終わるまでは遠出が事実上不可能となり、セルスリウスを拠点とする冒険者の主な依頼は雪下ろしが主体となる。

 無論、討伐以来も無い訳では無いのだが、俺達が戻ってからは、小鬼などの小物の被害はかなり減少したと言ってよい。

 その原因は、本来討伐されるべき黒妖犬(ヘルハウンド)がそれ等を駆逐している為だ。

 何故黒妖犬がそんな事をするのか、と言うと、一緒に着いて来たローリー教授が指示を出しているからだった。

 彼に言わせれば「ここは我等が縄張りですから」という事らしい。

 要するに、女王が居るのだから、街周辺と言えども関係ない奴は出て行け、と言っている訳だ。

 ここら辺は流石、動物の発想だな、と俺は思ってしまった。

 ま、教授は動物じゃなくて、魔獣だけどさ!

 そして俺も熟す依頼はご他聞に漏れず雪下ろしがメインとなる訳なのだが、何故か指名される事が多かった。

 ま、分からなくも無いけどね。俺の遣り方は特殊だしさ。

 普通の冒険者はスコップ片手に地道に雪下ろしをするのだが、俺の場合は積もった雪に手を突っ込んで雪人形(スノーゴーレム)を作り、それに遣らせるという一風変わった方法を取る所為で子供達に好評らしく、それもあって指名に繋がっているのだと思う。

 尤も、ゴンさんがこれを見た時、顎が外れそうなほど口を開けて呆けたと思ったら「才能の無駄使いじゃねえかよ」なんて呟くものだから、雪人形を(けしか)けて思わずゴン雪だるまにしてしまった。

 いいじゃないか、楽なんだし。

 ま、それが原因か分からないけど、風邪引いて寝込んじゃったけどさ!

 そんな訳で、ご指名を受けるとホイホイと出掛けて日銭を稼いでいたのだが、これがまた薪代で綺麗さっぱり消えていくと言う、俺的には非常に悲しい結果になっていた。

 お陰で未だにヒモ生活を抜け出せないで居たりする。

 そして、夜は夜でお勤めが待ってるのだけど、これがまた大変だった。

 自業自得、と言われればそれまでなんだけどさ……。

 そうそう、ヴェロンから戻る時に俺宛に来た手紙なんだけど、その差出人はアルシェやシアではなく、なんと、王様だったのだから驚きだ。

 その内容なのだが、俺には難しすぎてまったく読む事が出来なかった。

 誰だ? 今、笑ったのは。

 大体だな、今の俺の識字力はこっちの世界で言えば、やっと絵本を読める様になったお子様と似た様なものだ。そんな俺が普通に書かれた手紙など読める訳がない。

 なので、ウェスラに読んでもらったのだが、その内容というのが、思わず顔を顰めたくなる様なものだった。

 それは、ローザの送還要求と俺の身柄譲渡。

 しかもその要求を突き付けて来たのは、ローザの故国であるガルムイ王国。

 何故そんなものが送られて来たのか、ローザもこれには首を捻るばかりで、思い当たる節がないのだという。

 しかし、身柄譲渡とか、俺の事をまるっきり犯罪者扱いじゃねえかよ。

 そんな訳で、帰ってすぐに理由を聞きに登城したのだが、王様もまったく分からない、という事だった。

 まあ、実際の手紙も見せて貰ったけど、理由自体がまったく書かれていない、という、不自然極まりない手紙だったが、封蝋の上から押されていた印璽(いんじ)はガルムイ王国の正式なものだと言う事なので、一応は正式な外交文書のようだった。

 ただ、これから冬を迎えるこの国から旅立つのは自殺行為に等しいという事なので、雪解けまで待って貰うように要請だけはしたらしい。

 なので冬の間はその事で悶々としながらも、遣れる事をやって俺は過ごし、そして、雪解けの春を迎える事となった。

 喜びと、ほんの少しの後悔の感情を抱えながら。

今月は少々更新速度が遅くなりますが

ご了承頂ければ幸いです。


次回更新は十九日を予定しております。



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