強権発動
「野盗って何であんなスケベな事、堂々と平気で言うのよっ!」
馬に跨ったまま憤慨しているのは、妹の可憐だ。
まあ、分からなくもないけどな。
「仕方なかろう。野盗、と言えば男共の集まりと、大体の相場が決まっておるのじゃから」
「ウェスラ姉さまの言うとおりでから、怒るだけ損しちゃいますよ?」
「なんで二人ともそんなに冷静なのよっ?! 女なんだから少しは怒りなさい!」
「そう言われても、のう……」
「ですねえ……」
ウェスラとローザは顔を見合わせて、苦笑を洩らしていた。
妹様のお怒りも分からなくもないが、彼等にとってもあれはあれで決め台詞みたいなもんだしな。
だから、と言う訳ではないが、最後まで言わせてやらないと何故かかわいそうな気がするのは、俺が男だからじゃない、と思いたい。
と言うか、あれ以外に何て言えば良いのか、俺にも分からんけど。
そんな訳で、最初の野盗を吹っ飛ばした可憐は怒りまくっていた。
だけど、この時の俺達は、第二王女が送って来たあの手紙の内容を、きちんと理解出来ていなかったとしか、言い様がなかった。
*
「おい! て――」
「切り刻め! 裂風絶刀陣!」
短い詠唱と同時に風壁が野盗を周囲から隔絶し、その内部で大量の風刃が乱れ飛ぶ。
風壁の外には悲鳴すら漏れる事無く、内部の状態も、巻き上げられた砂礫がカーテンとなり全てを包み隠してしまい、外に居る者には何が起こっているのかすら分からない。
そして、風壁が消え去った時そこには、赤黒い水溜りに細かい肉片が浮かんでいた。
「今日はこれでいくつ目だよ……」
俺はうんざりしながら呟いた。
「十団体目、ですね」
「おいおい、幾らなんでも多過ぎだろ」
「それには私も同意します。これは、幾らなんでも異常ですよ」
カチェマの国境を越えて既に三時間近く経っている筈だが、その間に遭遇した野盗は、先ほど俺が殺ったのも合わせて、大小十団体。
人数にして、百人以上にもなる。
無論、捕らえて連行、なんて事は出来ないので、残酷な様だが全員に三途の川を渡ってもらった。
まあ、それを見た可憐は血の気の引いた顔で呆然とした後、物陰で嘔吐いてたけど、こればっかりは慣れてもらうしかないのが、兄としても辛い所だ。
そんな訳で可憐は今、馬車の荷台でひっくり返っていて、妹の馬にはマルベルさんに騎乗してもらっていた。
「もう直ぐ最初の街に着くんだよな?」
「はい、四半刻も掛からずに着くと思います」
「じゃあ、今日はそこで泊まりかな?」
「そうなりますね。ですが、宿の質に関しては我慢して頂く事になると思います。何分、ユセルフ国内ではないので……」
少しだけ済まなそうにウォルさんは苦笑いを見せた。
でも、ヴェロンへの旅を経験している俺には、その程度の問題は無いに等しい。
「俺は、と言うより、俺達は大丈夫。安宿には慣れてるしね。寧ろ心配なのは、可憐とナシアス殿下の二人だよ」
こっちの世界で言う普通の宿とは、実の所、あっちの世界と比べると雲泥の差がある。
まあ、部屋はちゃんと個室になってるし、ベッドはあるから、普通って言えば普通なんだけどね。
ただ、部屋の扉に鍵が無い所もあるし、人数に対してベッドの数が少なかったり、窓は殆どが木窓だから外の光を入れるには全開にしなくちゃいけないとか、夜の明かりは自分で用意するとか、兎に角そういった不便をどこまで許容出来るかが問題だったりする。
日本と違ってサービスはお金を出さないとしてもらえないしさ。
それに風呂なんて無いのが普通だし。
ま、頼めばお湯はタダで貰えるから、慣れさえすれば無くても困らないけど。
「たぶん、カレンは大丈夫だと思います」
「そうなの?」
ウォルさんの言に俺は、少しだけ驚いた。
「はい。一応は野営も経験してますし、その状態で一週間過ごす訓練もしましたから、今では一人でも野営出来る筈です」
これにはもっと驚いた。
思わず目が点になっちまったよ。
あっちに居た時なんかキャンプ場のロッジに泊まるのでさえ、嫌な顔をしたくらいなのにな。
「俺の知らない所であいつも頑張ってるんだなあ」
感心して背後に目線を送り、俺は口元を緩める。
「私から見ても頑張っていると思います。気恥ずかしくて本人には伝えていませんが」
ウォルさんは照れくさそうにはにかみ、それでいて、少しだけ誇らしげな態度を見せた。
そして俺は、遠くの空を眺めながら目を細めて、口の端に笑みを浮かべ、
「そっか、頑張ってるか」
小さく呟くのだった。
*
ノエント。
これがカチェマに入国をして最初に着いた街の名前だ。
だがそこの人々は怯えた様に縮こまり、誰とも目を合わせようとせず、街には活気、というものが殆ど無かった。
勿論、俺達に好奇の視線を一瞬だけは送って来る。
だが、それだけだ。
入る時に見た衛兵の態度が、惰性で仕事している様にも見えたからおかしいとは思っていたが、まさか、ここまで街が沈み込んでいるとは、思いもしなかった。
そして、その事は皆も感じているのか、一様に表情が硬い。
そんな中で唯一の救いは、俺とウォルさんの間に挟まるユキの膝の上で、嬉しそうに笑顔を振りまくライルの姿だった。
「楽しいか?」
「うん!」
「そっか、それは良かった」
軽く安堵の溜息を付く。
「おとーさんは楽しくないの?」
そんな俺にライルは、首を傾げながら不思議そうな顔を向けた。
「んー……。楽しい、と言えば楽しい、かなあ?」
旅をするのは楽しい。でも、こういう活気の無い街は、あまり好きじゃない。
「もしかして、おしごとするの?」
「かもしれないなあ」
「そっかあ……」
ライルは少しだけ詰まらなさそうに、自分の足に目を落とす。
「でも、しょうがないよね。おごとしないとご飯食べられないし」
痛いとこを突いて来るなあ。一体、誰に似たんだろ?
「そ、そうだな。仕事をしないと、ご飯は買えないもんな」
「そうですか?」
俺達の会話の間に、するり、とウォルさんが滑り込んできた。
「ちがうの?」
ライルはウォルさんに向けて、軽く疑問をぶつける。
「マサト様は仕事をしなくても、ご飯は食べてますよ?」
返った言葉がこれだ。
ちょ! 子供の前で何て事言ってんだよ!
「そうなの?」
不思議そうな表情で、今度は俺を見上げるライル。
ウォルさんめえ……。覚えてろよ。
「ま、まあ、仕事をしてるのはお父さんだけじゃないしな」
「そっか、だからおとーさんはおしごとしなくても大丈夫なんだね!」
何だか息子にヒモ、と言われている様な気分になってしまった。
最も、ライルにそんな心算はないのだろうが、やはりここは、父の威厳、という物を見せなければいけない様に思え、つい口が滑って大見得を切ってしまう。
「お父さんは少ない仕事で稼いでるから、して無い様に見えるだけなんだよ。でもな、ここからはいっぱい仕事して、ライルに美味しいものを沢山食べさせてやるからな!」
ライルの顔が見る間に満面の笑顔に彩られ、
「やった! やくそくだよ! おとーさん!」
「任せろ!」
言った後、内心で大量の冷や汗を掻いてしまった。
やっべえ、またミスった……。
俺は何でライルの前だとええ恰好しいなんだろう?
でも、こうなったら形振りなんか構っていられない。宿に着いたらさっさとギルドへ出掛けて、依頼を片っ端から熟してしまおう。
そう、心に堅く誓うのだった。
「もう少しで宿に着きますので、そろそろ準備をお願いします」
ウォルさんの声で現実に引き戻される。
「ん? ああ、分かった」
俺達は荷台へと移り、自分の分だけでなく、手分けして皆の分も麻袋に詰め込んだ。
ま、皆旅慣れてるから、それ程荷物が有る訳じゃないし、俺なんて何も出してないから、すぐに終わって御者台に戻ったけどね。
「これから行く宿って、どんな宿なの?」
俺は何とはなしに、軽い気持ちでそんな事を口にする。
「そうですねえ、一言で言えば、食事の量が凄まじい、という所ですかね」
「凄まじいって……」
獣族のウォルさんにそんな事を言わせる量って、どんだけなんだよ……。
「勘違いしてそうなので少し訂正しますが、おかずの量は少ないです。ただ、運ばれてくるパンの量が凄いんですよ」
「何それ?」
おかずは少なくて、主食のパンが山盛りって……。
「まあ、行けば分かりますよ」
そして、程なくして宿屋に着き、馬車を降りて看板を見た瞬間、俺は呆気に取られた。
〝お腹に憩いを是非! 宿の盛〟
盛りってなんだ、盛りって……。
「これでもここは、騎士に人気の宿屋なんですよ?」
若干苦笑交じりの表情で、ウォルさんはそんな事を告げて来た。
「いや、それは兎も角、何この名前……」
「あ、わたしここに止まった事ありますよ!」
横からローザが嬉しそうに顔を出した。
「ほう、ならば、問題なさそうじゃな」
「はい! お値段の割りに食事の量が多いので、お金が少なかったわたしには嬉しかったです!」
「そう言えば、ローザ殿はマサト殿に会った時すでに、極貧だった、と聞きましたが」
教授がポツリ、とそんな事を呟き、ローザを慌てさせた。
「そ、それは言わないで下さいよ!」
「――ローザ姉さんって確りしてると思ってたけど、案外そうでもないのね」
少しからかう様に口元に笑みを浮かべながら、可憐はそんな事をのたまう。
「もう! カレンさんまで!」
恥ずかしさと苛いで、顔を真っ赤に染めてローザは頬を膨らませていた。
だが、そんな彼女にナシアス殿下が、
「スヴィンセン家の者ともあろう方が、どの様な教育を受ければその様な事態に陥るのか、私には理解出来ませんわ」
嘆かわしいとばかりに、呆れ果てた表情を向ける。
「極貧などとは、貴族に有るまじき醜態ですね。貴女が本当にスヴィンセン家の出身なのか、私は疑ってしまいます」
そして、侮蔑の篭った目線をメルさんが向け、ローザは座り込んでしくしくと泣き出してしまった。
「ぐすっ、わ、わたしだって、す、好きで極貧になったんじゃ……」
だが、それに狼狽えたのは可憐だけで、ナシアス殿下とメルさんは、全く動じる素振りも見せないばかりか、傷口に塩を塗り込むような台詞を放った。
「泣けば全てが許される訳では無くってよ?」
「この程度で泣くとは、まったくもって嘆かわしい限りです。この際ですから言わせて頂きますが、その程度でスヴィンセンを名乗るとは、呆れを通り越して怒りすら沸いて来ます。貴女の様な亜人は、奴隷がお似合いですよ」
メルカートさんが最後に放った一言。
これには誰もが怒りを面に出したが、一番頭に来たのは、何を隠そうこの俺だ。
最愛の妻の一人を侮辱されて、剰え、奴隷がお似合い等と言われて頭に血が上らない方がおかしい。
「俺の妻を侮辱したって事は、俺を侮辱してるのと同じだって事、分かってんだろうな?」
全身から溢れる怒気を隠しもせず、俺は二人に詰め寄る。
ナシアス殿下は俺の態度にハッとした後、真っ青になり、体を震わせながら「わ、私は何と言う事を……」と呟く。
だが、メルカートさんは眉間に皺を寄せて訝かしむだけだった。
「何故そうなるのですか。私は貴方に言ったのでは無いのですよ?」
ナシアス殿下は理解した様だがメルカートさん、あんたは何も分かっちゃいないよ。
「殿下はまあ、理解したみたいだから、今回は貸しにしておく。ただし、二度目は無いけどな。でも、あんたは国に仕える騎士として一番やっちゃいけ無い事をやらかしたのにも気が付かないのか?」
一応は俺に許されたからか、殿下は大きな溜息と共にその場にへたり込む。が、メルさんは眉間に皺を寄せ、何訳が分からない事を言っている、といった感じで、俺を睨め付ける。
そこへ、ウォルさんの抑揚を抑えた声が滑り込んで来た。
「マサト様の奥方を侮辱するという事は、ユセルフ王国王族を侮辱するも同じ。それは取りも直さず、我等が国王陛下に唾する行為に等しい。そして、国王陛下の御后様は、ヴェロン帝国皇帝陛下の妹君であらせられる。貴女は間接的に自国の皇帝陛下をも侮辱している事に、気が付かれよ」
静かに告げてはいるが、言葉使いからも、彼も相当怒っている事が窺い知れる。
しかし、それでもメルカートさんの目付きは変わらなかった。
だから俺は――、
「あんたは騎士を辞めたいようだな」
口角を吊り上げ、見た者を震え上がらせる壮絶な笑みを登らせた。
それを見た可憐が真っ蒼な顔になり、メルカートさんに近寄り慌てて告げる。
「め、メルさん! こういう時のおにいって、何やるか分からないのよ! だから、早く謝って!」
「何故私が謝らねばならないのです?」
告げられた事に異議を唱えたばかりか、親切心で忠告した可憐まで睨み付け、その表情は更に険しさを増し、俺に対する反抗心は先ほどよりも膨れ上がっている様に見える。
はっきり言って彼女は選択肢を間違えている、としか言い様が無い。
一触即発の緊張感が漂う中、ライルがポツリ、と呟いた。
「泣かせた……」
それが聞こえた瞬間、メルカートさんの体が宙を舞い、ワンバウンドするほどの強さで背中を地面に強かに打ち付け、呻き声を上げるよりも早く肺の中の空気を吐き出す嵌めに陥っていた。
彼女は何が起こったのかと、苦しみの中に驚きの表情を見せつつ、空気を求めて喘ぐ。
その傍らにライルは静かに立つと、足元に転がるメルさんを睨み付けながら、腰に佩いた剣に手を掛けて、怒りで全身を振るわせていた。
「しんじゃえっ!」
ライルはその体躯からは想像も出来ない程の怒気を放ち剣を抜き去ると、今にも彼女に止めの一撃を振り下ろそうとしている。
「ライル、そこまでにしておくんだ。後はお父さんに任せなさい」
ライルの肩に手を置き後へ下がらせ、ウェスラに目配せをする。
そして、空気を求めて喘ぐメルカートさんを見下ろすと、俺は大きく深呼吸を一つしてから、毅然と言い放った。
「ヴェロン帝国破竜騎士団、副団長、イリーナ・メルカート! マサト・ハザマ・ユセルフの名に置いて、貴殿はこの場に居る事が相応しくないと判断した! 因って、即刻立ち去る旨を言い渡す! そして、ヴェロン帝国皇帝陛下より拝命した魔王の名に置いて命ずる! 貴様はこれより先、騎士を名乗る事は許さん! 無論、騎士団に戻る事も! もし、我が命破りし時、この世界に居場所は無いと心得よ!」
そこで口を噤むと、彼女と皆の表情に目を走らせた。
メルカートさんは苦々しげに表情を歪めて俺を睨み、他の皆は、困惑を見せていた。
彼女は兎も角、皆が困惑するのは当たり前かもしれない。俺がここまで感情を露にする事は、今まで無かったから。
ただ、以外だったのは、ナシアス殿下が何も言わなかった事だ。
俺はてっきり何か異議でも唱えるかと思って居たのだが、彼女はメルカートさんから顔を逸らして目を瞑り、唇を硬く引き結んで何かを堪えている様だった。
最も、不服申し立てなんかされたら、俺はその人も追放する心算で居たから、これはこれで良かったけどさ。
下手すれば俺が皇族に弓引く事態になってた訳だし。
そして、メルカートさんが漸く立ち上がった時、俺はウォルさんに彼女を街の外へ放逐する様に命じ、可憐以下、他の騎士達には宿屋の宿泊手続きをする様にと、告げた。
困惑しながらもテキパキと動く騎士を見ながら俺は、知らず知らずのうちに眉根を寄せて険しい表情を取る。
「あ、あの……」
背後から声を掛けられ振り向くと、
「ん?」
そこには俯き加減でローザが立っていた。
「もう大丈夫なのか?」
「はい。でも、わたしなんかの為に――」
済まなそうに俯き、微かに肩を震わせる彼女。
俺はそんな彼女に、勤めて明るく接した。
「ローザが気にする事じゃないよ、これは俺が自分自身に誓った事を実践しただけなんだから」
「でも……」
それでも今にも泣き出しそうな表情で震える彼女に俺は、静かに語り掛ける。
「俺は俺の考えで行動を起こした。その所為で火の粉が降り掛かるとしても、それはローザの責任じゃないし、それはまた払えばいいだけの事。それにさ、あの歳で、人を殺させる訳には、いかないだろ?」
ウェスラに抱かれながら宥められているライルに俺は、目線を送る。
「ライルだってローザの事を守りたくて、馬鹿にされて悔しくて、あんなに怒ったんだと思う。あいつ、家族皆の事が大好きだからな。それに、何時も言ってたよ。強くて優しいお母さん達が大好きだって」
そして再びローザに目線を戻すと、真剣な表情で俺は、その瞳を覗き込みながら告げた。
「過去の事を誰に何と言われようとも、卑屈になる必要なんて、何処にも無い」
こんな事を言っても、気休めにしかなら無い事くらい、俺にも分かっている。過去の自分が在るから今の俺が在る様に、繋がる時間を切り離す事は出来ないのだから。
でも、だからこそ俺は、自信を持ってもらいたかった。
過去の彼女が在るからこそ、今の彼女が在る、と言う事に。
その過去が無ければ俺と出会う事は無かったし、皆と共に過ごす事も無かったという証明でもあり、それを否定する権利は、誰も持っていないのだから。
ローザは目を瞑り胸に両手を当てながら何度か深呼吸をした後、静かに瞼を開ける。
「過去のわたしがお金を使い果たしてユセルフで冒険者に成ろうとしなければ、マサトさんに出会う事も、こうして妻に成る事も、皆さんに出会う事も無かった……。だったらわたしは――、誇ってもいいんですよね。過去の自分も、今の自分も……」
俺は思いが伝わった事に自然と笑みを零し、彼女の肩に手を置いて引き寄せる。
だがその時、
「はい、そこまでー」
可憐が俺達の間に割って入って来た。
「か、カレンさん?!」
ローザは突然の乱入に驚き、俺は表情を憮然としたものに変える。
「あのねえ二人とも、ここは往来なの、分かってる?」
可憐に言われ周りに視線を向ければ、俺達の周りには人だかりが出来ていて、何故かその人達の表情は残念そうに成っていた。
そして、それに気付いたローザは顔を茜色に染め上げ俯き、俺は俺で顔に朱が上るのを止める事が出来なかった。
「時と場所、選んでよね」
そう告げる可憐の顔もほんのりと赤かったのは、言うまでもない。
やっちまった感が半端ねえな……。




