課題山積
「どったの? 隼子ちゃん」
うろな町図書館貸出しカウンター。いつものように鎮が本の交換に来る。
夏休みなので私服。
ダークカラーのジーンズに派手系の柄の入ったTシャツ。普段無地かワンポイント、ストライプが多いけど趣味変わった?
追求できなかったけど、彼女ができたって言う噂もあるからそっちの趣味?
むぅ。
「はやとが」
「はやと君?」
「ひらがなカタカナ書けない。というか学校ってナニって言われた」
「うーん。いま、ミラちゃんが日本語練習中だから混ざる?」
「ミラちゃん?」
「この夏からおじさんが引き取るって決めたおじさんの隠し子」
「隠してたの?」
「ううん。特に言ってなかっただけで隆維たちやおばさん、うちの母さんも知ってたらしいよ?」
オープンなご家庭で。
「日本語喋れるけど、まだ読み書きは不自由だしさ。新学期までに自分の名前の読み書きぐらい覚えたいって言ってさー」
すでにシスコン対象に入ってるのか。
妹溺愛兄貴め。
「で、はやと君、何年生?」
「ろくねんせい、かな」
沈黙が痛い。
「学校ってナニ?って」
頷く。
「まずくねっ?!」
そーなのよぅ。
「鎮くん。図書館では静かに」
「あ。ごめんなさい。桐子さん」
げ。お局様に。
ん?
今何か違和感が……?