野外活動
「鎮! ちょっと出かけるから荷物持ち!」
「へ?」
「ほら、早く! 聞くことだってあるんだからっ」
「ちょっ! 隼子ちゃん!?」
「鎮さんの彼女?」
「一番それっぽい人かな?」
「お互いに違うって主張するけどね」
なんか誤解されてる。
「あんたのせいよね」
「まってさすがに理不尽」
のんびり海の家『ARIKA』で手伝っている鎮。
なぜか黒ずくめに仮面なコスプレ仕様だったが気にしない。
引っ張って連れ出した時、千秋君が「行ってらっしゃい」とばかりに手をふってたから大丈夫。
「どこいくの?」
仮面を外し、マントでくるむ。
私が回してきた車の後部座席に放り込んで助手席に滑り込む。
何度か連れ出してるので動きはすでに慣れている。
準備オッケー。
「北の森よ」
踏み壊した石畳っぽいものをじっと見下ろす。
少し道を滑った場所。
そこで何かを踏み割った。
鎮と口論しながら歩いてたセイかも知れない。
いや。そうだ。
はぐれたのは鎮のセイに間違いない!!
っくしょう!
だから目の前の人魂は幻覚に決まってるんだ!!
『人の仔であるか』
喋ったぁああああああああああああ
『わずらわしくも騒がしき生娘よな』
き、きむすめって。
『穢れ無き身でなくば屠ってやったものを』
無経験万歳?
森の木々。腐った枯れ葉とコケでぬかるむ地面。踏み割られた石。
本当に何の変哲もない周囲との差のない森のただ中。
『吾は繁茂神が分神羽夜』
ぇ?
ふぇえ?
『慄くが……』
すっごーーーい
「やったぁああああああああああああああああ!!!!!!!」
『ぬぁ?』