最高の助っ人登場
ライル視点ですので、漢字が少なく読み難いかもしれません。
情景描写も殆どありません。
ですが、子供、と言う事でご了承ください。
僕はおとーさんといっしょにいたくて、いっしょうけんめい手を伸ばしてよんだけど、でも、おとーさんは「さよなら、ライル」って言ったんだ。
なんでさよならなのか、僕にはすぐに分からなかった。でも、それがお別れのあいさつなんだ、って分かったら、なみだがいっぱい出てきて、とてもかなしくて、だから、おっきい声を出したんだ。
「やだ……やだよ! さよならしたくないよ! 僕、おとーさんともっとずっといっしょにいたいのに!」
でも、ドアがとじちゃって、僕の声はとどかなかった。
そして僕は、いっぱいいっぱいあばれた。おとーさんのとこにもどりたくて。いっしょにいたくて。
でも、おかーさんの力は僕よりも強くて、はなしてくれないし、こわい顔でおこられた。
「我侭いってんじゃねえ! あいつはお前の本当の父親じゃねえんだからよ!」
そんなことは僕もしってる。でも、僕にはあの人がおとーさんなんだ。
たくさんお話してくれて、いっぱい遊んでくれて、いつもいっしょにいてくれた。
あぶない時はたすけてくれて、けがをしちゃった時はしんぱいしてくれて、かなしくてなみだがいっぱい出た時は、止まるまで、だっこしてくれた。
やさしくて強いおとーさん。
いつもニコニコしてるおとーさん。
時どきすけべなおとーさん。
たまにいじけちゃうおとーさん。
おどろくおとーさん。
かなしいかおするおとーさん。
色んなおとーさん。
僕はおとーさんみたいになりたかった。
でも、僕は人じゃない。だから、それがくやしくてかなしくて、いっしょうけんめいれんしゅうした。でも、おかーさんの言ってることが分からなくて、いっぱいいっぱいおこられた。
おかーさんがたくさんおこるから、にげたりしたけど、そんな時でもおとーさんはやさしかった。
だから、人になれた時僕は、ものすごくうれしかった。
おとーさんと同じふくをきれて、剣をもてて、ちゃんとお話ができるから。そして、僕もぎゅーってできるから。
おとーさんと初めて手をつないだ時は、おおきくて、あったかくて、僕よりもずっとずーっと強い力をかんじた。
僕が同じふくをきた時、おとーさんはすごくよろこんでくれた。
剣をもちたい、って言って、おかーさんをこまらせて泣かせちゃった時は、わるい子はきらいだって、おとーさんにおこられた。だから、僕はわるい子になりたくなくて、おとーさんにきらわれたくなくて、おかーさんにごめんなさいをした。
そしたら、剣をかってくれるって言ってくれたんだ!
僕はうれしくて――、とってもうれしくて、おとーさんにおれいを言った。そしたら、僕の目を見て言ったんだ。
「いいか、ライル。剣は自分の為に使う物じゃない。誰かを守る為に使うんだ。勿論、身を守る為に使う事もあるけど、それ以外は決して他の人に向けちゃいけないぞ」
少しむずかしい事を言われたけど、でも、これを守らないとだめだって言われて、僕はやくそくした。
だいじなかぞくを僕が守るって。
おとーさんみたく強くはないけど、僕が守るってやくそくしたんだ。
だから今はつかわない。僕がおとーさんといっしょにいたいだけなんだから。
だから僕は、おかーさんにおこられた後、いっぱいかんがえた。
どうすればおとーさんのとこに行けるか。
どうやって行けばいいのか。
なんて言えばおかーさんがいいよって言ってくれるか。
でも、ぜんぜん分からなかった。
だけど、僕はあきらめない。
もっといっぱいいっぱいかんがえて、ぜったい、おとーさんのとこへいくんだ!
そして僕は馬車に乗って、まどからお外をずっと見てた。
おかーさんはあぶないからすわれ、って言ったけど、僕はすわらない。お城へ行く道をおぼえなくちゃいけないから。
ひとりでもおとーさんのとこに行けるように。
でも、どんどんはなれるお城が見えると、なみだがいっぱい出て来て、お外がよく見えなくなっちゃった。だから、いっしょうけんめいなみだをふいて、口をぎゅってとじて、お外をにらんだ。
道を忘れないように。
まっすぐにおとーさんのとこに行けるように。
まっかな鳥さんの絵がかいてあるドアが見えると、馬車がとまったから、僕はじぶんでドアをあけて、お泊りしてるお家に走って入る。
後ろからおかーさんの声がきこえたけど、そんなのしらない。
「ボウズ、どした?」
お家のおじちゃんの声でも僕はとまらない。
走って前にまきわりしたとこへ行くと、このあいだと同じにまきわりをする。
台にのせて、剣をふって、まきをパカンってわる。なんかいも、なんかいも。
でも、だんだん当たらなくなっちゃった。
また、なみだがいっぱい出てきたから。
かなしくて。
さびしくて。
くやしくて。
おとーさんとお別れしたくなくて。
「やだよ……。僕、おとー、さんと、いっしょに、いたいよ……」
剣をにぎった手をはなして、僕はなみだをいっしょうけんめいふいた。
「ボウズはとーちゃんの事が好きなんだな」
お家のおじちゃんに言われて、僕はうなづく。
「話はボウズのかーちゃんから聞いた。とーちゃんがおめえさんを武道大会に出そうとした、って言ってたが、本当か?」
「うん……」
「で、ボウズは出る心算だったのか?」
「うん……」
「そしたら、かーちゃんが反対したのか」
「うん……」
「で、それなら帰れって、とーちゃんが言ったんだな?」
僕は首を振る。だって、おとーさんはそんな事言ってないから。
「僕だけにさよならって……」
「そっか」
「僕、おとーさんといっしょにいたいのに、さよならしたくないのに、おかーさんが……」
また僕はなみだをいっぱいいっぱい出した。
そして、おじちゃんが僕をぎゅってしてくれた。
「本当のとーちゃんじゃないからって、言われたんだよな?」
「――うん。でも、僕は、ほんとのおとーさんなんてしらない……。だから、今のおとーさんが、僕のおとーさんなのに……、おかーさんは――ほんとのおとーさんじゃないからって……」
「そっか、ボウズには今のとーちゃんが本当のとーちゃんなんだな」
「僕、おとーさんとお別れしたくないよ! ずっといっしょにいたいよ!」
いっぱいのなみだを出す僕を、おじちゃんはぎゅってしてくれる。
でも、なんだかおとーさんにされてるみたいで、すっごくきもちよくて、僕のなみだはだんだんとまっていった。
「ボウズはとーちゃんのとこに行きたいんだな?」
「――うん」
「行ってどうすんだ?」
「僕、おとーさんのおてつだいがしたい」
「そうか。んじゃ、俺がなんとかしてやる」
僕はおどろいておじちゃんの顔をみた。
「何驚いてやがる。ボウズのとーちゃんから貰った金じゃ、明日には皆ここから出て行かなきゃならねえんだぜ?」
僕はもっとおどろいた。だって、一回ねたら、このお家にいられないって言われたんだもん。
「でもな、ボウズは居てもいいぜ」
「え?! 僕、いてもいいの?」
「ああ、ボウズの分の金はいらねえって言ってあるしな。だから、とーちゃんが戻って来るまで居てもいいんだぜ?」
僕はここにいられる。
すごくうれしかった。でも、ちょっとだけかんがえた。
おとーさんはかえってくるのかなって。かえってこなかったら、どうしようかなって。
「おじちゃん、やっぱり僕はおとーさんのとこいきたい」
おとーさんがかえってこなくても、僕がいけばいっしょにいられるし、いっしょにいられれば、僕はそれだけですごくうれしいから、だから、やっぱりいかなくちゃいけない。
「そっか、ボウズがそう言うなら、俺が連れてってやる。だから、今日は大人しくしてろよ?」
おじちゃんがおとーさんのとこへつれてってくれる! それを聞いて、僕はうれしくておっきい声で返事をした。
「わかった! おとなしくしてる! おじちゃん、ありがとう!」
お礼を言ったら、おじちゃんはすっごくよろこんでくれて、僕もいっしょにわらった。
おとーさん、まっててね! 僕、ぜったいいくからね!




